老兵の繰り言

「特攻隊」の生き残りが後世に語り継ぐ鎮魂の記録です。続いて、自衛隊草創期のうら話などを紹介致します。

10戦没者追悼

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            翼を休める「銀河」。


戦没者追悼 http://www.warbirds.jp/senri/10kaiko/04furukogi/index.html

        10-42、「第九銀河隊」を送る

                        (古小路 裕・大阪府堺市)

昭和20年4月27日、 攻撃第406飛行隊は出水基地から美保基地に移動して訓練を実施
することになった。 これは、南九州地区がB29や相次ぐ敵機動部隊の艦上機による空襲
を受け、飛行訓練に支障を来していたからである。美保基地に移動してからは空襲を受ける
こともなく、訓練は順調に進んでいた。

5月10日、私はいつものように急降下爆撃の訓練を終えて指揮所で休憩していた。すると、
飛行隊長の壱岐少佐が、「次に示すペアは『銀河』を夕方までに宮崎基地まで空輸せよ」
との命令を出して、搭乗割が示された。

私たちは単なる飛行機の空輸だと思っていたので、宮崎基地に着陸しても、なんら普段と
変わらない気持ちで指揮所に入った。美保基地へ帰る便はどんな手配になっているのか、
それとも今夜はここで一泊することになるのか、などと思いながら待機していた。 すると、
とんでもない命令が伝達された。

「翌朝4時に発進し、沖縄周辺の敵艦船に対して『体当たり攻撃』を実施せよ」。との命令で
ある。まさに晴天の霹靂であった。 「爆撃せよ」や「雷撃せよ」ならまだしも「体当たり攻撃」
を実施せよとの命令である。つまり、「死ね!」という命令である。

「壱岐の奴、俺たちを騙しやがって!」「人の命をなんだと思っているんだ!」
「最初からそう言えば、心の準備だってできたのに、 俺たちを信用していないんだ!」
「畜生! 今夜限りの命か!」

だが、なんと言っても後の祭りである。命令には絶対に服従しなければならない。攻撃計画
の打ち合わせを済ませ、 遺書を書いたりしていると、もう午前2時であった。 洞窟の中の
木製ベッドに、シラミのわいた毛布を被って、少しウトウトとしたと思ったら番兵に起こされた。
時計を見るともう3時である。

指揮所前で行われた出撃前のセレモニーが終わり出撃隊員は、小型三輪トラックに乗せられ、
それぞれの飛行機まで送り付けられた。ところが、私たちの飛行機が昨日駐機した場所から
なくなっている。私たちのペア3人は最後まで残り、暗闇の中を飛行機を探して三輪トラックで
駆けずり回った。

そして、やっと見つけたのは昨日駐機した所とは全然違った場所であった。 見ると私たちの
飛行機は右エンジンのカバーを外し、大勢の整備員が作業をしている。これで状況が理解で
きた。昨日着陸した際に、担当整備員に右エンジンが不調であることを伝え、修理を依頼して
いたのである。

ところが、修理が手間取ったらしくて、まだ出来上がっていなかったのである。これで出撃は
不可能となった。私たちペアの3人は、修理が終わるまで仕方なく飛行機のそばで待機した。
この間に、準備のできた他の飛行機は次々に離陸して行った。

その中に、同期の操縦員松木学1飛曹と偵察員山根三男1飛曹それに、電信員伊藤勲1飛曹
(乙飛18期)で編成した、下士官だけのペアが含まれていた。

彼らは離陸直後から2度と着陸することのできない基地にオルジス(発光信号を発信する器具)
を向けて、「サヨウナラ サヨウナラ……」 と、繰り返し繰り返し送信を続けながら、南の空へと
消え去って行った。

恐らく彼らは遠ざかりゆく祖国の山河を振り返りながら、心の中でも「さようなら……」 と、
万感の思いを込めて別れを告げていたに違いない。

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           離陸直前の762空の銀河。


戦没者追悼 http://www.warbirds.jp/senri/08tubasa/06matuki/index.html

        10-41、九段の庭に咲きてあはなむ

松木1飛曹とペアを組んだ山根1飛曹の古里もまた、宮崎へ向かう飛行経路に近い広島県の
尾道市である。松木1飛曹とお互いの古里に最期の別れを告げるため、訪問飛行をすることを
相談したであろうと推察する。しかし、山根1飛曹が遺書を投下したという話は残されていない。
恐らく地形などの関係から低空飛行を断念したのではないだろうか。だが、生まれ育った古里
の家並みを上空から眺めながら、過ぎし日を思い起こし、万感の思いを胸に秘めて、陰ながら
ご両親に別れを告げたのではなかろうか。山根1飛曹は次の辞世を遺している。

