偶然の一致,共時性(synchronicity),意味ある偶然

シンクロニシティの他,身近で起こる不思議な現象について,記述します。

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(ネットと文明)第9部 善意と実利(3)溶け出す権力―規制・統計に背く「解放圏」
2007/02/19, 日本経済新聞 朝刊

 アラブ首長国連邦(UAE)最大の都市ドバイ。巨大なショッピングモールの雑踏で、ひと言も言葉を交わさずに女性に連絡しまくる二十代の男性がいる。
 「ブルートゥース・キング」と呼ばれる若者の腕前は、最新の携帯電話に秘訣がある。十メートル以内なら番号も知らない相手とデータ通信ができるブルートゥース機能だ。常にオンにしておけば、すれ違うだけで“出会い”が起きる。

新しい恋愛作法

 イスラム圏では、公衆の面前で未婚の男女は親しく会話しにくい。話しかけずに、自作の愛の詩を添えて連絡先を送信するのが現代流だ。ネットの開放空間が、中東に新しい恋愛作法を生み出した。
 イスラム社会とネットの出会いは十年前。一九九六年のウィンドウズ95のアラビア語版発売を機に利用が急拡大した。国際テロ組織アルカイダが米国に「ジハード(聖戦)」を宣言したのも同じ年だ。近畿大学教授の保坂修司は「ネットがイスラムの規律に影響を及ぼしている」とみる。
 「多神教徒は見つけ次第、殺してしまうがよい」――。イスラム教典コーランにある第九章の五節。テロリストが暴力を正当化する根拠に引用する一文だ。実際には多くのただし書きがあり、本来の教義は好戦的とはいえない。
 イスラム法の解釈は、宗教的な理解が深い法学者だけに許された神聖な特権。法典の隅々までそらんじる記憶力が権力の源泉だったが、今では誰でもネットから拾い出せる。様々な解釈がまかり通る現象はネット普及の副産物といえる。
 中東の治安当局は過激派を取り締まるため、厳しい検閲体制を敷く。だが皮肉にも多くのテロ・サイトはジハードの敵国であるはずの米国内のサーバー上で、したたかに生き続ける。
 政府がネットに神経をとがらせるのは、共産党による一党支配の中国も同じ。胡錦濤国家主席は一月末、「ネット世論の主導権掌握」を党内で指示した。昨年九月には三日間で三百二十以上のサイトが「有害情報」として強制閉鎖された。
 利用者の善意を前提にネットの自由を尊重してきた日本でも、国境を超える犯罪行為が後を絶たない。
 急増しているのが、郵便で覚せい剤や大麻を密輸する大胆な手法。国外のサイトは“商品”の発送前に早々に店じまいするため、犯行人物は特定しにくい。捜査当局からは「水際で抑えきれない違法品も少なくない」との本音が漏れる。

ニセ薬広がる

 闇ネット業者が最大の利益を得ているのは、偽造の医薬品だろう。世界に出回るニセ薬は一万種を超えるとされる。男性性的不全の治療薬バイアグラを製造するファイザーによると、ネットで爆発的に販路が広がり、偽造品は日本を含む六十カ国で発見された。
 ニセ薬の一大産地とされるのは中国の南東部。日本政府の関係者は「昼は正規薬、夜はニセ薬を作る工場がある」と明かす。米国のサーバーを経由し、日本市場で個人に売る手法が典型的。犯罪組織の資金源にもなっているという。
 仮想空間の視界不良は金融の世界も同じだ。日銀はネット上を行き交う電子マネーの流通量を「年間数千億円」と見積もるが、「それ以上正確に把握するすべはない」。ネット経済の膨張が続けば、やがて通貨供給量の一部として無視できない存在になるだろう。
 二月一日、内閣府は「電子商取引が物価等に与える影響に関する調査委員会」を立ち上げた。今夏をメドに報告をまとめる。ネットは物価にどんな影響を与えているのか。政府も日銀も解を出せない難問。まずはネットの暗闇に手探りで歩み出し、地道な実地調査から取り組むほかない。
 管理や規範に背を向けて拡大し続けるネット空間。善意の「解放圏」は多くの犯罪も生む。溶け出す権力の行方は、国家や文化にも変容を迫る。=敬称略(ネットと文明取材班)
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