男の背中

今日の命の燃え方はどうだったのだろう?自分の背中を感じながら。

童話のような世界

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   少年とアメ玉
 
 幼い時の思い出は、汀の砂が母の肌のように優しい甘い思い出として浮かんでまいります。
 
 戦後から昭和30年代半ばまでは、こちらの小学校の修学旅行で、隣の新潟県の海を見に、直江津や柏崎にいくことが多かったのです。
 貧しい時代ですので海を見たことがない子供が多かったからです。
 
 私の通った小学校もそうでした。
 私はもう海に行ったことがありましたが、それでも海に行くことが待ち遠しくてたまらなかった。
 
 よく思い出せませんが、柏崎についたその日は、船に乗って沖に出ました。
 見物人が乗れる漁船の大きいような船だった。
 船の上で足を踏ん張って立つこともできました。(すぐに揺れで立ってはいられませんでしたが)
 波に揺れて、舟ってこわいな〜、と思いました。
 
 そんなことしか覚えていない。
 それに空の青さが抜け出てくるような感じがしました。
 先生はきっとなにか説明したり、漁師さんが海に関してなにかお話をされたこととは思うのですが、覚えていません。 
 
 私は翌日の朝早く海に出掛けようと思って、眠りにつきました。
 朝の早い海を見たかった。
 
 翌朝、多分5時ごろでしょうか、みんなが眠っているうちに起きて海辺に行きました。
 誰もいない。
 旭が海辺を黄金いろに染めていました。
 緑の山国の朝とはちがう景色。
 汀の砂の肌の柔らかさに目を奪われました。
 きれいだな〜、とそればかり。
 
 ふっと気付くと、透きとおった貝が一個、水打ち際に打ち寄せられている。
 朝日が染み込むような柔らかい肌の貝だった。
 頭と胴体をだして生きている。
 こんな貝を見たのは初めてだった。
 きらきら輝く宝物のように思えました。
 手にとって眺めていました。
 
 はっと気付くと、同じ組の順子ちゃんが白いブラウスのようなものを着て一人でやってきました。
 順子ちゃんはクラスで一番頭のいい、今でいうとあこがれのマドンナのような同級生でした。
 私の心はドキン、ドキン。
 順子ちゃんと二人だけ。
 
 そばにきて、彼女は鋭く私の手の貝を見つけました。
 「それどうしたの?」
 私は、「ここで見つけた」と、手をだして彼女に見せました。
 「ま〜きれい」、と彼女は食い入るように見つめました。
 
 朝日で透いた貝の生き物はまるで別世界のもののように見えました。
 「ちょうだい」と、彼女は言いました。
 一瞬、わたしは躊躇しましたが、すぐに憧れの彼女にあげたいと思いました。
 少年と少女の二人だけの秘密。
 
 うなずきながら私は貝を彼女にあげました。
 「ありがとう」と言って、彼女は手に取りました。
 私の心は嬉しさでドキドキ。
 
 すると彼女は思わぬ言葉を言いました。
 「アメをあげる」と言ったのです。
 そして、アメ玉を1個差し出しました。
  
 私はちがう、ちがう、と腹の中で思いました。
 そんなんじゃない・・・
 でも自分の気持ちもよくわからなくて、アメ玉を夢遊病者のように手をだして受け取っていました。
 
 大事なものを両手で抱えるようにして急ぎ足で彼女は去っていきました。
 朝日が彼女を追っていく。
 私は汀に立って、取り残されたもののように彼女を見送りました。
 
 少年ではありましたが、大事な大事な何かが崩れ去っていくのを感じていました。
 
 
 なっちゃんの激励
 
 ひどい暑さが続きます。
 3時半ころから大根や白菜、ブロッコリー、キャベツ、レタスなどに水やりをしています。
 
 昨日などは、朝に水をやっただけで日中そのままにしておいたら、白菜の芽が暑い日差しにやられてまるでもうダメになってしまったか?というほどです。
 水をたっぷりあげましたが、今朝、一番に様子を見にいってきます。
 
 これほどに、この周辺はこの夏に雨がなく30度以上の猛暑がつづいています。
 
 水やりのあと、なっちゃんが家の中にばかり閉じこもっていてはいけないので、近くの公園に(車で5分)連れていって散歩を楽しみます。
 
 大きな池に遅れて咲いているハスの花が、清楚に咲いています。
 ピンク色が何とも言えない色合いです。
 なっちゃんと、池の周囲を散歩しながら、「まあきれい」と感動しています。
 
 桜の木の並木道の木陰を二人でお話をしながらの散歩です。
 亀さんが、池からはいだして歩いている時もあります。
 
 昨日は散歩の途中で、私はおしっこをしたくなって、公園のはずれの農園の片隅で、「なっちゃん、おじいちゃんオシッコ」と言いました。
 すると、なっちゃんは、そばに立って、「おじいちゃん、がんばって」と言うのです。
 つづいて、「おじいちゃんオシッコ出たら、なっちゃん拍手するからね、がんばって」
 
 私はおかしな、変な気持???出そうなものもちょっとどぎまぎして萎縮する。
 
 いつも、なっちゃんは、オシッコをしたくなると、「オシッコ」と言って、トイレに連れて行ってもらいます。
 でも、お母さんやお婆ちゃんに、どんなに励まされても出せないのです。
 ねばった末に、「出ない」と言って、戻ってきて畳の上でもらしてしまったりの繰り返し。
 
 紙おむつをあててあげると、安心してオシッコが出せるのです。
 私も時にトイレにつれていって、「なっちゃん、がんばって」と励まします。
 それから、「オシッコがでたら、拍手」とか言って、手をたたいたりたりして気持ちをたかめているのですが。
 それでも出せない。
 
