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横井1等飛行兵曹。
想いで話 http://www.warbirds.jp/senri/
13-401、横井兵曹機不時着
飛行訓練を開始して間もない日、最終の帰投コースを飛んでいると、前方を飛行して
いた僚機が急に高度を下げ始めました。見るとプロペラが空転しています。エンジン
が停止した様子です。飛行場まで滑空するにはとても無理な距離でした。
私は増速して高度を下げながら後を追いました。近づいて見ると、横井兵曹が操縦し
ています。 いろいろ操作を行っていますがエンジンが回復する様子はありません。
「おい電信員! 不時着機の位置を確認して基地に電報を打て!」
と、叫びました。
「ただ今不時着機からの発信を傍受していまーす……」
不時着機の電信員は、必死になってキーを叩いているのでしょう。 うまく着水できた
と思いましたが、飛行機は転覆してしまいました。白子の沖合で知多半島との中間ぐ
らいの海上です。
上空を旋回しながら見ていると、黒いものが5個浮かんでいます。全員が脱出できた
のです。だが、乗員は4名のはずです。更に注意して見ると泳いでいるのは3名です。
あとの2つは車輪が浮いているのです。着水の衝撃で脚が折れたらしいのです。
訓練を打ち切り、直ちに飛行場に帰って地上指揮官に状況を報告しました。後で分か
りましたが、殉職したのは電信員でした。 恐らく最後まで不時着状況を送信し続けて、
着水の衝撃に対応する暇がなかったのでしょう。エンジンが停止した原因は明確では
ありませんが、恐らく粗悪な「80丙」と関係があったものと思われます。
ここでの飛行訓練は、後席に同乗して訓練を受ける予備士官や練習生は、1回ごとに
交替しますが、操縦員に交替はありません。 午前も午後もぶっ続けの搭乗で、緊張の
連続でした。だが、「特攻待機」を解かれ、死から解放された気分は爽快で、肉体的な
苦労など問題ではありませんでした。 短期間でしたが、私の搭乗員生活の中で最も
充実した時期でした。
☆今日の一言☆
あわを食って育つは鯔の子ばかり
[AOZORANOHATENI]
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