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7月18日にミシガン州デトロイト市が、連邦破産法9条を申請し、過去最大の自治体の財政破綻となりました。かなり色々な日本のメディアの見解が的外れだったので、僕の考えをまとめておきます。一言で言うと、負の歴史を精算する良い機会だとおもいます。
まず、理解すべき背景は、デトロイト市と、デトロイト都市圏の違いです。デトロイト市人口は、1950年185万人→2000年95万人→2010年71万人と激減しています。しかしながら、デトロイト都市圏人口は430万人で1970年から横ばいです。何が起こったかというと、 1950年代から、アメリカの郊外へのスプロールトレンドにのって、職と中産階級の郊外への移住が起り、デトロイト都市圏ではそのトレンドに変化がないからです(NYやサンフランシスコでは都心部に裕福層増えています)。逆にデトロイト都市圏の経済のファンダメンタルズは上り調子で、雇用も家計の収支も2010年以降上昇しています。よって、デトロイト市と、デトロイト都市圏の違いはまず認識する事が重要です。
下記は、デトロイト都市圏の年収別の地図です。赤が高世帯年収⇔灰色が中世帯年収⇔青が低世帯年収です。デトロイト都市圏の中心のデトロイト市が青=低所得者ばかり住んでいる状態になっており、貧困世帯比率は1/3を超えると言われています。
このように、デトロイト市は、1)人口激減、2)住んでいるのは低所得者層ばかり、3)不動産価格低下(固定資産税減)、4)連邦政府からの補助金カット等から、税収が激減しました。
税収減だけなら、市民サービスのレベルを落せばなんとかなるのですが、デトロイト市の財政を圧迫した最大の要因は、退職したデトロイト市職員や警察官、消防員の年金と健康保険等の福利厚生の支払いです。デトロイト市は、$18Bn(約1兆8000億円)の長期負債のうち、$3.5Bnを退職者年金から借りています(加えて$6.5Bnを退職者医療保険から借入)。下記のチャートのオレンジ棒は市の退職者年金がデトロイト市に貸し付けている金額で、赤棒はその市場価値です。現段階では、現在の貸付額$3.5Bnですが、その価値$2Bnしかありません。
下記は、2011年11月のNYT紙のチャートですが、デトロイト市は、当時の警察官や消防員の総数の倍以上の退職者を抱えており、年金の$275Mの支払い義務に対し、デトロイト市の貢献額は$50Mしかありません(当時は、預かり資産を上手く投資して倍増させることで問題解決を図ろうとしていました)。別の言い方をすると、膨れ上がる退職者への年金や医療保険の支払い義務を、縮小するデトロイトの歳入状況では、賄えないということなのです。
話は変わりますが、2011年頃に全米で吹き荒れた地方公務員労組と地方政府の争議問題を覚えてますか?
− 全米各地に広がる公務員労組と政府の戦い FT紙 http://bit.ly/11o3nCp 労組:民間より低い賃金を受け入れている→州政府:労働時間も短いし、手厚い確定給付型年金(退職時給与の7割程度保証)もあるだろ!背景:組合は安い賃金と引き換えに手厚い諸手当を手に入れた。
− サンフランシスコ市、$4.5Bの年金支払い積立不足 http://bit.ly/ijqUCW ウイスコンシンじゃないけど、公務員問題の本質は給与でなく、手厚い確定給付型年金。組合側は給与では譲歩、確定給付型年金は死守。この調査の資金提供はVCのMichael Moritz。
− 労組が強く高齢化のNY州も州民一人あたりの公務員年金への支払は00年から07年で515%アップ($79→$485−米平均は$240) http://t.co/ROTWS1GI
− 破産に近づくデトロイト:逃げ場なし FT紙 http://bit.ly/13eEHgY
− 米公務員年金に関するオモシロ数字http://t.co/muFNuLRK 年間年金支払い額は3万ドル弱(社会保証費支払いは1.4万ドル);24年勤続で満額支払い;年金基金への支払い総額は3.5万ドル程度;年金に加えて社会保障費も受け取れる。年$3万ドルの支払いを受けるのに、過去の積立総額が$3.5万ドルしかない点。これって年率ン十%で回さないと達成できない。
− RI州の確定拠出年金改革プラン http://t.co/Hmst35uM 背景:$7Bnの積立不足。年3%のインフレ調整を停止;退職年齢を62→67歳に引き上げ;新規採用公務員は積立額に応じた年金支払プランに移行。 等などです。 このように、米の地方公務員問題の本質は、民間からは確定給付型年金はほぼ消えたが、公務員には根強く残っているという点で、下記のチャートの通り そして、上記ではサンフランシスコ市やニューヨーク州の財政問題もあげましたが、今では大した問題になっていません。しかしながらデトロイト市の財政は破綻しました。違いはサンフランシスコ市やニューヨーク州は、テクノロジーや金融等の金払いの良い成長産業があり(=法人税収!)、それらの産業の従事者は稼ぎも良く(=所得税収入!)、また富裕層も多く住んでいます(=キャピタルゲイン税収入)。よって、景気がよくなると、税収がアップして、財政問題を解決してくれます。一時期、財政破綻が話題になっていたカリフォルニア州も、テクノロジー産業の好景気やIPOで着実に復活しています。
