|
特攻機として活躍した「銀河」。
甲飛12期会 http://www.warbirds.jp/senri/12-3/03kaiko/kaiko.html
7-95、「母ちゃん、元気でね……」
★特攻戦死された同期生、西山典郎君の手紙を紹介させて頂きます。
謹啓 段々と暮らしよくなり皆様御元気で御暮らしのことゝ思います。
祖父様
御元気で御暮らしの事と思います。帰郷中は色々と御世話になりました。
私は毎日元気にやっています。
我々もやがて一生懸命に敵と一騎打ちが出来る日が来ると思います。家の名誉にかけて
働きます。どうか御大事に。
父上様
先日は有難う御座いました。無事御帰りになられた事と思います。
私は元気一杯やっております。父上の教訓を守って一生懸命にやってきます。
幸郎の入学の事や其の他弟妹の事はお願い致します。そして無事幼年学校にやって下さい。
中学校時代の私の都合の悪い物がないとも限りませんが、後で辱かしくない様に、
ありましたら処理して下さい。
御別れしてから一寸も淋しくありませんでした。
母上様
先般の休暇で皆様の事もよくわかり、 又元気でいられる姿をみてすっかり安心しました。
弟妹達とも心のゆく限り遊べて何の悲しみや悩みも毛頭ありません。
母上の心も日本晴れとの事で、喜んでおります。今から実際に一騎打ちが出来るのです。
考えただけでも愉快です。
又玉中から来た者も八名おります。山口も牧島も決して心配には及びません。
思う存分世の中を駆け廻ってきます。
祖父も日露戦役の軍人、父上も軍人、それに私も軍人で実際に役立つ、家門の名誉と
思って下さい。どうか御病気になりませぬ様御祈り致します。
幸郎君
今眼前或は最中か。大難関を突破せよ。そして、先ず幼年学校に突撃されよ。
一番大切なのは体だ。体なくては何の用にも立たぬ。
一、父上母上に兄さんにかわって孝行すること。
二、兄弟は仲よくすること。決して洋光、紀光を泣かせるな。
三、身体を無理せぬ様勉強すること。但し一番にならなければ何にもならない。
四、家の手伝いをすること。
雅子ちゃん
お元気で勉強して下さい。母ちゃんの言われることをよくきいて一生懸命勉強し、洋光、
紀光と仲よく遊んでやりなさい。母ちゃんが心配せぬ様、お手伝いするんですよ。
洋光サン
ユビヲ五ツカゾエルト一年生デスネ。トウチャンヤカアチヤンノイウコトヲキイテ、
ベンキョウシテイルデショウ。ノリミツサントナカヨクアソンデクダサイ。
ソシテ、キユウチョウニナリ、カアチャンヲヨロコバセテクダサイ。オゲンキデサヨナラ。
ノリミツサン
ニイサントスモウヲトツテ、ニイサンヲナゲタノリミツサンハ、ナカナイデオリマスカ、
ニイチャンタチトナカヨクシテクダサイネ。マタニイサンガカエッテスモウヲトリマセウ。
コンドハアメリカノヒコウキヲモッテキマス。カアチャンヲコマラセナイヨウニ。
典 郎
御一同様
※
昭和20年3月18日の未明、西山ミサトさんは長男典郎君に抱きつかれ、そして一瞬に
して姿を消し去った夢を見たそうです。恐らく死出の旅路の途中、母親の胸に抱かれる
ため、霊魂となって古里に帰ってきたのでしょう。
西山典郎君は昭和18年7月30日、即ち予科練に入隊するため鹿児島へ旅立つ前夜、
「母ちゃんと寝たい……」。そう言って母親と一緒に寝たそうです。そして、
「母ちゃん、元気でね……」と、言いながら母親の手を静かに握ったそうです。
その柔らかい手のぬくもりが、50余年経った今でもまだ残っていると、母親ミサトさん
は話されました。
筆者は6人兄弟の末っ子でした。だから甘やかされて育ち、小学校に入学するころまで
は母親と一緒に寝ていたことを記憶しています。
典郎君は長男としての立場から、後に生まれた弟妹たちのため、日ごろは母親に甘える
のを我慢していたと思われます。 そして最後の別れに、母親に抱かれて精一杯甘えた
かったのではないでしょうか。その夜、親子はどんな夢を見たのでしょうか。
西山典郎君は、昭和3年3月24日の生まれでした。特攻戦死されたのが3月18日です。
満16歳11ヶ月でした。17歳の誕生日も迎えることも出来ずに散華されたのです。
特攻戦死者の中で、最年少者でした。
※
昭和20年3月18日、 762空攻撃262飛行隊では、「神風特別攻撃隊菊水銀河隊」を
編成し、九州南東海上に来襲した敵機動部隊に対し、必死必殺の体当たり攻撃を敢行
した。 指揮官松永輝郎大尉機の電信員に選ばれた、西山典郎2飛曹は、午前8時7分
「全軍突撃必中セヨ」との電報を発信して以後消息を断った。
☆菊水銀河隊 搭乗割
指揮官機 操縦 大 尉 松永 輝郎 (山口・海機52期)
偵察 少 尉 嘉多 山哲 (愛媛・予備13期・松山高商)
電信 2飛曹 西山 典郎 (熊本・甲飛12期)
1L−2 操縦 1飛曹 渡部 春雄 (愛媛・丙飛11期)
偵察 上飛曹 大林 伸治 (愛知・乙飛14期)
電信 2飛曹 柳川 末一 (静岡・乙飛18期)
2L−1 操縦 少 尉 小川 登 (東京・予備13期・立大)
偵察 上飛曹 林田 克巳 (奈良・甲飛10期)
電信 2飛曹 大日方忠直 (福岡・甲飛12期)
2L−2 操縦 1飛曹 相川 豊 (千葉・丙飛10期)
偵察 上飛曹 末満 輝繁 (鹿児島・甲飛10期)
電信 2飛曹 醍醐 一利 (神奈川・甲飛12期)
3L−1 操縦 中 尉 坂口 明 (兵庫・予備13期・神戸高工)
偵察 1飛曹 本仮谷孝夫 (鹿児島・乙飛17期)
電信 飛 長 寺門 敏行 (茨城・電練66期)
|