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機上作業練習機「白菊」。
特攻隊時代 http://www.warbirds.jp/senri/
14-5、「体当たり攻撃」の訓練開始
特別攻撃隊が編成されると、早速「体当たり攻撃」の訓練が開始されました。「白菊」
での特攻は、初めから単機での出撃を想定していたのであろう、編隊飛行の訓練は
一切行わず、単機ごとの航法・通信訓練が主体でした。 離陸して高度をとりながら
御前崎に向かいます。 御前崎を基点として、 100浬ほど太平洋上に進出します。
次に側程30浬を飛んで帰投します。この三角航法訓練が連日続けられました。
また、付近を航行する艦船などがあれば、「御前崎からの方位○度○浬、進行方向
○度○ノット」と、その位置や進行方向が示され、これを目標にした接敵攻撃の訓練
が実施されました。 各機ごとにチャート(航空図)に目標の位置を記入し、 飛行場
からの方位と距離を計測します。次に、気象状況などを勘案し、 接敵の高度や方向、
それに「体当たり攻撃」の要領など、事前に研究してから攻撃に向かいます。
目標を発見すると低空接敵に移ります。海面での低空飛行は艦上攻撃機操縦員の
お家芸です。鹿島灘での雷撃訓練が大いに役立ちました。プロペラの風圧で、海面
に水しぶきが上がるほどの超低空飛行です。こうなると、高度計の針はマイナスを
指して役にはたちません。
これは出発に際して、標高183メートルの飛行場をゼロメートルとして、高度計を
規正するからです。実際の高度は、恐らく10メートル以下でしょう。一瞬の油断が
事故の原因となるので、飛行中は緊張の連続でした。
急降下のできない「白菊」では、超低空で敵艦に接近してそのまま体当たりするか、
2,000メートル程度で進撃して緩降下しながら接近して、体当たりする方法が考え
られていました。敵のレーダー探知を避けるため、低空で接近し、体当たりの効果
を高めるため、直前で急上昇して切り返す方法なども検討された様子でした。だが、
25番を両翼に抱けば、 飛行性能から考えても、そのような器用な操作などでき
ないことは分かり切っていました。
そして、昼間での錬度が向上すると、次は、 夜間飛行に移行しました。 「白菊」の
性能から、夜間以外に接敵できる可能性はないとの判断です。夜間飛行は徹底的
に実施されました。
艦上攻撃機で、夜間雷撃の訓練を実施するのであれば、生還の可能性をかけて、
猛訓練にも耐えることができます。だが、帰還を否定されている「体当たり攻撃」に、
なぜこれほどの訓練が必要なのでしょうか。技術的な問題よりも、精神的な問題
の解決こそ重要ではないかと痛感させられました。
☆ご遺族の詠歌☆
永久の別れをひめてはらからと 笑いかわせしこころいじらし
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