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この幸せ
1歳4か月の孫は、茶入れの中蓋をつまんで開けた私の動作に興味をもった。
自分では開けられないので、私になんとかしろという、「アー」という母音をあげる。
「アー」だけの変化でなんでも通じるのである。
私は孫が自分で開けることができるように、中蓋を浮かしてあげる。
「できた」とばかりに、孫は感動の「アー」をあげる。
喜び輝くような顔。
すると次に、それを「閉めろ」と要求。
孫が開けられるように軽く閉める私。
再び開けることができて喜ぶ孫。
何回も同じことをしても、飽きることなく、できて感激する孫の顔。
時にはもっと大きな喜びを得られるように、きつく閉めて孫ができないようにする私。
開けられずに、不満の声と助けを要求する孫。
彼が開けられるように、少し浮かす私。
孫は、また中蓋をあけることができた。
大きな喜びの孫。
何回も飽きずに要求。
中の茶をこぼさないで彼が遊べるように、準備してあげる私もいささか飽きがくる。
耐えきれなくなったころに,お父さんが(息子)帰ってくる。
一緒に、お嫁さんと二人の孫が彼らの家に(敷地内)に帰った。
妻と私は黙ったまま、いつもの通りに動く。
お嫁さんが用意してくれた夕食をあたためて食べ始める。
静かなひととき。
静かな時の流れ。
静かな空気の漂い。
何も言わないでも妻の気持ちと私の気持ちは一緒。
「幸せだね」と私はぽつり。
「ええ」と妻。
孫がいてあの喧騒があったからこそ、今、妻と二人だけのこの静かな幸せをかみしめられる。
いつも二人だけの、こんな静かさの中にいたら?
思っただけで、私は身震いを感じた・・・
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