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(画像:裁判でパワハラを証明しようとする玉橋さんの訴状。
「家族の死を無駄にしたくない」
との思いとは裏腹に、真実を明らかにする道のりは険しい)
職場が危ない
新潟パワハラリポート 2
苦悩する遺族
「真実知りたい」と焦り
会社や上司から返答なく
2008.11.17(月) 新潟日報 17
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「一日一日が長く感じられる。精神的につらい」−。
燕市の玉橋計治さん(五八)が声を落とした。
長男亮治さん=当時(二六)=の自殺は職場のパワーハラスメント(パワハラ)が原因だとして、玉橋さんは二〇〇六年、三条市の会社に損害賠償を求める訴訟を起こした。
二年以上たった今も係争中。
時間だけが過ぎて、真実が遠のいていくのではと焦りが募る。
亮治さんは〇四年十二月末、うつ病などを理由に退社、翌年八月に自殺した。
仕事上のことで上司にたびたび蹴られ、体当たりされたとして、精神的に追い詰められていく様子を日記に残していた。
「自殺まで追い込むのは社員教育の範囲を逸脱したパワハラだ。こんな不幸な事件は二度と起きてほしくない」
と玉橋さん。
だが、パワハラがあったとの主張を立証する証拠は日記だけ。
元同僚に手紙で証人出廷を依頼したが、返事はない。
一方会社側は
「これまでの弁論で、パワハラがなかったことは立証できた」
と自信を見せる。
判決は来年の見込み。
「ときどき息子が夢に出て、話し掛けてくれる」
ことが玉橋さんの支えになっている。
◆ ◆
今年八月、上越市の県立高校実習助手の男性教員=当時(五二)=が自ら命を絶った。
「死を選ばなければならないほど追いつめられていたとは・・」。
兆候を感じる事のできなかった妻(五一)は憤りを隠さない。
男性は六月から、家で学校への不満を漏らすようになった。
だが、若いころから
「気丈でパワフルな人」
だっただけに、周囲に深刻さを感じさせず、通院もしなかった。
死後見つかった日記は衝撃的だった。
教頭の面罵、校長ら管理職への絶望…。
さらに同僚からは、自殺の兆候を感じた同僚が校長に注意喚起したが、消極的だったと聞かされた。
弔問に訪れた管理職からそうした話は一切出ず、今も
「対応は適切だった」
との姿勢に変わりはない。
せめて自殺の原因が管理職の対応にあったと認めてほしい−。
妻は公務災害の認定を申請した。
「いじめをしないよう指導しなければならない学校で、
夫をここまで追い詰めたものは何だったのでしょうか」。
答えを求める妻の苦悩が続く。
◆ ◆
全国の年間自殺者は一九九八年以降、十年連続年間三万人を超えている。
NPO法人自殺対策支援センター・ライフリンクの清水康之代表は
「正確なデータはないが、パワハラを原因とする自殺が増えていると感じる」
と推測。
「遺族は兆候を感じられなかったと自責の念を持つ上、
会社側から『家族関係や本人の性格に問題がある』と突き放されるケースがある」
と指摘する。
パワハラを受けたとする本人亡き後、遺族は職場での様子や人間関係を知りたいと願う。
真実を明らかにするための道のりは、平たんではない。
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