李英愛研究

ネットの記事でイ・ヨンエさんに迫ります

韓国への旅

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ソウル旅行(6)

  <スポンジハウス>
  腹がものすごく減っていたので鍾路の裏道に入って食堂を探した。なぜかチキンカツが無性に食べたい。キャベツの千切りが添えられ、ご飯に味噌汁、お新香付きの定食…なんてものを出してくれる定食屋などそこいらにあるわけではない。しかしそれに近い食堂を探して鍾路三街から二街までの裏道と枝道を歩き回った。しかし見つからない。昨夜(8月28日)ソウルに着き、一夜明けて午前中から映画見物に出かけている。余裕を見て宿を出てきたが、映画「時間」の次の上映まですでに一時間を切っている。仕方ないので清渓川沿いの食堂の一軒に入った。チキンカツがあるらしい。ちょっと狭いが、チェーン店らしく、小綺麗な店内だった。メニューを見てチキンカツのセットを注文した。ワンディッシュ・セットである。ご飯の代わりに海苔巻きが出てくる。一応キャベツの千切りも添えられている模様である。

  注文して、腹がものすごく減っていることにあらためて気づき、追加でラーメンを注文しようと店の人に告げるが、追加注文のやり方というか、言い方がわからない。必死でメニューのラーメンを指差し、これ下さいと告げるがこちらの意図が伝わらない。どうしたんだろう。若い店員とちんぷんかんぷんな問答を繰り返していると、店の責任者らしき年配の女性が出てきて、「今から注文を変更することは出来ない」というようなことを言った。チキンカツとラーメン、と言う時に、「と(ワ)」が伝わらなかったのだ。だいたい、この二品を一人で一度に食べる客もあまりいないのかもしれない。結局、両方注文しているのだということが一応伝わり、事なきを得た。そして、つつがなく両方食べ終わって代金を払い、店を出る時にさっきの年配の女性が「アリカトウゴザイマシタ」と声をかけてくれた。こちらも「カムサハムニダ」と答えて映画館へ急いだ。

  鍾路のスポンジハウスはスクリーンがいくつか集まったシネコア(?)だかいう施設の4階にある。道路に面した切符売り場で切符を買うと、ハングルの映画で字幕はないがかまわないか、というようなことを聞かれた。かまうもかまわないも、自分はこれを見に来ているのだ。首を振って意志を伝えた。切符は7000ウォンだったと思う。上映まで20分くらい時間がある。上にあがってロビーで待ってもよいが、中途半端な時間だ。それに、さっきから食後のコーヒーを飲みたくて仕方ない。このビルの一階はコーヒーショップなので世話はない。以前鍾路見物に来た時に利用したことがある。しかし、別の店に行くことにした。ちょうどビルに向かって右隣にダンキンドーナツがある。ここでコーヒーを飲んだ。

  エレベーターで4階まであがり、ロビーでもぎりの女性に切符を渡すと、ハングルの映画だが大丈夫か、というようなことをまた聞かれた。比較的聞き取りやすい英語だった。自分はよほどこの映画に似つかわしくない風采だったのだろう。何と答えてよいか咄嗟に思いつかない。一瞬の後に「イッツ オゥンリィ ムーヴィー」とか何とか答えてお茶を濁した。眼鏡の似合う、とても感じのよい女性だった。

  映画を見終わると、想像以上にやるせない余韻が残り、久しぶりにズシンとこたえる映画をみたと思った。今日はもうこれ以上映画を見る気にはなれない。ここに来る前は、三回ぐらい見続けようなどと脳天気なことを考えていたが、一回で満腹に近い状態になってしまった。以前、映画「悪い男」を見た時の状態と似ている。音楽が確かに鳴っていたように思うが思い出せない。主人公の女性が整形手術をした後、恋人との思い出の場所、海岸の彫刻公園のようなところに出かける場面が何回か出てくる。実は、この場面の何回めかに、自分の耳にはマーラーの交響曲「大地の歌」の終曲が聞こえていた。ファースベンダーのアルトではなく、キャスリーン・フェリアーの声だった。

  清渓川に出て、陽の差してきた川沿いの歩道をとぼとぼと歩いた。川縁に降りる気にはなれず、上から川面を見下ろしながら近くの橋まで歩き、欄干にもたれて川を真上から見下ろした。ふた月前にこの川を見た時から確実に時間が経過していることが感じられた。徹底的に人工的に整備された川であるが、やはり緑がよい按配に植えられ、なによりも陽の光が変化したことがそう感じさせるのだろう。川沿いの工具店はお客でにぎわっている。車がひっきりなしに通る。下の川縁でも多くの人が散策している。活気がある。そして、自分の耳にはキャスリーン・フェリアーの歌が聞こえている。最後の消え入るように繰り返される「イービッヒ イービッヒ(ewig ewig)」がこだましている。…しかし、これじゃあ文学青年気取りの気障な話じゃないかと自分を嘲弄する気にもなれない。まるで自分が出発点に戻ってしまったような妙な気分だ。今しがた見てきた映画は一人の女が整形手術をして恋人をつなぎとめようとする話なのだ。なんでこうなるんだろう。


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