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空襲の被害。
青春の回想 http://www.warbirds.jp/senri/
16-131、再び大井航空隊ヘ
沖縄を占領したアメリカ軍は、次の作戦目標として、本土上陸を画策するはずです。
状況は更に逼迫してきた様子です。7月下旬、われわれが担当していた、偵察員に
対する錬成訓練は中止されました。そして、再び「特攻隊」の編成を命じられました。
急きょ大井航空隊へ帰還するため、身の周りの整理をしていると、空襲警報が発令
されました。B29による夜間爆撃です。飛行場に出て、いつでも退避できるようにと、
防空壕の端から空を見あげました。
すると、四日市の上空と思われる方向でB29の編隊から次々に投下される焼夷弾
が大空を彩っています。火花が滝のように降り注いでいます。怖いという感じよりも、
不謹慎ですが、打ち上げ花火のように美しいと形容したい光景でした。
悪夢のような一夜が明けました。 飛行場に直接被害はありませんでしたが、終夜
の空襲で寝不足です。 手荷物をまとめて、トラックに乗り亀山駅まで送ってもらら
いました。昨夜の空襲は、四日市だけではありませんでした。亀山の町も焼夷弾で
焼かれ、あちこちにまだ煙が上がっていました。また、道路の端に牛の死骸が放置
されたままで、地獄を思わせる風景でした。
汽車に乗り、四日市、名古屋、浜松と通過します。 窓から見えるのは、焼け野原と
なった町並みだけです。人影もほとんど見かけません。いよいよ最後の時が近づい
たことを肌に感じていました。 日ごろはふざけ合う仲間も、今日はお互いに口数も
少なく、表情には出さなけれど覚悟を決めている様子でした。
1ヵ月にわたる、鈴鹿基地での勤務を終わり、大井航空隊に帰ってみると、空虚で、
なんとなくガラーンとした感じです。 話によれば、第5航空艦隊に配属された高知
航空隊と徳島航空隊が、 沖縄周辺の敵艦船に対し 「体当たり攻撃」 を敢行して、
ほとんど全滅した様子です。
その穴埋めに大井航空隊で編成した、「八洲隊」の第1中隊は兵庫県の峯山基地
へ、第2中隊が愛媛県の石手基地へと、基地総員の盛大な見送りを受けて進出し、
第5航空艦隊の指揮下に入ったとのことです。残るは、われわれ第3中隊の30数
機だけとなったのです。いよいよ出撃の時が近づいたのです。沖縄を占領した敵は、
次はどこへ上陸してくるのでしょう。 九十九里浜か、それとも駿河湾か。いずれに
しても、その時こそ「八洲隊」の特攻出撃の時であり、死ぬ時期であると覚悟を決め
ました。
☆今日の一言☆
二度あることは三度ある
[AOZORANOHATENI]
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