園子温

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索

全1ページ

[1]

希望の国

園子温監督作。
東日本大震災の後、架空の「長島県」で起きた震災と原発事故に翻弄される家族を描く。
 
 
 
園子温監督の映画は、なにもかもが過剰に存在する。
「暴力」「性」「愛」「死」「家族」「自己」といったテーマが、過剰なまでに映像化され、過剰なまでの登場人物によって、過剰なまでに語られる。
それでいて「言葉」は、削り取った本質のみを伝えようとする。
 
 
この映画においても、その過剰さは健在です。
放射能への不安は過剰なまでに描かれる。
その過剰さは、すべてを過ぎ去ったものとして扱おうとする多くの日本人に、これでもかと不安を思い起こさせようとする。
 
 
そして、その過剰は、すべて蕩尽されていく。
原子力の炎は、人間の営みのためにありながらも、ひとたび暴走し始めると、人間にはそれを止める手立てはない。
コントロール不能な炎をコントロールしようとする人間の愚かしさ。
あるいは、コントロール可能なのだと思い込もうとする私たちの幻想。
炎はひとつの家族を分断させ、生と死を選ぶ人間たちをも分断していく。
そして、燃える樹のごとく、すべてを焼き尽くしていく。
 
 
賛否両論ある映画ですが、そうなるのも当然の映画です。
この過剰と蕩尽の果てに残るものとは何か?
少なくとも「希望」とは、行き先もわからない中であがく人間のただ「一歩」の中にあるのかもしれない。

ヒミズ

ようやく観ました園子温監督の『ヒミズ』。
主演の若いふたりが、ヴェネチア国際映画祭(マルチェロ・マストロヤンニ賞(新人俳優賞)) で受賞したのも納得の映画でした。
 
それにしても、毒のある園子温監督の作品ですから、拒否反応を示す方も多い映画ですね。
確かに若いふたりすらも見せる暴力的な姿は、正直きついものがありました。
暴力もまた親から子に受け継がれていく事実。
数々の事件記事などがその事実を示している中、その事実から目をそらそうと思うのも一般的な反応でしょうが、その苦しい事実を受け止める大人になる必要も日本人にはあるように思います。
ハネケさんやトリアーさんの映画が認められる成熟したヨーロッパだからこそ、この若いふたりの演技も素直に認められたのだと感じました。
 
 
 
地獄を地獄として正当に描く。
 
映画化された『疾走』や『血と骨』のように、それは映画に与えられた使命のひとつのようにも思います。
 
その地獄をこれでもかと見せた後に、それでも希望を描こうとする園監督に共感を感じる部分があります。
 
 
それにしても、脇の方々が『冷たい熱帯魚』の面々なので、ついつい変な妄想を感じながら観てしまいました。
吹越さんと神楽坂さんはその後、ホームレスになって、結構うまくやってたんだぁ、とか。
渡辺哲さんと諏訪さんは実は仲よかったんだぁ、やっぱり二人とも透明になっちゃった二人だったものなぁ、とか。
でんでんさんと黒沢あすかさんは、きっと別れたあと、いろいろあったんだろうなぁ、でもやっぱひどいよなぁ、とか。
ごめんなさい、すべて僕の妄想です。
 
 
園子温監督作。
『自殺サークル』『愛のむきだし』『冷たい熱帯魚』等、創る映画の凄みが年々増しているように感じます。
『恋の罪』は冤罪事件としても有名な○電OL殺人事件にインスピレーションを受けた壮絶なるフィクション。
ただし、万人向けの娯楽映画ではないので、賛否両論あるようですね。

渋谷のラブホテル街の廃墟アパートで猟奇的な殺人事件が発生する。
担当する女性刑事の和子(水野美紀)は、既婚の母親でありながら夫の友人とSM的な不倫関係にある。
小説家の従順な妻のいずみ(神楽坂恵)は、神経質な夫の要求に応えるべく、スリッパを丹念に揃え、時間どおりにお茶を準備するが、何かが欠けている感覚に襲われている。
満たされないものを埋めるように始めたスーパーでのマネキン【!】 のパート。
そして、だまされた様に始めたAVの仕事で自らを解放していく。
いずみが自宅で裸体のまま接客用語を練習するシーンは圧巻!
そのいずみが出会う文学部助教授にして、売春婦でもある美津子(冨樫真)は、田村隆一の詩を講義で朗読し、まるで別人格のようにわずかな金額でからだを売る。
カフカの『城』のように、決して行きつくことが出来ない迷宮に棲む女たち。

性を題材にしながらも、エロスよりも死に魅入られたような主人公たち。
リビドー(性的衝動を発動させる力で、様々な欲求に変換可能な心的なエネルギー)とタナトス(死の欲動)に振り回される人間の業を描いている。

いずみや美津子が、生きている実感を得られない感覚は、映画では描かれていない幼少期からの不幸な出来事が影響しているようにも感じます。
唯一、セックスの快感や相手との身体感覚のみが、生を実感させるのかもしれません。
そして、最大の解放である死への欲動。


美津子が朗読する田村隆一の詩は、詩集『言葉のない世界』からの一遍。
『言葉なんか覚えるんじゃなかった・・・ 』
言葉がなければ、涙はただ目から出た水でしかないと解説する美津子。
でも、言葉を覚えてしまったから、人は涙の前で立ち止まってしまう。
(これって構造主義的じゃない?)
からだを売ることで、新しい言葉を得ようとする女たち。
彼女達に未来はあるのか?


劇中、流れるのはマーラーのシンフォニー第5番。
ビスコンティの名作『ベニスに死す』に流れるあの旋律です。
(ちなみに映画の主人公では音楽家でしたが、トーマス・マンの原作では小説家【!】 です)
この『ベニスに死す』でも描かれたのは「愛と死」。
美しい金髪碧眼の少年タッジオに恋した初老のアッシェンバッハが、その死の淵で流したのは、汗で流れ出した白髪染めによる黒い涙のような跡でした。
そして、この映画の主人公が口元から流すのは、赤い涙のような跡。

ビスコンティとは違い、二度と観たくなくなるような園子温監督の映画。
それでいて観ずにいられないような映画。
エロティック&グロテスク。
知的なイマジネーションを刺激されながらも、一方で過剰なまでの俗っぽさに満ちている。
希有な映画であることは間違いないですね。

全1ページ

[1]


.
せんころ
せんころ
男性 / 非公開
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

過去の記事一覧

スマートフォンで見る

モバイル版Yahoo!ブログにアクセス!

スマートフォン版Yahoo!ブログにアクセス!

検索 検索

Yahoo!からのお知らせ

友だち(11)
  • minako
  • 道
  • Yoshipy Happy
  • せんが
  • さくら
  • シードル
友だち一覧

よしもとブログランキング

もっと見る

[PR]お得情報

数量限定!イオンおまとめ企画
「無料お試しクーポン」か
「値引きクーポン」が必ず当たる!
ふるさと納税サイト『さとふる』
実質2000円で特産品がお手元に
11/30までキャンペーン実施中!

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事