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僕がしたかったのだ

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いつものように、駅からの帰り道。コンビニで缶ビールを1本買って歩いてかえる。ダイエットしようと糖質0のいつものやつ。マスクをしてたのに、唇が冷たい。マスクの隙間をぬって粒がゆるりと落ちる。雨かと思ったら雪だった。ぱらぱらと、家に着く頃にはとっくにやんでいた。


銀座でエンプティステージの帰り。簡単に言えば、エンプティステージとは、お客様からお題をもらって即興で芝居する公演で。お笑い筋肉ゴリゴリの、痺れるような仕事だ。
同じチームには、キングコング梶原さん、かたつむり林さん、ボーイフレンドさんと素敵な兄さん方で溢れてて。特にキングコングの梶原さんなんて、僕が福岡の中学生の時、真夜中にはねるのトびらを夢中になって観てたど真ん中の人だ。あの時夢見てた人と一緒に仕事が出来てることを、なんだか不思議なとても不思議なようが気がして、未だにずっとタイムスリップしてる気持ちになる。思えばずっと、中学、いや小学生の時から、僕はずっとこの仕事に夢中でいる。


去年の9月、僕は6年付き合ってた彼女と別れた。福岡から東京に出て来て、養成所の頃に知り合い、向こうはまだ女子大生で。知り合いの人のイベントで僕らがネタをして、その時によく笑ってくれた娘に僕から声をかけたんだよな。今思えば、あんな芋くさい童貞野郎がよく声をかけれたもんだよ。僕の一目惚れだったかもしんないな。


僕より一個下の彼女と、それこそ6年。いろんなことがあったけど、最終的に僕らは別れてしまった。将来的なことや、結婚のこと、いろいろなことが理由で彼女に別れを告げられた時。僕は結婚しようと、次の日に区役所に行って婚姻届を持って、自宅の部屋で寝てる彼女を起こしてプロポーズした。あの時の婚姻届の重さったらなかったな。紙切れ1枚、重さ1グラムも満たない紙が、両手じゃ抱えきれないぐらい重かったよ。それでも答えはダメで、それでも諦めきれなくて、僕は1年後もう一度プロポーズするって勝手に約束した。人を笑わせるという仕事についていて、大事な人を泣かせてるということに、不甲斐なくてみじめでしょうがなかったよ。


別れた夜に、どうしようもなくなって。しょうもない29歳のたかが失恋に、真夜中に駆けつけてくれるのは、どうしようもないほどの同期の仲間達で。僕が6リットルぐらい泣いてるのを馬鹿みたいにイジって笑い飛ばしてくれた。歳いった30近いおっさん達が10人くらいで全裸ではっぱ隊を踊って。それはそれはふざけた光景で。そりゃフラれるわと泣いて僕は踊った。相方の信清も来て、全く飲めないくせに、生ビール一気飲みして、あの区役所かといって、窓際から見える区役所に、
なめんじゃねえとエアセックスしだした。歌舞伎町の真ん中で、区役所と全裸でエアセックスする金髪のとっつぁん坊や。腹ちぎれるぐらい笑ってしまった。僕はあいつには頭あがんないな。本当にしんどい時に、さらっと助けてくれるのはいつもあいつだったりする。普段は馬鹿すぎてぺちゃんこにしたいぐらいムカつくんだけど、僕はお前にとても感謝したりしちゃってんだよな。


それでも、11月くらいに、久々に彼女に連絡をとったら、わたし、待ってるから。という連絡が来た。
僕はすっかり舞い上がって、なんとか、なんとか結婚出来るように、目の前の仕事や、貯金するように新しくバイトなんかも始めて、もがくにもがいた。でも、今年の1月すぎに、彼女から、新しく彼氏が出来たと聞いた。


なんだよそれ。ふざけんなよ。
とどめを派手にもらった。僕は本当に情けない、しょうもないなと思った。そりゃそうだ、そりゃそうなんだよ。
相手のことを聞くと、人柄的にも、経済的にもそりゃそうだよ。口ばっかりで何にも結果も誠意も見せれないのなら、それはそうだよ。彼女は何にも悪くないんだぜ。それに対して、ふざけんなよて言ってる自分が情けなくてしょうがない。しょうもねえよ本当。


