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生活を共にしてからも彼は1ヶ月ほど
手を出してこなかった。
信頼、というか
私と彼は感受性が全然違うタイプだったし
口数が少ない彼
文句をいいながらも私の甘やかされたが故の沢山の食のこだわりやスタイルのこだわりに嬉しそうな彼
適当に見せかけて変に生真面目で基本的な生活習慣なんてものの大切さを今さら私に語る彼
朝はお弁当を作って送り出し
夜は食事を一緒にとってから私はバイト
彼はそれでも小言を私に言い続けた、でもそれも楽しかった。
彼がたまに話す前の家庭の話。
子供に対する彼の隠した未練。
不器用で、口下手で、疑い深く、甘え下手。
堅実なのに辛抱できない性格で損が多い彼。
家庭をつくってあげたいと、そう思うようになっていた。
彼にもう一度家庭をつくってあげたいと。
避妊しない彼と今後のことを話す機会も多かったものの
私の二つの仕事をこのまま維持することは
私名義のこのマンションでの結婚ごっこは
とても不安定で
だから私はあせっていたのかもしれない。
養育費を払うことが自分なりに罪滅ぼしで
経済的に余裕がないと彼は私に説明していたものの
私の夜のバイトに対する彼の嫉妬は異常で
アフターから帰宅すると暴れたり
私が仕事の日は意地でも自分もよそに呑みに行き
私よりも後に帰ってくることにこだわったり
子供っぽさが目立ってきていた。
ぼろぼろでも、安くてもいい、夜のバイトを辞める為には
生活そのものを変えなくてはいけないと
何度も話し合い
でも彼は彼名義の住宅を借りることは厳しいと言い続けた。
双方実家に戻るという結論に達した矢先
私は妊娠した。
産みたいと思った、好きな人の子供だもの、産む以外の選択肢など
私には考えられなかった。
私たちの間にあった問題はその後もずーっと尾を引いた。
今ならそれがわかる。
考えるべきだったのは
妊娠直前に何でもめていたのか。
でも、私はセナに会うために
この後走り続ける、セナに会うために。
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