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税務研修。前列右端が吉川教授。
特攻くずれ
4-7、税務講習
私の勤務していた直方財務事務所は、地方事務所税務課が分離独立したもので、地方税法に基づ
き県税の徴収を実施する機関です。事業税・特別所得税などの直接税と、遊興飲食税や入場税な
どの間接税を徴収していました。担当地域は、直方市・鞍手郡・遠賀郡でした。
私は直税課法人係に配属され、法人事業税の賦課徴収を担当しました。当時の福岡県は県知事が
社会党系のため、平衡交付金などが他県に比較して冷遇されていました。一種の嫌がらせです。
だから予算折衝なども、知事では中央官庁が相手にしないため、知事に代わって副知事が上京し
ていました。そのような状況で、財源確保のため自前の税収入に重点かおかれていたのです。
入所して間もなく新地方税法修学のための税務講習が、福岡市の百地浜にあった、職員研修所で
行われることになり、交代で派遣されました。4週間の泊り込みです。地方税法を始め、会社の
決算書類を閲覧する能力を高めるために、簿記の講義まで含まれていました。
この講習で印象に残っているのは、福岡商大の吉川教授が担当された簿記の講義です。吉川教授
は米国留学時の経験を面白可笑しく話されました。私は旧制商業学校の卒業で、簿記については
一応の知識は持っていました。ところが商業学校ではどの先生からも教えられず疑問に思ったこ
とを、いとも簡単に説明して頂き納得することができました。
話が長くなりますが、今の学生にも参考になると思いますので説明致します。簿記を習い始めて
誰でも疑問に思うことがあります。それは借入金勘定の借方(DR)と貸方(CR)の関係です。
借入金勘定では、借り入れの場合は貸方(右側)に記入し、返済した場合は借方(左側)に記入します。
商業学校の先生は、簿記の約束事だからそのように覚えなさいとしか説明しませんでした。
ところが、吉川教授の説明は欧米人と日本人では、何事も反対であることを先ず認識しなさいと
言って、色々な例をを挙げて説明しました。のこぎりは、日本では引くときに切るが、米国では
反対に押すときに切る。物の貸し借りでも、日本人は金を貸した、金を借りたと自己を中心にす
るが、欧米人は彼が私に貸した、彼が私から借りたと表現するのだそうです。
このよう、欧米での生活習慣から簿記の借方や貸方が、日本人の感覚からみれば逆になるのです。
ちなみにある行為の頂点で発する言葉は、「go!」ではなくて、「comeing!」なのだそうです。
また、釣銭の計算するのに日本人は引き算で、欧米人は足し算で行うそうです。80円の品物を
買い100円を出した場合、100円から80円を引けば20円だから20円の釣銭となります。
これが日本人の計算です。ところが、80弗の品物を買い100弗を出せば80弗に20弗を足
して100弗になるのだから、20弗の釣銭というのが欧米人の計算だそうです。
数年後、私は航空自衛隊に入って、一時期米軍と共同生活をしましたが、この時の講義が非常に
役立ちました。
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