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B29爆撃機の編隊。
昔日を偲んで http://www.warbirds.jp/senri/
15-20、「空襲警報」発令
8月10日前後の出来事でした。大井航空隊に最後まで残って「特攻待機」を命じ
られていた、 われわれ第3八洲隊(第3中隊をこう呼んでいました)は、引き続き、
夜間飛行訓練を実施していました。その夜、私は前段での夜間接敵訓練を終了し、
指揮所の近くで休憩していました。すでに夜半も過ぎて、後段で出発した飛行機が
次々に帰投し始めていました。
その時、突然《空襲警報》が発令されました。B29による夜間爆撃です。 上空まで
帰っていた飛行機を急いで着陸させ「夜設」が消されました。 整備員は着陸した
飛行機を地上滑走ではなく手で押して、飛行場の周辺に設けられている掩体壕に
搬入しました。ところが、「搭乗割」の黒板を見ると、まだ一機だけ帰投していない
飛行機があります。
B29の編隊は東の方向から御前崎の上空まで来て、ここで南方に変針して飛び
去って行きます。静岡方面を空襲しての帰りでしょう。高度は夜間空襲のためか、
5,000〜6,000メートル程度で、昼間の空襲に比較してやや低くめの高度です。
コースは飛行場の南東方向で、十分見通しのきく距離です。
10機前後の敵編隊は、一定の間隔を置いて、次々に上空を通過します。地上で
は、タバコも吸えない厳重な灯火管制を実施し、 息をひそめてこれを見詰めて
います。その時、B29とは別の爆音が近づいてきました。 御前崎よりやや東側、
大井川の河口方向から飛行場の南側を通過しながら、味方識別のために舷灯を
つけました。そして、
「― ― - ― ― - (リギン帰投しました、着陸準備されたし)」
との合図を発光信号で送ってきました。間違いなく味方の「白菊」です。
「リギン、帰投しまーす!」
見張員が弾んだ声で叫びました。
指揮所をみると、 飛行隊長と分隊長が何やらヒソヒソと打ち合わせをしている
様子です。夜設係はいつでも「夜設」に点火できる準備をして、指示の出のるを
待っています。ところが、「夜設点灯」の指示がなかなか出されません。
帰投した飛行機は、 そのまま飛行場上空を通り過ぎてしまいました。 しばらく
すると、 また爆音が近づきました。 「リギン」が引き返してきたのです。盛んに
発光信号を送ってくるのですが、 応答の指示が出ません。 そのまま御前崎の
方向へ飛び去りました。
☆今日の一言☆
船頭多くして船山へ登る
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