原典聖書研究

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エレク (私行く)

「エレク」(私行く。) 旧約聖書 創世記24章58節

 原典で読む聖書は感動に満ちています。今日取り上げた「エレク」と言う言葉も考えさせられる言葉なのです。その言葉の意味を知って頂く為に、出来事を順を追ってお話しして見ましょう。

 この言葉が登場するのはアブラハムの一人子(正妻サラの子は一人である。実際には妾らが産んだ男子だけで8子ある)イサクの嫁取り物語に登場する言葉です。

  アブラハムの跡取り息子、イサクはその時40歳でした。もう立派な中年男です。その父アブラハムは何とかして立派な嫁を娶ろうと画策するのですが、彼が滞在するカナンの地の住民たちは大変不道徳で適当な相手が見当たらなかったのです。致し方なく彼は自分の親族が移り住んでいるシリヤ北西部のハランの親戚の中から身持ちの良い娘を嫁にと願うのです。しかし、老齢のアブラハムは御年140歳で帰省は無理でした。彼は一族の命運をにぎる跡取り息子の嫁捜しを、最年長の奴隷に託します。

 その嫁取りの大命を託されたのはシリャのダマスカス出身のエリメレクという家令(奴隷の長)でした。彼は、当時の不穏な国際情勢や通過する地域の情報や風俗習慣に精通していたのです。初対面の人に信頼され、主人とそのご子息に気に入られ、更に先方のご家族の了解を頂いてご本人を預かって無事帰宅しなければ成りません。このような困難な事業に彼以外に適任は考えられなかったのです。

  彼は主人の資産に相応しい結納品を揃えます。選んだ交通手段は駱駝10頭の護衛を伴ったキャラバン隊でした。そして、たとい道中に盗賊に遭遇しても出来るだけ被害の少ないようにと見事に金品を収納し目指すシリヤ北西のハランの町に向かうのです。

 当時アブラハムが住んでいたのはパレスチナ南部のべェルシバ(創世記22章19節)、そこから目的地のハランまで直線距離で約750辧安全な道を選べばおそらく1000卍の大旅行でした。一説によれば駱駝は無荷で時速16辧∀続走行時間は最大18時間と言う事で一日に200キロは移動が可能でした。と言う事は休憩時間なども考慮すれば1週間ほどの旅であったでしょう。

  そして、彼は目指す町の傍の井戸に駱駝を伏させ、当時は若い乙女達の日課となっている夕べの水汲みを利用して嫁候補の面接を目論むのです。彼は思いやりの深い、健康な女性にめぐり合えるように神に祈願し、水汲みに登場したリベカ(雌牛と言う意味)に目を止めたのです。そして彼女に出身を問うと何と主人アブラハムの弟ナホルの孫娘だったのです。早速自宅に迎えられたアブラハムの家令エリメレクは、出された食事に手をつける事を待たせ、結婚話を切り出し一族の了解を取り付けたのです。早速結納の品々を取り出し一族に配り宴が始まります。

  そして、その翌朝の事でした。遠くに嫁ぐ娘に婚姻の宴をしきたり通り10日続けるつもりのリベカの家族を前にして、アブラハムの家令エリメレクは直ちに主人アブラハムの許に娘リベカを伴って帰途につく事を切り出したのです。

 予想外の性急な申し出に戸惑った一同とエリメレクの押し問答があり、一同でリベカの判断を持って決着する事に決めたのです。

  その場に呼ばれたリベカは躊躇うことなくこういったのです。「エレク」(私行く。)その一言で事は決しました。即座に一同は立ち上がり、駱駝に嫁リベカを乗せた一行は、一路カナンの地のベエルシバを目指したのです。

 リベカは、たったの12時間前に出会った人々に自分の身と生涯を託し、二度と戻る事の出来ない1000キロの道の彼方に向けた一歩を踏み出したのです。

 何が、彼女にその決断をさせたのか、それは彼女の心以外誰にも知り得ない神秘でしょう。しかし、聖書はその一歩が間違っていなかった事を記録しているのです。夫イサクは生涯リベカ以外の女性に心を向ける事も無く、アラブ人の先祖となったエサウとイスラエル民族12部族の祖ヤコブを産み育てたのです。それはたった一言「エレク」(私行く。)との言葉から始まったのでした。

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