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羅先経済特区に中国の国有企業が20億ドル規模の投資をするという話が出ている[中央日報]。「羅先市」というのはラジンシ(羅津市)の"羅"とソボンシ(先鋒市)の"先"をとった名称である。
「北朝鮮は1991年12月ハムギョンブクド(咸鏡北道)最北端と中国・ロシアの境界地域のナジン(羅津)・ソボン(先鋒)をラソンシ(羅先市)で統合して自由経済貿易地帯に指定した。この地域を東北アジアの国際的な貨物中継地と輸出加工・観光・金融基地として育成するという計画をたてて1993年に'羅先経済貿易地帯法'を制定した。
だが、不合理な投資条件で外国資本誘致が遅々と進まず、開放特区の機能を果たせないまま放置されたようなものだ。全体的に47億ドルの外資誘致計画をたてたが、実際に投資を成し遂げたのは六千万ドルに過ぎなかったほどだ。」[デイリーNK]
昨年、2010年初めに羅先市を特別市に昇格させ、「羅先経済貿易地帯法」が改正された。11月初めに中国延辺大学で開かれた'2010トゥマンガン(豆満江)学術フォーラム'なる寄り合いで、北韓(北朝鮮)の学者連中が羅先経済貿易地帯を積極的に売りこんだなどという記事もあった。 「北朝鮮内一般外資企業に対する所得税率は決算利潤の25%だが、ラソン地帯投資外資企業には14%だけ適用されて、先端技術や資源開発、基盤施設建設など国家奨励産業の所得税率は10%に過ぎない。
特に三千万ユーロ以上の基幹産業投資外資企業は利益が出る年から4年間所得税を免除し、次の3年間は50%の税制減免恩恵が適用されるという。 」[JOINS 北韓ネット] 羅津港は不凍港で、ロシアあたりも目をつけていたようだ。その利権を得たとかいう話もあるが、いざ手を出すとなるとインフラ整備に莫大な資金を要するということで、二の足を踏んでいるうちに中国においしいところをさらわれてしまったようだ。2009年の段階で中国は大連の企業がこの港の利権を取得したという話があり、以前このブログで引用した[朝鮮日報]の記事に詳しく出ていた。 「・・・中国の大連環境設備製造業者の創立(チャンリ)グループは去る10月7日。ナジン(羅津)港1号埠頭開発権を取った。創立グループのナジン港埠頭開発権は1号埠頭の2号・3号停泊地を保守・拡張して独占的に使用できる専用権だ。38万平方m規模のナジン港は冬にも凍らない不凍港であり、拡張工事が完工すれば年間100万tに達する荷役能力を整えることになる。
創立グループはナジン港埠頭開発権を持つ代わりに北韓(北朝鮮)に琿春とナジンを連結する道路93kmを建設してやることにした。中国がナジン港を通じて東海(日本海)に進出すれば琿春を前進基地にしたトゥマンガン(豆満江)流域が東北アジア物流の拠点として成長する基盤になることができる。」[朝鮮日報] 国連の議決に基づく経済制裁、とりわけ米国の金融制裁がじわじわと北韓(北朝鮮)のいわゆる"宮廷経済"を締め上げているのは明らかである。金氏王朝のやりたい放題を支える"宮廷経済"に対して、いわば公(おおやけ)の"人民経済"というのもあり、こちらも経済制裁のあおりを食っているはずだが、なにしろ韓国の経済規模の30〜40分の一以下というお粗末な代物である。それはそうだろう。ドルが手に入れば核開発や兵器開発に湯水の如くつぎ込んでいる。一般人民はトウモロコシや野菜の芯のキムチで糊口をしのぐべし、というのが国是なのである。コメが食いたかったら市場(いちば)にでも行って買いなさい、カネさえ出せば肉のスープも食べられるでしょう、でもそのカネは自分で稼いでね、なのである。 今回の羅先経済特区の話は、昨年以降顕著だった中国への売りこみが功を奏したのだろう。キム・ジョンイル(金正日)は直々に2度も出かけている。昨年は三代目のお披露目もあったし、この訪中を、後継体制確立に向けて中国側の言質を取るためのものではなかったか、という憶測もあるようだが、やはりこれはカネの無心だったのではないかと思わざるを得ない。 それにしても、中国が20億ドルの投資という太っ腹なところを見せたのはなぜだろう。羅先市の羅津港と鉄道で結ばれる吉林省延辺朝鮮族自治州の琿春市は「琿春辺境経済合作区」と呼ばれ、国境開放都市に指定されている。このあたりは中国・ロシア・北韓(北朝鮮)の国境線が入り混じっている。しかし中国の領土は海に接していない。羅先経済特区と合体することによって琿春は「経済特区」の要件を満たすことができる。いわゆる辺境の開発という基本線に沿って、しっかり算盤をはじいているわけだ。今は琿春の石炭の積み出し港として羅津港を活用し始めているようだが、ゆくゆくは琿春-羅先を一大物流基地に発展させるだけでなく、北韓(北朝鮮)の鉱物資源を利用しつつ、きっちり外資を呼びこもうという算段だろう。仮にそういう目論見どおりにコトが運べば、北韓(北朝鮮)は中国の東北三省に組み込まれるか、あるいは"東北四省"の一つになっているだろう。 しかし、相手はまったく食えない北韓(北朝鮮)である。借金の踏み倒しや国際間の取り決めの無視なんかをお家芸とする"非正常国家”、あるいは"社会主義の仮面をかぶった封建王朝"である。「羅先経済特区」などというと、中国の深[つちへん+川](シンセン)なんかを思い出すが、あれは改革開放政策に基づく、いわばまっとうな「経済特区」である。羅先のそれは、いかにも北韓(北朝鮮)らしく実に胡散臭い。「経済特区」と呼ぶ以上、市場経済を指向しなければならないが、昨年の羅先経済貿易地帯法改正では北韓(北朝鮮)住民たちに及ぼす資本主義の影響を遮断するための統制手段をさらに強化したといわれる[デイリーNK]。税制優遇などと言っても、企業を運営するための前提条件自体がキナ臭いのである。「北韓政権は北韓社会を冷凍させようとありったけの力をふりしぼっている」(アンドレイ・ランコフ)といわれる。改革開放のまねごとさえも金氏王朝による支配の下では困難であろう。投資が凍死になってしまってはシャレにもならない。
[中央日報](日本語版 1月7日)中国、北朝鮮の羅先特区に20億ドル投資…過去最大 http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=136438&servcode=500§code=500 [JOINS 北韓ネット](2010年 11月2日)北、中国学術フォーラムで 'ラソン(羅先)特区' 積極広報 [聯合]
中国学者ら "過去と明確に違って・・・対外開放メッセージ" http://nk.joins.com/news/view.asp?aid=4134170 [大韓民国 統一部]<投稿ページより>最近の北韓の「羅先経済貿易地帯法」改正動向 (『国防ジャーナル』4月号 寄稿文)−hwpファイル
経済社会分析家 チョン・ドンミョン http://www.unikorea.go.kr/CmsWeb/tools/board/downAttachFile.req?fileId=FI0000096138 [デイリーNK](2010年 3月15日)北朝鮮羅先地帯法、統制手段さらに強化された
[朝鮮日報](2009年 10月25日)[週間朝鮮]中国が満州原野を耕し返す理由
http://news.chosun.com/site/data/html_dir/2009/10/23/2009102301552.html |

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