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息子の思い出を語る母親。
航空自衛隊 http://www.warbirds.jp/senri/jasdf/
5-168、神風特別攻撃隊員の精神基盤について(6)
五、遺族の心境について
すでに述べたとおり、特別攻撃隊員は両親や弟妹など自分に関係深い大切な人の身替わり
になるという考え方で死を肯定するのである。もちろん、指揮官に人を得て、その統率のもと
にこれと生死を共にするという場合もある。しかし、その根底には肉親との愛情に裏打ちされ
たものがあるはずである。
たしかに肉親とのつながりは理屈では説明できないほど切実なものがあった。 検閲のため
思うことの万分の一も表現できない数行のハガキの文面からその胸中を察して、 わざわざ
遠い所を面会に来た親の例を含めて、いろいろと見聞している。
近ごろ慰霊祭などでご遺族の方とお話しする機会がある。 ある遺族は「もし許されるなら、
息子に替わって自分が死ねばよかった。息子には長生きして欲しかった……」と、涙ながら
に述懐された。
吉田松陰も「親思う心にまさる親心、今日のおとずれ何ときくらん」と、 最後まで親に思を
はせている。当人も恐らく死の瞬間まで、瞼の裏に両親の面影を焼付けていたのではない
だろうか。
また別の遺族は息子の無事を祈って「茶断ち」「塩断ち」の祈誓をしたと、 当時を回想して
おられた。 ともあれ、 われわれが命に代えて護ろうと考えた両親もまた、 息子の安否を
気遣い、自分の命を縮めてもと、息子の無事を祈っていたのである。この心の繋がりこそが、
特別攻撃隊員の精神基盤そのものである。 これは理屈を抜きにした肉親との愛情以外の
何ものでもない。
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