老兵の繰り言

「特攻隊」の生き残りが後世に語り継ぐ鎮魂の記録です。続いて、自衛隊草創期のうら話などを紹介致します。

5航空自衛隊

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5-134、基地警備演習

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             ADXの主役。


自衛隊うら話    
          5-134、基地警備演習 

毎年秋になると、 航空自衛隊恒例のADX(防空演習)が実施されます。 レーダーサイトと航空団
それに高射隊の機能を総合的に演練するのです。またこれと関連して、各基地毎に基地警備演習が
行われます。

演習では基地司令その他のお偉方は、統裁部を編成して本来の配置から外れます。だから演習部隊
の指揮官は、それぞれ一段階づつ上級部隊の指揮をとることになります。芦屋基地では基地司令に
代わり、第3術科学校業務部長、鑰山1佐が基地全般の指揮官となります。

基地を3区域に分けて区域別に警備を担当します。 西地区は第2高射群、中地区は第13飛行教育
団、そして東地区が第3術科学校の担当です。 西のナイキ陣地、 中の飛行場そして東の隊舎地区と
何れも、所属人員に比較して広大な割り当て区域を受け持つ関係で、警備配置の密度は薄くなるのは
止むを得ません。

第3術科学校では、教育部の幹部教官は審判官を命じられて「統裁部」に編入されます。空曹教官は
主としてフェーカー(仮設敵)となって別行動をとります。だから、第3術科学校の警備部隊は学生隊と
業務部の一部が主力となって編成されます。東地区の指揮官は本来ならば学生隊長ですが、演習で
は第一大隊長の役目となります。

演習に関する「一般命令」に基づいて、警備部隊を編成します。指揮下に編入された全隊員を講堂に
集めて演習規定を説明するとともに、必要な注意事項を与えます。特に武器の取り扱いについては、
慎重に行うよう注意を喚起します。空包であっても、条件次第では殺傷能力があるからです。

演習は早朝の「非常呼集」によって開始されるのが通例です。乙武装に身を固め、予め指示した警備
部隊の編成に基づいて集合します。直ちに「現況説明」を行い警備計画に基づいて配置に付けます。
ここまでが第1段階です。

配置に付けたままで交替で朝食をとらせます。昼間は陣地の構築や歩哨勤務の要領など、それぞれ
の配置において教育を実施します。これが第2段階です。演習の本番は夜間に実施されるのが通例で
した。役職は変わっても毎年同じような演習に参加しているので、その流れは予測できるのです。

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              全日空機と自衛隊機の空中衝突事故。


自衛隊うら話    
          5-133、死亡事故の後始末 
         
ちょうどこの時期、雫石上空で自衛隊のF86F戦闘機と全日空機が空中衝突事故を起こし、大勢
の犠牲者を出しました。その責任をとられて就任後間もない、増原防衛庁長官が辞任されました。
また、航空幕僚長上田空将も長官に続いて辞任されるという事件が起きました。

私もこの事件と前後して、部下隊員を2名死亡させました。彼らは私が大隊長に就任する以前か
ら、北九州市若松区内の精神科の病院に入院加療中でした。そして、彼らと同期の学生はすでに
卒業して、ここでの顔見知りは区隊長と区隊付だけという状態でした。

時期をみて区隊長を伴って見舞に行きました。 顔色も良くて元気そうなので安心していたところ、
突然の訃報です。すぐに病院に行って、お通夜・葬儀・火葬と一連の処置を、区隊長や区隊付を
指揮して取り仕切りました。この間、本来ならこれらの業務を直接担当するはずの学生隊本部か
らは、何の支援もありませんでした。

会計幹部として、この種の実務には経験があり、使用可能な予算なども承知していたので、業務
処理に不安はありませんでした。また、会計課長も「会計一家」の苦境に対して、物心両面で協力
していただき、事後処理も無事終了しました。

一段落したと思ったら続いて同じ病院に入院していた他の1名が、病院からいなくなったとの連絡
を受けました。前回以上の大騒ぎとなり、警備班に依頼して警備犬を使っての捜索も不調で依然
行方が分かりませんでした。そして、3日目に遺体で発見されました。  

遺体の収容、死体検案の立会いなどこの時も、前回同様に学生隊本部からの指導や指示などは
一切ありませんでした。だから、大隊だけで処理する以外になかったのです。余分な仕事を背負
い込んだ区隊長や区隊付は大変でした。不必要なことには口出しするのに、肝心な時には知らぬ
顔をしているのです。これでは何のための学生隊本部なのか分かりません。これが私の体験した
学生隊本部の体質でした。

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              学生隊本部機能せず!