このように、アメリカの地方政府は、「退職者への確定貯蓄年金や医療保険の支払いが確実に増え続ける」という足かせを負ってますので、「人口を増やす」、もしくは、「税金をちゃんと払ってくれる上位25%層の増やす」かで、税収増を続けて行かなければならないのです。よって、「市内に富裕層が増えて、中間層や低所得層を追い出している」と批判されるNYCやサンフランシスコは、市政府としては正しいことをしているのです。別の言い方をすると、ちきりんさんブログ記事にもありましたが、経済成長しないという事は、高齢者(退職者)や低所得者等の弱者を切り捨てざるおえない社会を意味します。
デトロイト市の今後ですが、今回の破産における交渉で、かなりの額の固定負債支払い(退職者への年金・医療保険支払い)を減らすことができます。よって、新生GMやFordがV字復活してように、身軽になって現市民にはプラス面のほうが多いんじゃないかな?デトロイト市も、負債の支払いを止めたので、市民サービスは向上するって公言してます。警察の人員が増えれば、安全なり、安い不動産を欲して、人口流入も増えるかも知れませんしね。今後、税収が一気に増加する可能性が低い地域の自治体は、破産して、過去の支払い義務を一気に整理して、出直すパターンが増えるんでないですかね?
最後に、日本に対する教訓をさらっと書いておきます。アメリカの公務員は1980年以降、人員削減や給与の低下などを受け入れて来ましたが、最後の砦の確定貯蓄年金や退職後の健康保険は守り続けてきました。現在の最大の問題は、最後の砦が切り崩されつつあるという点です。日本の場合は、給与削減が現在始まった段階で、人員削減はまだ手付かず(新卒採用抑制はしてますが)で、確定貯蓄年金に関しては、大した議論にもなっていません。今後、10年くらいで、人口減や税収減が顕著になり、人員→退職者年金・福利厚生にメスを入れる事になるのでしょうね。日本航空の退職者への支払いヘアカット等が、一つのベンチマークになるのかな?
では、Happy Investing!!!
P.S. 下記は、マッキンゼーが作成した、1978年から2010年にかけて米国都市圏のGDP推移です。勝ち組と負け組都市圏の傾向がかなりわかりやすく表記されてるとおもいます。サンフランシスコはサンノゼと合算して$410Bnの全米第4の都市圏と認識するとよいとおもいます。
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アメリカ経済について
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ご存知のとおりアメリカでは激しい航空会社の再編が進んでおり、この数年でデルタとノースウエストの合併、ユナイテッドとコンチネンタルの合併、そして、現在はアメリカンとUSエアーの吸収交渉が行われています。北米専門のディスカウント系航空会社を除くと、国内・国外路線を保有する総合航空会社はユナイテッド、デルタ、アメリカンの3社に集約されます。
そしてこの航空会社再編に、燃料高と不景気も加わり、米各都市の空港利便性やコストに大幅は変化をもたらしました。名門MIT(マサチューセッツ工科大学)のInternational Center for Air Transportationが、2007年から2012年の空港別コネクションの利便性の小規模空港(都市)へのインパクトのレポートを発表しましたので、紹介します。
下記が、空港別の総搭乗者数(Enplaned Pax)、接続利便性(ACQI)、ACQI増減、フライト数増減、客室数増減のデータです。
今後も、アメリカンとUSエアーの合併が完了すると、より一層の空港再編進むと思います。特にUSエアーのハブである、シャーロット、フェニックス、フィラデルフィア辺りにかなり影響が出るような気がします。そう考えると、アメリカの巨大企業の本社は、フライトの利便性が高い以下の都市に集約せざるおえないかもしれませんね。
米国内利便性:アトランタ;LA;ダラス;NYC;サンフランシスコ;デンバー;ヒューストン;マイアミ;フェニックス;ボストン;フィラデルフィア;シャーロット
国外との利便性を考えると以下の8都市しか選択の余地がなくなってくるかもしれませんね。
国外利便性:アトランタ;LA;ダラス;NYC;サンフランシスコ;デンバー;ヒューストン;マイアミ
隆盛な空港を持つ都市には、人材や情報が集まりますので、空港戦略でも都市間競争の重要な要素になるのは間違いないですね。
では、Happy Investing!!!