その夜も僕はまた同期のみんなに甘えて、馬鹿みたいに泣いてしまった。朝まで、カラオケでまた6リットルぐらいその夜を泣いて過ごした。その時の、涙と鼻水で窒息しそうになってる、いい大人が本当に気持ち悪い動画を、ついこないだの自分達のトークライブで流したら、お客さんが馬鹿みたいに笑ってくれて。救われたなぁ。アンケートに、笑っちゃいけないと思いましたが、最高でした!といっぱい声があった。僕は僕で、人生で1番泣いた夜を、みんなに爆笑されて、それを見て自分で爆笑してしまった。自分の地獄のような光景が、単純にとても面白かったのだ。こんなへんてこな仕事、なんなんだよ本当。僕はもう、当たり前に焦がれてしまってる。


小さい頃から、いつだって、どうしようもない不幸を、悲しみを、寝れない夜を肯定してくれたのは、お笑いだった。高校の時初めて告白してフラれた夜も、ごっつええ感じのDVD8時間連続で見たもんな。



それでも、だからこそ、こんな仕事に就いていて、大事な人を笑わせれなかったことが、とても悔しいのだ。1番笑わせたかった人を、笑わせれなかったことが、悔しくて不甲斐なくてしょうがない。



最後に彼女から連絡が来た時、僕は連絡を返せなかった。幸せになってな、という一言葉がどうしても言えなかった。僕は彼女に幸せになってほしいんじゃなくて、僕が幸せにしたかったんだ。僕が君を幸せにしたかったんだよな。




なんだよもう。また芋のお湯割を呑んで泣いてる。ダサくてしょうがない。いつかまた、もっと笑い飛ばせるように、全ての馬鹿みたいな不幸を、嫌になっちゃう夜を。僕はこの仕事に胸を焦がす。呆れるぐらい夢中なのだ。

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    朝なのに泣きました..

    私もつらくなったら、いやつらくなくてもまたライブ見に行きます!サンシャイン好きだ〜 削除

    [ よっち ]

    2017/2/25(土) 午前 9:56

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    素敵な彼女さんだったんだなぁ…
    って、この記事ですごく伝わってきます。
    あの数分の動画、笑わずにはいられませんでした。
    私が、辛くて辛くてしんどい時に、元気をくれるのは16期の皆さんです。
    我儘ですが、これからも元気貰いに行かせてください(^^) 削除

    [ あきなす ]

    2017/2/25(土) 午後 0:07

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  • > よっちさん
    ありがとうございます。一緒に笑い飛ばしましょう。

    [ サンシャイン坂田 ]

    2017/3/7(火) 午前 9:32

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  • > あきなすさん
    ありがとう。ガッチガッチの元気をあげるよ。

    [ サンシャイン坂田 ]

    2017/3/7(火) 午前 9:33

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  • > ちびっこ☆さん
    ありがとうございます。いつも助けてもらってます。恩返しの日々です。

    [ サンシャイン坂田 ]

    2017/3/7(火) 午前 9:34

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    わたしも小さい頃から、辛いことがあるとお笑いに心を保ってもらっていました。そして最近はサンシャインさんのコントがマイブームになっています( ˊ̱˂˃ˋ̱ )元気をくれてありがとうございます!!! 削除

    [ ゆっぴー ]

    2017/3/17(金) 午前 10:15

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  • > ゆっぴーさん
    こちらこそそう言ってもらえてうれしです。お笑いで貰ったものはお笑いで返せるよう頑張ります。

    [ サンシャイン坂田 ]

    2017/3/31(金) 午後 4:21

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    はじめまして。tumblerというアプリで「最後に彼女から〜」の文が引用されていて気になったのでURLから見に来ました。芸人さんだったんですね。
    言葉選びのセンスがすごく魅力的でした!他にもいくつか読ませて頂いたんですが、坂田さんの本当の気持ちが、自然な感情のリズムが、まっすぐ書かれていて、まっすぐ伝わってきました。読み終わった時にはじんわり心が温かくなってました。

    坂田さんの文に魅力を感じたのと同時に、どんなネタをやるのかにも興味が湧きました。応援させてください。ライブ情報はどこで見られますか?

    ファンの皆さんと初心者の私のことを、呆れるほど夢中にさせてほしいです。 削除

    [ あこ ]

    2017/7/11(火) 午後 8:11

    返信する
  • > あこさん
    まさか文章からそんなに興味を持って貰えるとは。嬉しい限りです。twitterでサンシャイン坂田光(@sunshinesakata)でライブ情報出してますので是非お越し下さい。夢中にさせます!

    [ サンシャイン坂田 ]

    2017/7/17(月) 午前 4:43

    返信する

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