 戦友と共に誓いし桜花
   九段の庭に咲きてあはなむ
            山 根 三 男

故海軍少尉松木学君(愛媛県・19歳)及び故海軍少尉山根三男君(広島県・18歳)は、762空
攻撃406飛行隊で編成した「神風特別攻撃隊第九銀河隊」の隊員として、昭和20年5月11日
0521、 宮崎基地を発進した。 そして、 沖縄周辺に蝟集する敵艦船群に対して必死必殺の
「体当たり攻撃」を敢行して悠久の大義に殉じた。

その功績は、聯合艦隊告示第233号により全軍に布告された。


☆第九銀河隊 搭乗割
2D−1 操縦 1飛曹 谷岡  力  (福井・丙飛10期)
      偵察 少 尉 山川 芳男 (東京・予備13期・中大)
      電信 1飛曹 杉野 三次 (三重・乙飛18期)

2D−2 操縦 1飛曹 松木  学  (愛媛・甲飛12期)
      偵察 1飛曹 山根 三男 (広島・甲飛12期)
      電信 1飛曹 伊東  勲  (大分・乙飛18期)

10-40、古里の空へ

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       松木君が目標としたであろう古里の山。


戦没者追悼 http://www.warbirds.jp/senri/08tubasa/06matuki/index.html

        10-40、古里の空へ

故海軍少尉松木学君は、宇佐空で艦上爆撃機の飛練を卒業し、同期の江藤君や古小路君など
と一緒に出水基地所在の762空に配属された。ここで、最新鋭爆撃機「銀河」による錬成訓練を
開始した。 ところが、南九州地区が敵機動部隊やB29の空襲を頻繁に受けるようになったため、
飛行隊は原隊を離れて美保基地に移動して錬成訓練を行うことになった。

訓練終了とともに松木君らは「特攻隊」に編入され、出撃基地宮崎基地へ移動することになった。
彼は、 その移動途中に規則を無視し、 編隊を離れて懐かしい生家の上空へ飛んだ。 そして、
母親に宛てた遺書をマフラーに包んで投下するという非常手段をとったのである。

終戦後聞いた話である。 昭和20年5月10日、 愛媛県宇摩郡長津村の上空に、突然飛行機が
現れて低空を旋回しはじめた。 そして、白い布に包んだ物を投下して翼を振りながら南西の空へ
と飛び去った。 これを見ていた松木トキさんは、 直感的にわが子が最期の別れを告げに来たの
だと確信した。 だから、 この包みを拾って駐在所に届けたうえ、警察官に立ち会ってもらいその
包みを開いた。

 謹みて生前の御礼申上候
 今は此の感激が何にか譬へられず候
 大日本帝国の繁栄を神仏賭けて御祈願申上候

   誰の手に 手折られけんか桜花
       ただ知るのみは 醜の御盾と

    攻撃四〇六飛行隊
            海軍一等飛行兵曹 松 木 学
  母上様

松木1飛曹の古里は愛媛県宇摩郡で、美保基地から宮崎基地へ移動する飛行経路のやや東側
にあった。そのうえ、下士官だけで編成されたペアで、偵察員が同期生の山根1飛曹という好条件
に恵まれていた。 だから、このように飛行規律を無視して、 生家の上空を飛ぶという非常手段を
とることができたのであろう。

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          新鋭艦上爆撃機「彗星」。


戦没者追悼 http://www.warbirds.jp/senri/11sensi/index.html

        10-39、江嶋春生1飛曹殉職

762空攻撃406飛行隊は、出水基地が空襲を受けるようになったため、訓練基地として鳥取県
の美保基地に移動した。 ここでは空襲の心配もなく、訓練に明け暮れていた。ところが5月8日、
同じ基地で訓練を行っていた、 701空攻撃105飛行隊に着任して間もない、 大分県出身の、
江嶋春生1飛曹が殉職した。 彼は、 美保基地の指揮所を目標に、 彗星艦爆で急降下爆撃の
訓練中に、抵抗板不良のため操縦不能となり墜落したのである。

