原典聖書研究

ギリシャ語はギリシャ語の書庫や聖書関連記事は「無題」の書庫です。

全体表示

[ リスト ]

プ〜 メネイ!

 που μενει (プ〜 メネイ!)
 原典で聖書を読んでいると、良くハッとする箇所に出会います。上記の言葉もその様な箇所の一つです。この言葉が登場するのは新約聖書ヨハネの福音書の1章39節です。日本語にしてしまうとなんでもない表現なのですが、原文でははっきりとわかる事が在るのです。
 それは何かと言うと、最初の言葉の発音が教える意味なのです。そう 「プ〜」と言う発音です。しかも、後ろのプ〜と伸ばす所に何とも言えない響きがあるのです。ギリシャ語で「プ〜」と言う音で始まる音には特定の概念が存在しているのです。列挙してみましょう。

プネウマ→霊、風
プレー→門、入り口
プリュ→火、炎
プトーコイ→乞食 
プロオーイ→夜明け
プロ→前、方に
プロソーポン→面前に、顔

 わかりますか? そう、「目に見える物質が何もない場所=空間を表現する時」に、この「プ〜」音が使われるのです。なんと無く感じが掴めますね。そして、次の言葉メネイは「彼が留まっている」と言う意味です。

 この箇所の意味は「彼らは見た、何処に(プ〜) 彼が留まり続けている(メネイ)」と言う事です。ですから彼が留まっているのは場所であって何もない空間、と言う事は建物や天幕のない只の場所であって(プ〜)を見たと言う事になります。

 さて、では彼とは一体誰でしょうか?

 そう、イエスキリストです。そして、その場所を目撃したのはキリストの一番弟子のヨハネです。これは大切な事を教えています。キリストの公の生涯のスタートは「野宿者」であったと言う事です。そしてその弟子となったヨハネの使徒としてのスタートも同様でした。その場所をキリストの後に付き従って見に行った二人の弟子達(ヨハネとアンデレ=ペテロの弟)も「そして彼(キリスト)の傍に彼らは留まった」と記されているからです。

 おそらくこの時キリストと最初の二人の弟子達が夜を過ごした野宿の場所は、豊かな水量で累々と流れるヨルダン川からすこし上った、なだらかな高台で、何もない荒野の風除けの岩場の陰であったでしょう。そして、原文の「留まる」と言う動詞の時制は現在形なのです。と言う事はこの「野宿の状態が」一時的なものではなく「習慣的常態」であった事を示しています。

 その3年半後にキリストは十字架に処刑され、その復活を見たヨハネを初めとする弟子たちは、生涯地中海世界を渡り歩き、悉く殉教の死を遂げていきました。最後まで地上に残されたのは、この最初の弟子ヨハネでした。彼もローマ帝国の迫害下に90歳を過ぎてパトモスと言う島に流されて、普通の人間の価値観から見れば不遇の宣教生涯を終えるのです。その事を思う時に、キリストの教えの原点は、この何もない場所で、何ももたずに眠ったことを記している、この記述の重要さがひしひしと感じられるのではないでしょうか。

  この 「プ〜メネイ!」にはそのような意味で「キリストの生涯と宣教」を理解する上で知っておくべき、人間の原点を知る為に大切な基本ではないでしょうか。それは、「裸で産まれ獲得した全財産を残して裸で死んでいく人間の本当の姿」を見据える事を教える大切な言葉ではないでしょうか。

 家も、家族も、枕する場所も、そして何の地位も財産もない全くの無産の状態を表すこのプ〜メネイと言う言葉には本当に考えさせられます。特に、今日の世界のキリスト教のあり方を見ると、すっかりこの原点が忘れられ、巨大な伽藍や政治や学問の権威に塗り固められた教会の現実の姿と、聖書に記された教会の原点のありさまは、あまりにかけ離れてしまっているように思います。

最初の弟子、ヨハネとアンデレは「全く何もないその場所」で、キリストの傍に満天の星を仰ぎながら静かに目を閉じて安らかに眠り、凛とした黎明の後に輝く朝日と共に起き上がり、キリストと共に生きるキリスト者としての生涯をスタートしたのです。

近代文明、物質や情報資産に取り囲まれて、生きる現代がどこかに置き忘れてしまった、「なにか大切な物」がこの言葉に込められているように思います。

この記事に

閉じる コメント(1)

アバター

はじめまして。
転載先のailandlife さんのところから来ました。
勉強になりましたm(__)m感謝♪
ぽち★

2012/4/29(日) 午後 10:43 たみ 返信する

コメント投稿

顔アイコン

顔アイコン・表示画像の選択

名前パスワードブログ
絵文字
×
  • オリジナル
  • SoftBank1
  • SoftBank2
  • SoftBank3
  • SoftBank4
  • docomo1
  • docomo2
  • au1
  • au2
  • au3
  • au4
投稿

.


みんなの更新記事