自衛隊うら話    
          5-132、学生隊本部の編制と機能 

そもそも学生隊本部が積極的に動かないため、その皺寄せが区隊長や区隊付にやってくるのです。
そして、何か事件が起きると区隊長や区隊付に、その責任を押し付けて反省がありません。 真の
責任者はもっと上の方にいるのです。

要するに、学生にあれこれ文句を言う前に、勉学に専念できる教育環境を整備する事が先決問題
です。ところが、いくら意見具申しても学生隊長止まりで上には届きません。素人の大隊長の分際
で改善意見など僭越だ! 程度の反応で意見は無視されました。旧態依然として教育環境は改善
されませんでした。

これは、 第一線の指揮官は、与えられた編成と装備で黙って任務を遂行すればよい。 みだりに
援軍を求めたり装備の改善を要求してはいけないという、旧軍時代の思想を強要しているのでした。
こんな調子だと、また原爆に対して竹槍で対抗することになりかねません。

学生隊の編制には学生隊本部があります。ここには総務係をはじめ訓練係・補給係・施設係などの
人員が配置され、本部班長が統括しています。各種訓練や行事の企画立案の機能が付与されてい
るのです。ところが、学生大隊は普通の大隊と異なり、大隊本部の編制も人員の配置もありません。
これは学生隊本部で企画立案した訓練計画や行事計画を、学生隊長の命令で実行する組織だから
です。

中村校長は、大隊長の交替を画策するよりも、学生隊本部が有効に機能するような改革を断行した
方がはるかに効果的であったのです。

5-131、学生隊の悪習

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              学生生活も楽じない。


自衛隊うら話    
          5-131、学生隊の悪習 

学生隊には悪い習慣がありました。それは区隊会費という名目で毎月一定の金額を学生から徴収
するのです。形のうえでは自主的運営になっていますが、実質には強制です。本来は衣食住すべ
てを国の費用で支弁するのが原則です。 ところが、予算が必ずしも潤沢ではないため、トイレット
ペーパーその他共同の消耗品などを購入するのが目的でこの慣習が続いていました。

これを使えば、本来国の予算で支払い可能なものまで会計課と調整して、正式に予算手続を踏む
繁雑さがありません。そのため目的を拡大解釈して、安易にこの会費で支払うようになって歯止め
が効きません。

われわれも幹部候補生学校時代に同じように区隊会費を徴収されていました。ある時、野外訓練
に際し折箱代を徴収すると言ってきました。理由は、 折箱があれば給養班で弁当を作ってくれる
が、それがないと弁当は作れないと言うのです。

使用目的が納得できるものであれば拒否する理由はありません。ところが、どこかがおかしいの
です。すぐ会計課に行きました。1期先輩の秋吉3尉がいるので、関係予算がないのかと質しま
した。ところが予算はあるのです。ただし、これを使用するには事前に予算使用の計画書を作成
して、会計課と調整しておく必要があります。学生隊からそんな計画書は提出されていないと言
うのです。

問題は学生隊本部の担当が、この手続きを怠るのです。面倒な計画書を作成して、会計課と事前
に調整するよりも、学生に金を出させる方がはるかに簡単だからです。また予算がないのであれ
ば、飯盒を使用することもできます。要するに担当者が一番安易な方法で、楽をしたいのです。

第10期の幹部候補生37名の中に、会計職域の者が3名いました。そのため予算使用について
は熟知していました。 だから、本来国の費用で負担すべきものまで学生に出させるのは不当で
あると、皆で話し合って支払いを拒否しました。

われわれは、学校が奈良に移って最初の入校学生でした。だから、悪い習慣は残したくないとの
思いがあったのです。そのため、筋だけは通したのです。しかし、納得できるものは負担しました。
そして卒業の際には、残った金で区隊対抗競技のための「優勝盃」を寄贈したのです。

ところが、術科学校の新隊員にはこんな理屈を主張する力はありません。だから言われるままに
金を出していたのです。だが、内心面白いはずがありません。

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              たまには遊びも必要。


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          5-130、教育環境に問題あり 

二〜三ヵ月経つと学生隊特有の体質が分かってきました。区隊長や区隊付の努力にかかわらず、
その成果が現れないのは、教育環境に問題があるのではと思われました。学校は本来学生教育
のためにあります。ところが隊舎一つを例にしても、新築された立派な隊舎には基幹隊員が入り、
学生は米軍が管理していた時代に、幼稚園として使われていた腐りかけの建物に入れられてい
ました。学生は在隊期間が数ヵ月間と短いから云うのが、その理由でした。

しかし、その数ヵ月間が問題なのです。 学生隊の首脳陣ですらこの風潮を容認しているようで
した。 テレビその他の娯楽設備も同様で、基幹隊員が優先でした。いくら勉強するのが目的の
学生でも、課業時間以外には基幹隊員と同じように寛がせることが必要だと感じました。

私の在任中、第1大隊は隊舎の引越しを行いました。その引越した先も旧陸軍時代に建てられ、
白蟻に侵された隙間だらけの建物でした。ただ食堂や教室が幾分近くなって、地理的には多少
便利になりました。 その点、 第2大隊の居住施設は、航空学生教育隊が使用していた隊舎で、
芦屋基地の中では比較的恵まれた環境でした。

生活環境が悪い反面、 清掃担当区域はピーク時の入校学生の人数を基準に割り当てたのか、
比較的広大でした。 だから、入校学生の少ない時期は大変です。そのうえ、何か行事などがあ
ると、真っ先に作業員に狩り出されます。これでは何のため学校に来ているのか分かりません。

前任地幹部候補生学校での、北川校長が教育環境の整備に努力されていたのに比較し、ここの
首脳陣はその意識に雲泥の差がありました。


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