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今日は初夏らしいいい日だった。 この1週間は選挙ウィークで、候補者にとっても選挙週刊だったが、 選ぶ側としても選挙ウィーク、僕としてはまあ、今の僕にできるだけのことはした。 結果についてはまたあらためて。 実は、今年のよくする会の文化行事をきっかけに、 劇団の制作の方といい縁ができて、 今日はオペレッタ劇団ともしびの「金剛山のトラたいじ他」を観てきた。 もう31年も演じてきて今年度で終演ということだ。 いい機会なので家族みんなで出かけた。 開場の少し前に着き、外で待っていると楽器の音が流れてくる。 「沖縄の音楽みたい」と家人がいった。 「中国の音楽みたい」と長女がいった。 う〜ん、当たらずとも遠からず。 今日は朝鮮半島の古い民話をもとに、 朝鮮半島の古楽器を使っての演目なのだ。 沖縄の音楽、つまり琉球の音楽も大陸の影響を色濃くとどめている。 半島の音楽もまた、陸続きなだけ日本の雅楽など以上に大陸の影響が濃いだろうから、 今のJポップに慣れた耳からすると同じテリトリーの音楽に聞こえてもおかしくない。 今日の演目は4つ。 「山と川」「じしんのわけ」「トケビにかったパウイのお話」そして「金剛山のトラたいじ」。 最初の3つは素朴で小さなお話、特に「山と川」「じしんのわけ」は大地創造神話というか、 世界各国に同じようなお話がありそうなものだ。 「トケビ」とはお化けのことで、少年パウイが知恵を使ってトケビを打ち負かすお話。 貧しい勤労少年パウイが村祭りの日に相撲大会で大人を打ち負かして優勝し、仔牛を褒美にもらう。 その帰り道、真っ暗な夜道でトケビに遭遇し、相撲勝負をもちかけられる。 大きくてとても勝ち目のないトケビに対して、パウイは 「怖いと思って顔を見上げたらトケビがもっと大きくなる、 トケビの足をみて怖がらなければトケビが小さくなる」ことに気づいて、 トケビの足を見続けて限りなく小さくしてトケビに勝ち、仔牛を守り抜くのだ。 村祭りのにぎわいや、相撲大会の様子など、 かつての日本の様子を見ているようで、 そこで繰り広げられる人間の営みに違いがあるのかな、と、 僕は昨今の日本と韓国の状況を大変残念に思い起こした。 と同時に、この演目を演じている人もそうだろうし、 また今日観に来ている人や、これまでこの劇を観たたくさんの人や、 そんな人間の本質に気づいている人はたくさんいるだろうから、 そこに依拠していかないとな、と思わされた。 ひどいことの方がセンセーショナルに報じられるが、 大半の人はもっとまっとうな感覚を持っているはずなのだ。 それから、パウイが気づいた「怖いと思ったら余計に怖い〜」は、 今の僕たちが最も心に留めなければならないことだ。 政権批判などして恫喝を加えられて委縮しているマスコミの皆さん、 怖いと思ったら相手はもっと大きくなりますよ、とパウイが教えてくれているようだ。 「金剛山のトラたいじ」これはもう、大変な大作だ。 話としては虎に食われた父親のかたきをうって虎退治する猟師の青年の話だ。 「まんが 日本昔ばなし」で出てきてもおかしくないような話だ。 (あ、わかるかな?あの「坊や〜」のテーマソングで始まるテレビアニメ) 僕は「オペレッタ」という形式が正確にはどういうものを指すのだか知らないのだが、 その語感から感じられるイメージは、この演目でまさにぴったり来た感じだった。 前に観た「おもしろどんどん」にしろ、最初の三作品にしろ、 わりと短くてシンプルなのでそこまで感じなのかったのかもしれないが、 この作品は公演時間が長く、その分構成も複雑なうえ、 セリフや情景描写にふんだんに音楽が取り入れられている。 その役者の歌声、音楽の緩急、間合い、呼応、これらが 演技や場面転換と複雑な織をなしてどんどんと舞台に引きこまれる。 そして演じられるテーマとしての人間愛に、いつしか胸を熱くさせられる。 それはもう、見事なものだ。 31年間、公演しながら工夫を重ねバージョンアップしてここまできたそうだが、 本当にそれだけのことはある。 長い劇なのに子どもを飽きさせない工夫も随所に盛り込まれ、 会場の笑いもまた絶えない。 それと、劇と劇の間に古楽器の紹介があったり、 最後には朝鮮半島の民族衣装を着ての楽器演奏・踊りもあり、 これがまたすごいのだ。 もしかしたら、川越近辺でも、例えば高麗神社の祭礼とか、 あるいはお祭りの時の朝鮮使節団の行進の時とかに こういう舞踊が紹介されたりしてるのかもしれないが、 僕は初めてみたので大変驚いた。 帽子の先に長〜いリボンがついていて、それが踊りに合わせて 体の周りをグルグル回転したりするやつだ。 まあ、とにかく、百聞は一見に如かずだ。 機会があればぜひこの公演をご覧いただきたいと思う。 うちの子どもたち小学1年生から中学3年生まで、そして大人までも、 みんなを満足させられる劇というのはなかなかないのではないか。 理解の深度というのはそれぞれあるだろうが、 大人にとっても見ごたえが大きい。 「アナ雪」など、それはそれでいいし、 そういうものなら中学生にもなればお友達と観に行くことはできるが、 「金剛山のトラたいじ」となると、なかなか子どもが自発的に、 というきっかけはないだろう。 そういう意味でも家族みんなで観ることができて本当に良かったと思う。 この舞台からすぐに、日本と韓国の外交関係とか従軍慰安婦の問題とか、 そういう難しい話題を展開するつもりはないが、 少なくとも「人間の生きざま」みたいなことは中学生の二人には話していけるだろう。 それは今後、生活の中でポツポツと、機会が訪れるごとに展開することになるはずだ。 中学生二人にお金がかかるので働いて稼がなければならないのももちろんだが、 やはり、今でないと共感できないこともたくさんあるだろう。 少しずつ、意識してそういう機会も作っていこう。 |
文化・伝統工芸
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