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情報が錯綜している。最初、中国遼寧省撫順県拉古郷(瀋陽近郊の農村地帯)で17日午後、国籍不明の小型機が墜落したという報道があり、その後、乗員が2名いたと読み取れる報道があり、機体はヘリだ、MIG-15ではないか、いや、MIG-21だ、といった報道が続いた。中国の関係当局が調査を進めているそうだが、中国のネット上には墜落現場の写真が公開されている。この写真が確かに現場の写真だとして、それを見る限りではヘリではなく、旧式のロシア製戦闘機である。土をかぶって破損した後退翼のあたりや尾翼の感じからMIG-15やMIG-21に見えないこともない。青丸に赤い星のマークは紛れもなく北朝鮮の戦闘機である。
「飛行機が墜落した撫順は中国国境の隣接地シンウィジュ(新義州)から200km余り離れたところに位置している。シンウィジュにはミグ機を訓練機で使う北朝鮮空軍部隊があって、この部隊所属飛行機とヘリコプターらがアムノッカン(鴨緑江)一帯を飛行して訓練する姿がしばしば目撃されてきた。これに伴い、中国当局はシンウィジュ空軍部隊所属のこの飛行機が訓練途中に隊列から離脱、脱北したと見ている。中国は北脱出者らが検挙されれば北朝鮮に送還するのを原則に据えているという点でこの飛行機がロシアへ脱出、亡命を試みようとしたことと対北朝鮮専門家たちは見ている」[聯合ニュース]。 結局、軍人一名(または二名)が脱北を図って失敗し、亡くなったということになりそうであるが、中国側は公式な発表を行っていないし、今後もあるかどうか定かではない。仮に脱北を図ったことが事実だとして、間違って中国の方に行ってしまったらしいのは置いて、いろいろ疑問点が生じる。まず、シンウィジュあたりからの脱北ならなぜ西海(黄海)を南下しなかったのかという点である。昨今はNLL(北方限界線)近辺は警戒が厳重になっている。NLLを超える前に北朝鮮の海岸防衛隊に地対空ミサイルで狙われるか、別の北朝鮮機に追尾されてミサイルで撃墜される危険性が高かったのだろうか。墜落機が武装していたのかどうか、燃料はどれくらい積載していたのかという点も憶測を生む。MIG-15にせよMIG-21にせよ50年も60年も前に初飛行した旧式の機体である。武装はせず、燃料もそれほど積んでいなかったのではないかと想像している。畑に不時着した機体は火災も爆発も起こしていない。 機体の素性が気になったので、FS98を起動してMIG-15とMIG-21を表示し、[聯合ニュース]の記事に添付されていた2枚の写真と見比べてみると、この2機のうち、どちらかといえばMIG-21のようである。MIG-21は韓国戦争(朝鮮戦争)休戦後の1955年に初飛行し、1990年代までその派生型が開発され、一万機以上が生産された機体であるが、記事の添付写真を見ると、中古機のような匂いがぷんぷんする使い古された機体である。どちらも有名な後退翼機で、MIG-15は垂直尾翼の中ほどに水平尾翼がついている。MIG-21の方は胴体尾部についている。前者は後者より一回り小さい。ただし、写真がわかりづらく、MIG-21なら写っているはずの水平尾翼の一部が微妙に見えない。不時着時に破損したようだが詳細はわからない。 一方、MIG-15と聞いてすぐに思い出すのはやはり韓国戦争(朝鮮戦争)である。一万五千機以上が生産されたといわれるこの傑作ジェット機は韓国戦争(朝鮮戦争)に投入されるや否や国連軍の制空権を脅かし、米空軍はF-86Aセイバーを投入せざるを得なくなった。それまで北朝鮮側で主力戦闘機として投入されていたプロペラ機、Ilyushin IL-10やLavochkin La-9、Yakovlev Yak-9などとは一線を画す高性能であった。なお、IL-10とLa-9は旧ソ連製戦闘機の中でも自分のお気に入りの機体である。ちなみに、「地球は青かった」の名言を残した旧ソ連の宇宙飛行士、ガガーリン少佐は1968年、練習型のMIG-15UTIで飛行訓練中に教官とともに帰らぬ人となった。 新聞報道ではMIG-15の名前が出てきたが、韓国戦争(朝鮮戦争)時の花形ジェット機も初飛行は1947年。いくら練習機型であってももはや鉄くずに近いのではないだろうか。北朝鮮ではあの傑作複葉機An-2にシルクワーム・ミサイルを積んで発射訓練までしているようだから、とことん使い潰すしかない台所事情なのかもしれない。もしMIG-21でないとすると、1950年に初飛行したMIG-17かもしれない。MIG-15bisの改良型で概観もよく似ているMIG-17Fは北朝鮮人民軍で現役らしい。また、北朝鮮のパイロットが韓国に飛来して帰順(亡命)し、話題になったMIG-19という線もある。 ・・・と、いろいろ憶測していたら、韓国の軍当局の推定が出てきた。[聯合ニュース]によると、「軍のある消息筋はこの日(18日)、"中国で墜落した北朝鮮軍用機は前日シンウィジュ空軍基地から離陸したのがレーダーに捉えられた"としながら、"中央防空統制所(MCRC)のレーダー画面にミグ-21機として識別されたと理解する"と明らかにした。シンウィジュ空軍基地にはミグ-21とミグ-19、ミグ-23が展開している。」そして、やはり燃料をそれほど積んでいなかったようだ。「北朝鮮空軍部隊幹部出身北脱出者のチェ某氏は、"戦闘機訓練時は燃料不足が深刻で、長距離を飛行できる燃料を入れない"としながら、"戦闘機燃料タンクの3分の2ほどだけ満たして30分間余り飛行することができるようにするのが慣行"と伝えた。」 [聯合ニュース](8月18日)"墜落北軍用機ミグ-21機と推定・・・燃料が切れたようだ "北軍用機、中国遼寧で墜落 http://www.yonhapnews.co.kr/politics/2010/08/18/0511000000AKR20100818170100043.HTML [聯合ニュース](8月18日)北軍用機、中国遼寧で墜落..脱北推定(総合2報)
[聯合ニュース](8月18日)北ヘリコプター中国遼寧で墜落..操縦士死亡(総合)
http://www.yonhapnews.co.kr/politics/2010/08/18/0511000000AKR20100818080100097.HTML?audio=Y [朝鮮日報](8月18日)北朝鮮戦闘機、中国近隣で墜落
http://news.chosun.com/site/data/html_dir/2010/08/18/2010081800935.html?Dep1=news&Dep2=top&Dep3=top |

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