老兵の繰り言

「特攻隊」の生き残りが後世に語り継ぐ鎮魂の記録です。続いて、自衛隊草創期のうら話などを紹介致します。

13想いで話

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             飛行練習生当時の二村君。

想いで話 http://www.warbirds.jp/senri/ 

        13-618、二村治和君の手記         

私は谷田部航空隊で赤トンボをやり、宇佐航空隊で九六艦爆と九九艦爆
の操縦教育を受けた。この時の分隊長兼教官が 「宇垣特攻」の指揮官と
して出撃した中津留大尉である。 私は特に可愛がってもらった。 最後の
出撃に際して、私を二番機につけてくれたのである。

昭和十九年十一月飛練を卒業した私は明治基地の二一〇空に赴任した。
ここで、彗星艦爆(三三型)の操縦員として錬成訓練を開始した。 実家か
ら近かったので、 訓練飛行のたびに我が家が無事かどうか確認すること
ができた。

鹿児島県国分基地に進出したのは、昭和二十年三月末である。中津留
大尉も少し遅れてやってきた。 出撃の機会は二回あったが一度は中止、
一度は屋久島の上空まで進出した時、「引き返せ」の命令を受けた。

六月に再編成のため、美保基地まで後退した。後輩甲飛十三期出身の
栗原浩一二飛曹とペアを組んで、近くの隠岐島〜米子基地〜美保基地
のコースを飛んで訓練を行っていた。

七月始めごろ、中津留大尉に率いられ大分基地へ向かった。大分基地
上空に着いたのは夕方五時ごろでした。 着陸寸前のことである、前方
の一番機が、いきなり機首を起こして急上昇していくのが見えた。 私も
ハッと気づいて急上昇して離脱した。

全く突然という感じで、グラマンF6Fに襲撃されたのである。私は目の
隅で三番機が別府湾に落ちていくのを見た。

〔二村1〕
八月十四日の夜、珍しく中津留大尉が下士官宿舎に一升瓶を下げて
やってきた。
「今夜はひとつ、みんなであるだけの酒を飲んでしまおうや……。
貴様たちも取っておきを出さないか」
大尉からそんなことを言われるのは初めてのことである。 一斉に
歓声を上げながらそれぞれ秘蔵の酒を持ち出し、二十名ほどが車座
になって酒盛りを始めた。 大尉は酒には滅法強い、いくら飲んでも
酔った様子はなくニコニコ笑っていた。

〔二村2〕
私は酔い潰れて、いつ寝たのか全く覚えていない。
「出撃命令だぞー」と、揺り起こされた時は既に午前九時を過ぎていた。
素早く飛行服を着込んで、宿舎まで迎えに来たトラックに乗り込んだ。
「これは特攻だ! ついに来るべきものが来た」と、私は感じた。

〔二村3〕
飛行場には十時ごろ着いた。「搭乗割」の黒板を見ると、二番機に
私の名前があった。 中津留隊長機につづく二番機の指定である。
私は少なからぬ感激と優越感をおぼえた。十二時出撃とのことで
待機していたが、そのうち出撃命令は何故か解除され、
「そのまま待機せよ」と、指示された。

〔二村4〕
午後何時ごろだったか覚えていないが、「沖縄に特攻をかける」との
命令がきた。「搭乗割」から洩れていた連中が、同行させてくれと騒ぎ
だした。黒板を蹴倒したり、男泣きしながら隊長に詰め寄るさまを、
私は選ばれた者の一種の優越感をもって眺めていた。

〔二村5〕
「爆弾を八十番に変更せよ」との指示で、積み替えを実施したが、
弾倉に入りきらず半ばはみ出したまま装着した。「ガソリンも半分
抜き取れ」との指示もでた。

〔二村6〕
午後四時、われわれ二十二名は二列横隊で指揮所前整列した。私は
右から三番目に並んだ。日の丸の鉢巻の裾を長く背中に垂らして、
次の命令を待っていた。やがて黒塗りの乗用車が三台近づいてきた。
私は内心驚いた。高官たちがそろって見送りにくるなんて、はじめ
てのことである。さらに、第五航空艦隊司令長官の訓示があると
告げられたときは耳を疑った。

〔二村7〕
「本職先頭にたって、今から沖縄の米艦艇に最後の殴り込みをかける。
一億総決起の模範として死のう!」と言われ、山本五十六元帥からい
ただいた短剣をぐっと前に突き出された。われわれもいっせいに、
「ワーッ」と歓声をあげ、右の拳を突き上げた。
つづいて、中津留大尉が、「降爆してからいったん機を引き起こし、
そのあと空身で突っ込め」と、指示された。

〔二村8〕
一番機の操縦は中津留大尉、その後席に宇垣中将と遠藤飛曹長が乗り
込んだ。一番機に続いて二番機の私も離陸、初めて積んだ八〇〇キロ
の重さで、一、〇〇〇メートルの滑走路を一杯に使ってようやく海面
スレスレに浮上した。