 なっちゃんは、私がしている通りに私を励ましてくれています。
 なっちゃんの声援を受けて私がおわりますと、「はい、よく出ました。パチパチパチ」と手を打って自分のことのように喜んでいます。
 私は、なっちゃんの顔をみて、「ありがとう」
 
 そして思うのです、なっちゃんはどんなにか自分もトイレで出したいと思っている事かと。

童話のような世界

   なっちゃんの女王陛下
 
 こちらでも、ものすごい暑さが続いています。
 
 雨がふらないので、キュウリやナスなどに朝夕と水やりです。
 こんなにひどい夏は初めてです。
 サツマイモの葉が黄色になってきているんですよ。
 
 秋野菜の苗ができたので畝に移植しました。
 10月に食べるレタスやキャベツなどです。
 しかし、暑すぎて葉が枯れてしまいそうです。
 
 枯らさないために四苦八苦です。
 落ち着くまで、しばらくは2時間おきに水やりです。
 
 なっちゃん(2歳7カ月)は、お腹の赤ちゃんを守るために入院していたお母さんがいない間、よくがんばりました。
 帝王切開後、10日くらいでお母さんだけが退院しました。
 それから毎日、病院にお母さんは絞ったオッパイをもって通院し、約1時間赤ちゃんにおっぱいをあげたり、お世話をして帰ってきます。
 お嫁さんは運転を禁じられているので、わたしが送迎です。
 
 なっちゃんは、おばあちゃん(私の妻)と留守番をしたり、連れて行って家族面会室で私と遊びながらまったりしています。
 お利口に耐えました。
 
 昨日、ついに赤ちゃんが退院しました。
 1ケ月、病院にいたので、見違えるほど、赤ちゃんらしくなりました。
 2800グラムに成長しました。
 お父さんに似てやや面長。
 
 これで、やっとなっちゃんも落ち着くことでしょう。
 
 今まで、お母さんがいなかったので、夜はおとうさん(息子)にべったり。
 まるでお父さんは、なっちゃんの下僕のようでした。
 
 昨夜のこと、なっちゃんは疲れのためか、「おとうさん、おとうさん」と、呼びます。
 おとうさんがあわてて、なっちゃんの 寝そべっている茶の間に行きました。
 すると、なっちゃんは、「お母さんを呼んできて」
 
 お父さんは、ぶつぶつ小声で「そんな・・・・」
 自分が一番なっちゃんに頼られているはずなのに?と自尊心がちょっと・・・・・
 
 翌日、おかあさん(お嫁さん)が私にそっと教えてくれました。
   なっちゃん
 
 2歳3カ月のなっちゃんが、おばあちゃん(私の妻)と縁側で日向ぼっこをしていました。
 新幹線に乗って、群馬のおじいちゃんの家に行くとか、なんとか話をしていました。
 すると突然にこう言いだすのです。
 
 「なっちゃんと、お母さんと、お父さんは緑の葉っぱだけど、おばあちゃんは、赤い葉っぱで、そして黒い葉っぱになっていくの。
 
 真剣におばあちゃんをみつめて言ってます。
 おばあちゃんとの別れを予感しているかのように。
 
 おばあちゃんは、ニコニコしながらも、とまどい気味???
 
 なっちゃんは、死という言葉はわからないのですが、いつかおばあちゃんと分れていくということは感じ取っているのかな?
 
 私となっちゃんは午後の4時には絵本をいっしょに読みます。
 こんな本が、と思うのですが、「葉っぱのフレディ」が、一番なっちゃんの好きな本です。
 他の本にあきても、この本をとりだすと、いつ読んでも真剣に聞き入ります。
 避けられない人の一生の変化を感じ取っていてくれるようです。
 
 そんな二人のやりとりを耳にしたあと、私はビニールハウスの野菜の世話にいこうと思いました。
 「さあ〜、ビニールハウスの野菜を見にいこうかな」と声をあげました。
 
 するとなっちゃんが、「たのむよ」
 私と妻は顔を見合わせて、「・・・・・・???」
 
 効いている言葉をこんなにタイミングよく。
 
 
 
 
  青天のへきれき
 
 孫のなっちゃんは2歳と3カ月の女の子です。
 
 とみに体も子供らしくなってなっています。
 言葉もどんどん達者になっています。
 数は、1,2,3まではつかいこなせます。
 
 夕食を食べ終え、お母さんとなっちゃんが茶の間に入ってきました。
 お母さんが嬉しそうに、おばあちゃん(私の妻)に報告します。
 
 お父さんとお母さんで、なっちゃんがおかずの魚などを食べやすいように、ご飯の上にのせて親子でゆっくりと夕食を楽しんでいたときの話です。
 
 なっちゃんに二人はいつも話しかけながら食事をとっていた。
 なっちゃんは我が家の太陽です。
 
 ところが、ちょっとお父さんとお母さんとが、知人の引っ越しの話にうつった。
 二人は、適度におかずをなっちゃんにあたえながら、知人の奥さんが転勤先の地に行きたくない、と不安を抱いている話を続けていたようです。
 
 すると突然に、「おい、千絵」という大きな声。
 なっちゃんの声です。
(千絵とはお母さんの名前です)
 
 お母さんは、ギョッ。
 お母さんの顔を見上げて、なっちゃんもびっくり。
 そして、「おかあさん」と、いつものように呼びかけました。
 
 おとうさんは、きっと反省しきりだったことでしょう・・・
 
 
 

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