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            雷撃隊出動。


戦没者追悼 http://www.warbirds.jp/senri/11sensi/index.html

        10-38、20年5月前半の戦没者

20. 5. 3 高辻 萬里 (福岡県・18歳)  12空攻撃253
20. 5. 3 田中 良光 (宮崎県・18歳)
 神風特別攻撃隊 振天隊隊員として新竹基地を発進。 沖縄周辺の敵艦船に体当たり攻撃を敢行。(九九艦爆)

20. 5. 3 小林 喜三 (滋賀県・18歳)  詫間空
 九州南東方面夜間索敵のため詫間基地を発進。 以後消息不明の処、 戦死認定。(二式大艇)

20. 5. 4 轟   彗 (福岡県・18歳)  詫間空
 神風特別攻撃隊 琴平水心隊員として指宿基地発進。 沖縄周辺の敵艦船群に体当たり攻撃を敢行。 (水偵)

20. 5. 4 岡本 賢蔵 (徳島県・18歳)  901空
 天山艦攻に搭乗して電測訓練中、 大分県大分郡庄内村に墜落。 殉職。

20. 5. 5 川真田 昌二郎 (徳島県・17歳)  青島空
 航法・通信訓練中、 宍道湖西北方伊野灘湖岸沖合に墜落。 殉職。

20. 5. 7 石田 儀進 (宮崎県・17歳)  12空攻撃253
 神風特別攻撃隊 振天隊隊員として新竹基地を発進。 沖縄周辺の敵艦船に体当たり攻撃を敢行。(九九艦爆)

20. 5. 8 江嶋 春生 (大分県・18歳)  701空攻撃105
 急降下爆撃訓練の目的にて美保基地を発進。 抵抗板不良のため、 島根県能義郡赤江村に墜落。 殉職。

20. 5. 9 村田 真伍 (熊本県・17歳)  201空
 離着陸訓練飛行中失速となり、 愛知県碧海郡旭村に墜落。 殉職。

20. 5. 9 鳥居  信 (熊本県・17歳)  12空攻撃253
20. 5. 9 黒岩 芳人 (福岡県・17歳)  12空攻撃253
 神風特別攻撃隊 振天隊隊員として宜蘭基地を発進。 沖縄周辺の敵艦船に体当たり攻撃を敢行。(九九艦爆)

20. 5.11 小野 静雄 (佐賀県・17歳)  931空攻撃251
20. 5.11 山岡 智明 (高知県・18歳)  931空攻撃251
 神風特別攻撃隊 菊水雷桜隊員として串良基地発進。 沖縄周辺の敵艦に対し、 体当たり攻撃を敢行。(天山) 

20. 5.11 松木  学 (愛媛県・19歳)  762空攻撃406
20. 5.11 山根 三男 (広島県・18歳)  762空攻撃406
 神風特別攻撃隊 第九銀河隊員として宮崎基地発進。 沖縄周辺の敵艦船群に対し、 体当たり攻撃を敢行。

20. 5.11 田中 辰三 (山形県・17歳)  721空攻撃708
 第八桜花特別攻撃隊 神雷部隊攻撃隊員として鹿屋基地発進。 沖縄周辺の敵艦船攻撃を決行。 (一式陸攻)

20. 5.13 大曲 重賢 (福岡県・18歳)  12空攻撃253
 神風特別攻撃隊 振天隊隊員として新竹基地発進。 沖縄周辺の敵艦船に体当たり攻撃を敢行。(九七艦攻)

20. 5.13 福元 清則 (鹿児島県・18歳) 765空攻撃102
20. 5.13 柴田 昌里 (高知県・18歳)  765空攻撃102
 神風特別攻撃隊 忠誠隊隊員として宜蘭基地を発進。 慶良間列島付近の敵機動部隊に体当たり攻撃を敢行。 (九六艦爆)

20. 5.14 古田  稔 (愛知県・20歳)  721空戦闘306
 神風特別攻撃隊 第十一健武隊員として鹿屋基地を発進。 種子島沖の敵機動部隊に体当たり攻撃を敢行。 (爆戦)

20. 5.15 島元 義春 (鹿児島県・18歳) 12空攻撃253
20. 5.15 小原 辰夫 (鹿児島県・17歳) 12空攻撃253
 神風特別攻撃隊 振天隊隊員として新竹基地を発進。 沖縄周辺の敵艦船に体当たり攻撃を敢行。 (九七艦攻)


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