原典聖書研究

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捏造された聖書

  最近「捏造された聖書」という翻訳本を読みました。「原典 ユダの福音書」の編著者の一人B.D.アーマン氏が著者です。元の英文の書名は「イエスの誤引用」ということで、その筆頭がマルコ2章23節から28節の「イエスの弟子達が安息日に麦畑で空腹を癒す為に麦の穂をむしり食い、ユダヤ律法の禁じている安息日の禁を犯した時の問答」を上げています。
  問題点は、ユダヤ人指導者の違法指摘に対して、キリストが「旧約聖書の第一サムエル記21章1節から6節を誤引用した」と著者のアーマン氏は言うのです。
  アーマン氏の指摘する、キリストの誤引用は「大祭司アビアタル」となっているが旧約聖書は、その時の大祭司はアビアタルの父「アヒメレク」であったと言うのです。(注アビアタルはある翻訳ではエブヤタル)
  ところで一体誰が間違っているのでしょうか? アーマン氏の指摘通りキリストが間違えたのでしょうか? まあ明確に分かる事を見ていきましょう。注意して聖書を見ると、サムエル記のどこにもアーマン氏ご指摘の『アビアタルの父「アヒメレク」が大祭司』であったとは記してありません。では誰が一体大祭司であったのでしょうか?
  同じ旧約聖書の、サムエル記第一の14章18節をご覧いただくと正解が分かります。当時の大祭司はキリストが引用されたアビヤタルでもなく、アーマン氏が主張されるアビアタルの父「アヒメレク」でもありません。 当時の大祭司は大祭司の装束エポデを着てウリムとトンミムを使えたアヒヤだったのです。(サムエル記第一14章18節)
  当時の大祭司アヒヤが住んでいたのは、アビアタルとその父アヒメレクが住んでいたノブでは無く、シロと言う町でした。(サムエル記第一14章3節)
  当時、イスラエルは初代サウル王が支配していました。しかし、旧勢力の祭司達との権力の確執があり、サウル王朝は衰退します。その後に、ダビデが王朝を築くのです。この間、祭司団とサウル王家とダビデ王家の間には、複雑な権力闘争が展開します。ここで問題にしているのは 「大祭司が誰か」という事なので、大祭司が何処にいたかを見ましょう。ヨシュアの時代以後は、シロにあった神殿(当時は幕屋)は、サウル王朝の衰退に伴って、安全なユダ部族の町バアラ(第二サムエル記6章2節)に疎開していました。
  当然、大祭司はその場所にいた事になります。問題のアビアタルはダビデに協力し共に王朝を建て上げてようとしますが残念な事に旧勢力の祭司団の協力は得られません。当然、大祭司には成れません。
  彼はダビデと協力して幾度かダビデの町(エルサレムの前進)を首都とするため幕屋の中心にあった契約の箱をエルサレムに移そうとします。しかし、旧勢力(=祭司たち)の抵抗があって、なかなか実現しません。(歴代誌13章1節から14節 )漸くの事でアビアタルが同族の祭司達の協力を取り付け、大祭司ツアドクを中心にした(歴代誌15章11節)ダビデ王朝と祭司集団の連合が実現します。(歴代誌15章1節から16章43節) 
  そして、その後アビアタルの実子の「アヒメレク」(=アビアタルの父の名と同じ)が大祭司となるのです。(第二サムエル記8章17節)
  と言う事で、残念な事にアーマン氏の言われている様に『アビアタルの父「アヒメレク」が大祭司』であったとは聖書は記していないのです。
  確かにキリストが引用された言葉にある「アビアタルが大祭司のころ」は旧約聖書に言及の無い言葉です。同時にアーマン氏の言われる『アビヤタルの父「アヒメレク」が大祭司』も聖書の誤引用なのです。 
  さて、こうなるとキリストの引用された言葉が「誤引用」云々以前に、誤引用だと主張される当のご本人、アーマン氏の引用された言葉こそ「誤引用」で、「足もとをしっかり固めてから聖書を批判なり批評して頂きたい」と言いたくなります。
  きょうは、大変お粗末なお話でした。 余分ですが、以上のダビデ王朝形成期の聖書の複雑な記述から分かる事ですが、メシヤのプロトタイプとされるダビデ王朝の本当の立役者は、アーマン氏が大祭司では無いと主張される「祭司アビアタル」である事は自明です。おそらく、アロンの子孫で祭司となった多くの祭司達の中で、「最も大きな業績をイスラエルの歴史に残した祭司」であったと言えるでしょう。
  そして聖書の「大祭司」と言うへブル語は 「ハコヘーン ハガドール」です。その意味は 「その祭司 その大きい」です。おそらくイエスキリストが アビアタルを 「大きな祭司=大祭司」と言われたのは実に適切な引用であった事が分かります。そして、大祭司でない『アビアタルの父「アヒメレク」』を大祭司であると誤引用されたアーマン氏こそ「捏造された聖書」ならぬ「聖書を捏造」された事になります。
  そうなのです。一番の間違いは、アーマン氏ご自身が聖書もろくに読まないで、思い込みで本を書いておられるという点に在るのではないでしょうか?

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大変参考になりました どの解説書にもこう書いてあったので鵜呑みにしてました 僕が゜聞いてた話ではアビメレクはアビアタルの弟子で当時はアビメレクの時代だったけれどイエスの発言も象徴的にはただしいというものでした

2006/9/26(火) 午後 5:38 [ 山崎 浩 ] 返信する

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私も、ろくに聖書を読まないで書いたり、話したりしているところがあります。
ろくでもなしに、なな回程よく読んでから書くようにしなければなぁと思います

2010/9/27(月) 午後 10:27 [ kaori ] 返信する

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