宇垣特攻編成表

操縦員      偵察員         参考
中津留達雄大尉(海兵70期)遠藤秋章飛曹長(乙飛 9期)宇垣長官同乗
伊東幸彦中尉  (海兵73期)大木正夫上飛曹(乙飛17期)
山川代夫上飛曹(丙    飛)北見武雄中尉  (海兵73期)
池田武徳中尉  (学生13期)山田勇夫上飛曹(甲飛11期)
渡辺操上飛曹  (甲飛11期)内海進中尉   (学生13期)
後藤高男上飛曹(丙    飛)磯村堅少尉   (生徒 1期)
松永茂男二飛曹(特乙 1期)中島英雄一飛曹(乙飛18期)
藤崎孝良一飛曹(丙    飛)吉田利一一飛曹(乙飛18期)
前田又男一飛曹(丙    飛)川野良介中尉  (学生13期)不時着
川野和一一飛曹(乙飛18期)日高保一飛曹  (乙飛18期)不時着
二村治和一飛曹(甲飛12期)栗原浩一二飛曹(甲飛13期)不時着

☆今日の一言☆  
七重の膝を八重に折る
[AOZORANOHATENI] 

13-617、同期生との雑談

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            飛行練習生当時の長谷川君。

想いで話 http://www.warbirds.jp/senri/ 

        13-617、同期生との雑談
 
長谷川昌昭君は、鹿児島空の予科練から谷田部空の飛練と同じ分隊で
苦労を共にした仲です。戦後再会して旧交を暖めています。

彼は三〇二空の所属で、終戦の際に「厚木事件」に加担し「軍法会議」に
かけられた経歴の持ち主です。

ある年の同期生会で私が、「俺が今度本を出版するので、 お前の厚木
事件の体験談を載せたいと思うから、 原稿を書いてくれないか……」と
頼みました。 「神雷部隊」で出撃経験のある、 長浜君や「白菊特攻隊」
での出陣を体験した、藤岡君の原稿は既に手元に届いていた時期です。

ところが、「馬鹿言うな! 俺は巣鴨にかまって(収監されて)軍法会議に
かけられ、下士官から兵隊に降等された人間だぞ! お前らに自慢でき
るような話じゃないんだ!」 と剣もほろろでした。

二村治和君(二十二分隊一班)と長谷川君(二十二分隊二班)は隣同士の
班で訓練を受けた仲です。「大島(旧姓・二村)よ、お前らは戦争が終わっ
てから出撃したのに、何のお咎めもないのか……
俺たちのは計画はしたが、出撃もしていないのに軍法会議だ! 不公平
とは思わんか……」
「馬鹿言うな、戦死した人間を軍法会議なんかにかけられるか…… 」
「お前らの出撃したのは八月十六日で、停戦命令が出た後だったと永末
や出直敏が言ってるが、本当はどうなんだ…… 」
「永末の奴、あんな事を言い出しやがって、真相は俺しか知らんのに…」

二村君は「最後の特攻」の生き残りとして、 いろいろな著名作家からの
取材を受けています、 ところが、必ずしも彼の真意が伝わってないこと
に、不信感を持っている様子でした。
だから私は、 自分の筆で真相を書き残して発表しないかと勧めました。
そして、彼から送られてきた手書き原稿を活字に直し、再度の校正を経
て出版社に送りました。

☆今日の一言☆  
水魚の交わり  

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             不時着。

想いで話 http://www.warbirds.jp/senri/ 

        13-616、日高恒太郎氏の戦記
 
〔日高1〕
「直接玉音放送を聞いたわけではないが、戦争が終わったらしいという
ことは搭乗員全員が知っていましたよ」
             (生還した川野和一氏との会話)

〔日高2〕
事実ののとらえ方にいくつもの食い違いが見られるのもこの 「最後の
特攻」の特徴だ。 二村治和元一飛曹は、十五日前夜の出来事を次の
ように書いている。
《八月十四日の夜、珍しく中都留大尉が下士官宿舎に一升瓶を下げて
やってきた。「今夜はひとつ、以下略》
士官と下士官が一緒に酒を酌み交わすことなどめったにない基地生活
のなかの、いわば異常な出来事を川野はまるで記憶していないという。

〔日高3〕
私は、川野和一元上飛曹の語る「事実」だけを頼りに、 八月十五日に
起きた「下士官たちの特攻」を記していくことにする。
八月十五日午前十時、搭乗員宿舎に伝令が来た。
「敵艦隊(略)搭乗員は全員飛行場に集合せよ」

〔日高4〕
午後三時ころになっていたと思う。
「敵艦隊は沖縄に集結中、これに特攻をかけ撃滅する」

〔日高5〕
午後四時半過ぎ――。
飛行場に黒塗りの車三台が到着した。
「中都留大尉、 三機だけでよいと命じていたのに、これはどうした
ことか」
「長官が特攻をかけるというのに、 三機だけとはもっての外、私の
部下一一機、全員がお供します」

〔日高6〕
訓示が終わると、指揮所前に準備されたテーブルの上にスルメ一匹
ずつが置かれ、幕僚の参謀たちが隊員一人一人にコップを握らせた。
酒は白鹿の一級酒。(以下略)
★酒は白鹿の一級酒。――この表現は疑問。時代考証無視。
当時われわれも「白鹿」は飲んでいました。但し、一級酒・二級酒の
区分はありませんでした。戦後の昭和28年に「酒税法」が制定され、
アルコール度数により課税されるようになりました。
その際、アルコール度数により、一級酒・二級酒に区分されるように
なったと記憶しています。

〔日高7〕
攻撃目標と飛行コースは以下の通りであった。(中略)
午後五時。出発の時が来た。
★午後四時半過ぎ。長官が到着。中都留大尉との編成のやり取り。
長官訓示。攻撃目標と飛行コースの指示。別杯。
これだけの行事が、僅か三十分間に実行可能でしょうか?