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アメリカのおける日系人、駐在員、非駐在員との断絶に関するツイートしたところ、総計150以上のFavとRTをいただきましたので、日系人いついてのデモグラフィックスもまとめておこうと思います。
日系人はアジアの中では、アメリカへの入植が非常に早かったので、よくも悪くもアメリカのメインストリーム化が進んでおり、個人的には、現代の日本とかなりの断絶があると思っています。第二次大戦時に敵性人種とみなされ、収容所送りになったのも、日本離れを加速させたようです。属性的分析でも、「日本離れ」かなり明らかになりました。
*「正義の国の日本人」という本に、「なぜ日系人は日本が“嫌い”なのか?」という検証がされています。日系人は入植時期が古く、第二次大戦中に収容所送りにされたのが「日系人」の「日本」ばなれの根底のようです。 まず、アジア系アメリカ人は1723万人おり、出身国別は以下の通りです。最大は中国系で401万人で23%を占め、フィリピン系342万人、インド系318万人、ベトナム系174万人、韓国系171万人、日系人130万人と続きます。
下記は、2000年と2010年のCensusのアジア系アメリカ人の人種別推移をまとめたものですが、日系人の伸び率は13.5%で、アジア系平均伸び率45.6%を大きく下回っています。中比印越韓系は50%以上の伸び率を続けていますので、日系人の存在感が薄まっていますね。ちなみに、アジア国別米国への移民数ですが。中国71万人>インド70万人>フィリピン63万人>ベトナム33万人>韓国24万人>パキスタン17万人>イラン13万人>台湾10万人となっています。日本からは8万人足らずです。上記の移民の多くは、よりより生活を求めて、米国に移民してくるので、日本のようなに豊で、言論の自由が認められている国から、わざわざ苦労しに米に移民する人は少ないという事なんでしょうね。
WikipediaのJapanese Americanのページによると、日系人の年齢は他のアジア系とくらべて突出して高く、最近の移民の傾向も国際結婚によるものが殆どで、西欧からの移民と同様の傾向だそうです。
次は、日系人における他人種との混血度ですが、複数のアジア系人種との混血6.0%、非アジア系との混血28.2%、複数のアジア系+非アジア系との混血7.2%と混血比率が35%に達しており、インド系11%、韓国系・中国系16%と比べ特筆した高さになっています。これは、日系人のアメリカへの移民の時期が、他のアジア系に比べ早かったために、土着化の進展を表しているのでしょうね。
上記の通り、アジア系における狭義の日系人比率5.2%ですが、日系人は混血化がすすんでいるので、広義の日系人の比率は13.9%にも上昇する一台勢力となります。
そして純粋な日本人の人口は、下記の通り1990年85万人をピークに停滞傾向です。
人種別非アジア系との婚姻率は以下の通りです。日55%>比54%>韓39%>中26%>越18%>印12%。ここでも、日系人の「アメリカ人化」進行が明らかですね。実際、移民第一世代移民比率が高い程、異人種間結婚が減少が顕著です。第一世代移民率印87%>越84%>日32%→異人種結婚率印12%<越18%<日55%。
アジア系アメリカ人の中間世帯年収は、印8.8万ドル>比7.5万ドル>日・中6.5万ドル>越5.3万ドル>韓5万ドルです。アメリカ人平均が5万ドル、アジア系平均が6.6万ドルなので、日系はアメリカ人平均よりも稼ぐが、アジア系の平均といったところですかね。
大卒率に関しても、日系は46%で、米平均の28%よりは高いですが、インド系の70%やアジア系平均の49%よりは、低い数値になっています。
下記はアジア系出身国別の州別人口比率です。どの人種も移民のゲートウエイとしてカリフォルニア州に集積していますが、日系人の州別の分散はカリフォルニア州に32.8%、ハワイ州に23.9%、ワシントン州に5.2%で、西海岸比率が62%を占める形になっています。西海岸比率はどのアジア系よりも高いのは、日本人の入植時には船が殆どだった事が影響しているのでしょうね。
下記の地図は都市圏別にアジア系アメリカ人の出身国の分析です。紫が日系人ですが、ホノルル、LAやSF・SJの都市圏に集中しているのが明らかですね。
2000年Censusの数値ですが、日系人が多い都市は、Honolulu, HI 86,612> Los Angeles, CA 36,992 >New York City, NY 22,636 >San Jose, CA 11,484 >San Francisco, CA 11,410 >San Diego, CA 9,485 >Seattle, WA 8,979 >Chicago, IL 5,467になっております。 数値的な検証は上記で終了ですが、日系人のに本離れについて、少し分析してみましょう。池田信夫氏は上記の『「正義の国」の日本人 なぜアメリカの日系人は日本が“嫌い”なのか?』の書評で、以下の分析をしています。血縁より地縁社会というのは興味深い分析です。
