原典聖書研究

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小さい少年ソロモンの願い

今日は昨日に引き続いて小さい少年のソロモンの願いをご紹介します。 

旧約聖書 ヘブル語原典 列王記第一 3章7節 直訳  

07 ・ そして今 ヤハウエ 神ら私 あなたは あなたは王さした を 奴隷あなた した ダビデ 父私 そして私は 少年 小さい 無い 私が知った 出て来る事の そして来る事の

旧約聖書 70人訳ギリシャ語原典 列王記第一 3章7節 直訳 

07・そして 今、主よ その 神 私の、あなたは あなたは与えた その 奴隷を あなたの 対して ダビデ その 父 私の、そして 私は 私は存在し続けている 子供 小さいを そして 無い 知識 その 出道 私の そして その入り道 私の、

旧約聖書 ヘブル語原典 列王記第一 3章7節 翻訳

07・そして 私の神ヤハウエよ、あなたの奴隷の私を王にした。私の父ダビデの後に。そして私は小さい少年です。私は出る道も入る道も知らないのです。

 本当に11才の少年としてはごくあたりまえの願いです。そしてこれとよく似た言葉が歴代誌の第一の29章1節にもダヒデの言葉として即位したソロモンが「少年 軟弱」と記されています。

  今日は昨日お話しした様に、何故このソロモンの即位年齢が聖書のヘブル語の原典マソラテキストに記されていないのかを考察してみたいのです。
 
 ヘブル語の原典を扱うのは中々難しいものが有ります。それは写本そのものに関する知識なのです。興味深い事に、旧約聖書のヘブル語の現存する写本は死海写本(紀元前3世紀頃成立の物が多い)以外はほぼ、紀元後10世紀以降に書写された物ばかりなのです。新約聖書の最も古い写本よりも千年ちかく新しい物ばかりなのです。ヘブル人の書記は書写した写本が元本と同じであるかを字数を数えて確認し(この故に書記や写本はヘブル語で「セフエル=数える」と言う語で表す。)字数が合致すると完全に書写された物として古い方を焼却処分した為とされています。

  この、いわゆるマソラ写本にはこぞってソロモンの即位年齢は欠如しています。そしてこのヘブル語写本の元本は紀元前200年頃に確定したとされています。 

 そして、その頃に70人訳ギリシャ語は主にエジフトのアレキサンドリヤで殆どの部分が翻訳されたのです。

 と言う事は70人訳とヘブル語テキストはほぼ同等の歴史的価値を持っていると言う事なのです。その頃の本文がどうであったかは死海写本の研究成果が公開されるまではなんとも言えないのです。しかし、死海写本の発見以来早60年が過ぎようとするのに死海写本の研究成果の公表は全く無いのが実情なのです。 その理由は以下をご覧ください。

参考  http://blogs.yahoo.co.jp/semidalion/22617041.html

  さて、この聖書の原典の本文の評価を行う本文批評学と言う学問があります。此れは現在存在する古代文献の写本(当然誤写や改竄などの多くの問題が含まれている)から元著者が書き下したオリジナルの文字列を復元する事を目指す学問です。

歴史考証から文献の評価をする高等批評に対して、古代文献の記述された文字と言う内在資料から文献の評価を行う為、低等批評とも言われます。どちらも聖書研究には重要な学問ですが今日はこの低等批評の成果をこのソロモンの即位年令に当てはめてみたいと思うのです。

 いくつかの原則があるのですが例えば、異なる2つの写本のある箇所の異同が有ったとして、その一つが理解やすい記述でもう一方の写本は全く理解出来ない記述であった場合を考えてみます。その場合、必然的に理解出来ない方が信頼出来る本来の原文と判断するのです。その理由は単純明快です。「分かりやすい物が分かりにくく改竄される事はあり得ない」からです。普通に考えると逆に思えるのが此の低等批評と言う学問の面白い考え方の特徴なのです。

  この学問をソロモンの即位年に当てはめると一目瞭然、この聖書を編纂した人々の立場に立った利益不利益の原則を当てはめると、「こんなお粗末な王位継承の実態は全くもって由緒あるダビデ王朝の第一継承者にはあってはならないし認められないという事」になります。

  と言う事はソロモンの即位年齢は抹消される傾向が顕著で書き加えられる可能性は少ないと言う事なのです。それに70人訳の「息子は 年らの 12」と言う表現はギリシャ語としては不自然ですがヘブル語の標準的即位年の記述の直訳として普通で自然な表記方なのです。と言う事は70人訳が底本としてヘブル語原典にこの記述が存在したと見るのが自然なのです。
 
  はや結論が出てしまいました。「ソロモンの即位年齢の記述は、後代の誰か(後代の多くの王や権力者や宗教家など)にとってまことに不都合記述なので抹消させられた」と言うことなのです。その目的は前回記しましたように、この「ソロモンの即位年令が11歳であることによって見えて来る多くの現実」を読者の目から隠蔽する為であったと言うことなのです。それに、昨日紹介した様に前後の記述から12才(数え)で即位した事は年代計算から自明な事実だからなのです。
 
  では、一体誰がこのソロモン王の即位年を抹消したのでしょうか。70人訳聖書が訳出された紀元前3世紀には、まだヘブル語の聖書本文に記載されていた事だけは確かです。何しろこの時代ではソロモンから700年程度しか経過していませんから、隠しても人々は聖書の記述から簡単に真実を見抜いてしまっていた事と思います。また、おそらく捕囚から帰還した律法学者のエズラがイスラエルの歴史を編纂した時代の紀元前5世紀の写本のその現物その物もくち果てないで現存していたと思われるからです。

  とすると「旧約聖書と新約聖書の間隙の中間時代に、イスラエル王国の再興を画策する人の手によってダビデ王朝を理想の国家に仕立て上げる為に、その目的に不都合なソロモンの即位年が抹殺された」と考えられるのです。そして、当然、それ以外にも、ダビデ王国が完全無欠である事を否定する不都合な真実も聖書から容赦なく抹消された可能性が高いのです。

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閉じる コメント(2)

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どんなに栄えた国家も砂上の一角なのでしょうか。
なんとなくローランの遺跡を思い起こしました
今回は大変興味深い内容でした

ところでそちらの気候はいかがですか
こちらは少しづつ寒くなってきています
完全に雪が降る頃には寒さに体も慣れてくるのですが、今時分が一番寒く感じられる今日この頃です
semidalionさんもこれから寒くなってくると思いますが、お体ご自愛ください

2007/10/10(水) 午前 5:20 [ kunivisyo ] 返信する

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おはようございます。といってももう昼になってしまいましたが! 今日はめずらしく快晴で、すがすがしい北風がひこばえが伸びきった田を越えて来て洗濯物がたなびいています。こちらはまだ半袖で過ごしていますが北海道はもうストーブのいる季節なのでしょうね!

2007/10/10(水) 午後 1:25 [ 油食林間 ] 返信する

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