☆今日の一言☆  
君子は豹変す  

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             八月十五日の生きざま。

想いで話 http://www.warbirds.jp/senri/ 

        13-615、酒井文彦氏の戦記
 
〔酒井1〕
午前十時、 飛行場から一キロメートルほど離れた搭乗員宿舎に伝令が
走った。
「敵艦船は本土に上陸するため東支那海を済州島に向け北上中、搭乗員
は全員飛行場に集合せよ」

〔酒井2〕
午後一時、大分基地では、非常呼集を受けた搭乗員三十数名が飛行場
の指揮所へかけつけていた。

〔酒井3〕
「本日正午、 陛下御自からによる玉音放送があり、 大日本帝国は降伏
した」

〔酒井4〕
「命令を伝える。一六〇〇、我が七〇一空は沖縄へ突っ込む。各自点検
を終わって集合せよ。宇垣長官も参加される」

〔酒井5〕
午後三時、 大分飛行場指揮所前の黒板に二十二名の搭乗員割が記入
された。

〔酒井7〕
爆音轟く中、別杯の儀式が行われた。指揮所前のテーブルには杯とする
めが一枚ずつおかれている。

〔酒井8〕
遠藤飛曹長は頑として聞き入れなかった。
「 突入時刻は夜になりますので、 私のようなベテラン下士官偵察員が
いなければ、迷子になってしまいます」
★搭乗員割は搭乗割の間違い。
★遠藤飛曹長は下士官ではなく、準士官です。
また、会話の中で数箇所「殿」を付けていますが、海軍では「殿」は付け
ません。

☆今日の一言☆  
小人閑居して不善をなす  

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             指揮官たちの特攻。

想いで話 http://www.warbirds.jp/senri/ 

        13-614、城山三郎氏の戦記
 
直木賞作家の城山三郎氏が、 「指揮官たちの特攻」を新潮社から出版
致しました。 巻末の参考文献の中に、私の著書名が掲載されています。
「蒼空の果てに」「白菊特攻隊」「神風は吹かず」です。実はこれには裏話
があります。

平成十三年八月のことてした。 私の著書を読まれた城山氏から連絡が
ありました。ハワイ在住の、南進保君を紹介して欲しいとのことです。

南進君は私と予科練同期生で、同じ班で訓練を受けた仲でした。 彼は
日系二世で、日本に留学中に開戦となり、自国アメリカと戦うことを承知
で予科練に志願した人物です。 そんな事情で、 終戦後も暫く帰国でき
ませんでした。

城山氏も特異な彼の話を聞いて本にしたいとの願いのようす。 そこで、
同じ日系二世で、終戦後も帰国せず、得意の英語を生かして佐世保の
進駐軍で活躍している、上野静喜君を紹介しました。

佐世保で上野君と懇談した帰りに、折角九州に来たのだからと、大分
の戦跡を見物されました。そこで生まれたのが「指揮官たちの特攻」な
のです。

〔城山1〕
八月十四日の夜、大分の中津留隊では、ささやかな異変が起きた。
横穴壕二段ベッドに居た下士官たちのところへ、 突然酒を持って
中津留大尉が現れたのである。

〔城山2〕
そして、八月十五日。
正午には天皇のお言葉の放送がある旨、ラジオは朝から予告をくり
返していた。 また、サンフランシスコ放送は、 日本がポツダム宣言
を正式に受諾し、戦争が終わった旨報じており、それらは刻々宇垣
に伝えられていた。 それでいて、 宇垣は中津留大尉を呼びつけた。
「七○一空大分派遣隊は、 艦爆五機をもって沖縄敵艦隊を攻撃す
べし。本職これを直率す。第五航空艦隊司令長官 中将 宇垣 纏」
というのが、参謀に書かせた命令書だが、命令書は渡さず、口頭で
伝えた。(一部省略)
そこで中津留は五機の搭乗員の編成割りを書いて貼り出すと、大騒
ぎになった。

〔城山3〕
こうして、 午後四時近く、 沖縄水域への出撃と決まり、 隊員たちは
指揮所前に整列したが、そこえ黒塗りの三台の車が着き、先頭の車
から、 宇垣長官が降り立ち、迎える幕僚たちは、 それまで見たこと
もない表情に。 司令長官も一緒になって出撃とわかり、隊員たちは
驚きの声を上げ、顔を見合わせた。

☆今日の一言☆  
呼ぶよりも謗れ  
    

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