最初に紹介したNYTの記事では、日本人と日系人のまとまりがない背景として、1)駐在員は2−3年の短期滞在なので、現地の日系コミュニティと関わるモチベーションがない、2)非駐在は「しがらみ」が嫌で、日本を出たので、あえてこちらで日系人と関わりたくない、3)2万人以上の日系人がNYに住んでいるのに、Japan-American Societyには800人しか、会員がいない、等を例にあげています。
しかしながら、昨今のグローバル化で、移民の母国経済や文化の及ぼす影響について、かなりの分析がされるようになり、下記の通り、非常にポシティブな経済的貢献が立証されるようになりました。
日本国内でも、日系人との連携を強めようとの動きが、ちらほら出てくるようになりましたね。
グローバル化の進展は、今後も続くとおもいますので、「グローバル人材(笑)」育成の観点からも、アメリカだけでなく、世界に広がる日系人ネットワークとの戦略的な結びつきが今後重要になるのかなとも思います。世界に日本のファンを増やすという意味でも。
では、Happy Investing!!!
P.S. 下記のブログ記事も参照ください!
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NYT紙に素晴らしい人口動態別米大統領選挙得票図が掲載されていましたので、紹介します。
Groups Obama Won, Groups Romney Won - NYT http://nyti.ms/TWHdDf
さらっとまとめると、オバマ氏は大都市に住む、有色人種、女性、若年層から強力な支持を集め、ロムニー氏は郊外や農耕地域に住む、信仰深い、白人、男性、年配層から協力な支持を集めた、となります。
下記に性別、年齢、人種、家族構成等の得票状況をまとめましたが、人口動態的には民主党への追い風ですね!
男女:オバマへの得票は女性55%>男性45%。
* 民主党有利⇒2050年までの労働人口伸び率、女性は32.2%>男性28.9%。http://1.usa.gov/TBUQmR
年齢:オバマへの得票は18−29歳60%>30−44歳52%>45−59歳47%>60歳以上45%。
* 共和党有利⇒65歳以上人口は2010年→2050年で120%増加するが、20〜64歳人口も27%増加 http://1.usa.gov/po9KjJ
人種:オバマへの得票は黒人93%>アジア系73%>ヒスパニック系71%>白人39%。
* 民主党有利⇒2005年→2050年米人種比率推移。白人67%→47%、ヒスパニック系14%→29%、黒人13%→13%、アジア系5%→9% Pew http://bit.ly/TwUVuD
家族構成:オバマへの得票はゲイ・レズビアン76%>未婚62%>子供あり働く女性62%>18歳以下の子供ある親51%>既婚42%。
* 民主党有利⇒シングルは27%→%→29%、子無し夫婦28%→30%なので、子有り夫婦世帯の比率は05年23%→25年20%=核家族化進行 http://t.co/XPxY9NiN
教育レベル:オバマへの得票は非高卒64%>大学院卒以上55%>高卒51%>大学進学したが卒業せず49%>大卒47%。
* 高卒未満人口は横ばい、大卒(修士+博士含む)以上はじわじわ上昇中 http://1.usa.gov/X0LHfW
世帯年収:オバマへの得票は世帯年収3万ドル以下62%>3万〜5万ドル未満56%>5万〜10万ドル未満46%>10万〜20万ドル未満44%>20万ドル以上44%。
以前に比べ金銭的に楽になった84%>変わらず58%>悪くなった18%。
* 民主党有利⇒年収5万ドル以下世帯は確実に増加傾向 http://1.usa.gov/ZivW2m
政治信条:オバマへの得票は、民主党支持92%>リベラル86%>中道56%>独立党支持45%>保守17%>共和党6%。
* 共和党有利⇒昨今の傾向は保守比率は40%で若干の上昇傾向、リベラルは21%で若干の減少傾向。中道は35%で微減傾向 Gallup http://bit.ly/RQ5dqX
居住地域:オバマへの得票は、人口50万人以上69%>5万から50万人58%>郊外48%>人口1万人から5万人42%>農耕地域37%。
* 民主党有利⇒100年ぶりに、都市部の人口増加が郊外を超え AP http://t.co/dRyA7M6S 米51大都市圏中33都市圏で都市部の人口増加が郊外を上回る。背景:ガゾリン高騰;若年層の車離れ;エコ指向;仕事のオプションが多い;短距離通勤指向。
