『言霊辞典』 。古事記はこころの原論。

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はじめに  その一

はじめに

 「あめつち」とは、イザナギの吾(あ)の眼(め)を衝(つ)き立てて智(ち)と成すこと。イザナギの吾の眼とは自分の意識のこと。

 古事記は、千三百年前に太安萬侶が編纂し、天皇に献上されたもので、天皇歴代記のような歴史書の体裁をとっているが、実はその伝えたかった本論となっているのは上巻の神代の巻の中身です。この実の本論となっている神代の巻に何が書いてあるかといえば、人間の意識とは何か、心とは何かの原理を書き記し、心が産む意識構造を明かし、人の歴史創造行為への係わりを明かしたものです。現代風にいえば精神現象創造原理論にあたるでしょう。

 日常の何でもない感じ考え思うことから始まって相手に伝えること、心の動きに沿って行動し現象結果を産み享受するうえでの、心の動きを明かしたものであり、大和となって歴史創造をどのように担い参加するのかを示したものです。

 まるで嘘のような物語の始まりですが、古事記の序文にあるように読み方を工夫しなさいという忠言を受け入れ、それを心の動きの方に取り入れ心の働きとして見直すと、古事記の文章は人類史上類の無い意識の運用方法の至高の原理の姿となります。書名である古事記も全然フルゴト文としてでなく、今ここで創造されてゆく心の子(こ)現象の創造事として記されていることが分かります。

  太古、心とは何か、それはどのように構成されているか、どのように働くのか、そして何をどのように創造していてくのかを尋ねて、その原理がスメラミコトによって発見されました。既に一万年近い前のことです。そして心豊かな平和な時代が続きました。凶悪で悲惨な社会の記録がなく不幸な事跡のないそれ故空白な民話の世界でした。

 ところがその適用は社会的物質的要件の未成熟の時代を形成していました。物質的豊饒さを享受するには時期尚早で、そのため豊饒な物質文明の到来を待って、客観条件を歴史的に取り敢えず準備する方向に舵を取り直しました。そしてここに心の原理に基づく世界史の成立創造が計られました。

 そこでは心の実在要素とその働きの人間社会の大和をもたらす原理が必要とされながら、直ちに適応されるのではなく、先ずは物質的豊饒を産む生存競争によって弱肉強食による、我良しの個人主義がばっこすることが必須となるように、動植物の擬態変態や結実を見習うような急がば回れが、全世界史次元で模倣されました。

 そのため、人類社会の発見されてしまっていた大和をもたらす心の原理思想は、時の来て豊かな物質社会が管理運用できるまでの間、直接の使用を隠没させられました。しかし平和で豊かな理想郷を全世界単位で創造できる、発見されていた心の原理を放棄するわけにはいきません。

 そこでスメラミコトは、古代神話や創り出した神の名を借りて古事記の上巻を著し、物理表象としては伝統行事やしきたり、お伽噺、神道や宗教で現わし、後に掘り起こされるべき運用や方法として皇室関係の象徴行事、伝統や語り継ぎの中に、真の意味を隠匿しました。


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