宗教:オバマへの得票は、ユダヤ教69%>カソリック50%>プロテスタント42%>週一度以上教会に行く39%>白人プロテスタント30%>エバンジェリスト21%。
* 民主党有利⇒宗教「非」信仰者は増加中(約20%)、教会に殆ど行かない層も49%まで増加 Pew http://bit.ly/XzBk1N P.S. 過去のアメリカ政治についての書き込みも参照ください:
- 共和党予備選と現代アメリカ経済との乖離 http://bit.ly/zy9Sdt
- 共和党と民主党の支持層の変化と背景 http://bit.ly/w4NrYt
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7月1日のNYT記事で「金融大手がウォール街の外に職を移行中」という記事に、今後のアメリカの経済や不動産地域戦略を考える上で非常に重要な事実や傾向が羅列されていましたので紹介します。
Financial Giants Are Moving Jobs Off Wall Street http://nyti.ms/OwrsAh
まず、表題のNear-Shoringですが、いわゆる海外に職を移すOff-Shoringから派生した造語で、「コストの高い都市圏や地域から、コストの低い都市圏や地域に雇用をアウトソーシング(移行)する」というトレンドです。
アメリカでは海外(オフショア)へのアウトソーシングが盛んで、延べ人数は、2000年10万人→05年59万人→10年159万人→15年332万人と継続的に増加の予測です。職別では2010年の段階で事務職79万人>IT28万>ビジネス16万>管理職12万人>セールス10万>建築8万人となっています。 http://bit.ly/Akq5i3
いわゆるアウトソーシングはインド、フィリピン等の英語圏の海外の国への職の移行でしたが、Near-Shoringは、はその米国内での移行です。具体的には、NYやCA州等の高税、高オフィス賃料、人件費に嫌気がさした企業が、コアの高給職はコストの高い地域に置きながら、中間層向けの人事、トレーディング、会計、コンプライアンス部門等を、人件費の低いTX、UT、NC州へ移行するという流れです。
この傾向は金融危機後に加速しているようで、実際、NY州の金融職は07年21.3万人が、金融危機後に15%減、その後1.2万人増えたが、ピークより2.2万人少ない状況です。Near-Shoringの受け皿であるAZ州やDE州では各々2600人・1300人の増加しています。企業別では以下の通りです。
また、Near-Shoringは米国内だけの問題ではありません。昨日のゴールドマン・サックスの投資家向けのプレゼンテーションでは、世界都市圏別雇用戦略に触れており(スライド15 http://bit.ly/O8PygP) 、NY、ロンドン、東京、香港等の高人件費地域よりも、人件費が4−7割低いバンガロール、SLC、ダラス、シンガポール等の高付加価値地域の人員を増やす。これらの高付加価値地域のGSの雇用に占める割合は現在19%だが、新規雇用の1/3を占めるようになっているとの事です。
Near-Shoringが金融業界だけで起きているわけではありません。シリコンバレーの中付加価値職がOR州やTX州の都市に移行しているのも同じ傾向で、今後確実に拡大傾向ですね。職の数だと中間向けが上位向けより多いので、コストの高いNYCやSF市等の都市圏では切実な問題です。 Near-Shoringを加速させるのは、コストのやすい各州が税制優遇を企業に提供して、雇用の増加に躍起になっているからです。具体例としては:
Near-Shoringの動きは、この10年位の傾向で、00年→08年の州別人口移動(移民除く)を見ると、生活コストが高いNY州154万人、CA州から136万人が他州へ引越ししています。 受け皿州は生活費が安く、中間層向けの職が多いFL125万人>TX70万人>AZ70万人>NC58万人等です。 http://bit.ly/krKNIg 2010→2011年米州別人口減(移民除く)をみても http://bit.ly/tftBwL NY11.3万減、IL7.9万減、CA6.6万減、MI5.7万減、NJ5.4万減。増加州は、TX15万人>FL12万人>NC4万人>WA3.2万人。NY→FL・NC、CA→TX・WAで、勝ち組・負け組州が明らかですね。
僕がテキサス州のオースティンへの不動産投資を続けているのも、Near-Shoringでオースティンに人と職の急速に急速な移行が続いているからです。
オースティンの経済・不動産関連データのまとめ http://bit.ly/H7nBpC
このトレンドは、アメリカ不動産投資の地域戦略には非常に重要です。
では、Happy Investing!!!!
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