李英愛研究

ネットの記事でイ・ヨンエさんに迫ります

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 6月16日、映画人が久しぶりに「宣言」を出した。進歩派で最近はやりの「時局宣言」である。10日の6月民衆抗争記念日の前後、大学教授、文化人、宗教関係者、教師らの「時局宣言」が次々に出されている。例えば、“政府は独裁権力へ回帰する不法政治を中断して民主主義と南北共生の平和体制を復元しなさい”などというアジテーションで、現在の政治状況を「民主主義が後退している」と規定する[東亜日報]。映画関係者からは225人の署名が集まっている。

 ところが、映画人の「時局宣言」なるもの(附録1)を読んでもピンとこないのである。どうも、「民主主義が後退しているので大統領は謝罪せよ」ということらしいが、文章が極めて観念的かつ抽象的で、実際に何を言いたいのかよく分からない。国家保安法の廃止要求だろうか。もしかしたら、軍事独裁(開発独裁)の頃にはやったと言われる遠回しの隠語かなんかが散りばめられているのかと疑ったが、自分の語学力では確かめようもない。それに、いまの韓国ではそんな回りくどいことをしなくても、何でも言いたい放題である。なにしろ、ソウルのど真ん中、観光コースにもなっている徳寿宮大漢門の横には「第2の民衆抗争で殺人魔 リ・ミョンバク(李明博)を追い出そう」と黒地に白で書かれた横断幕が何日もかかっていた。行政当局がそれを撤去するため、目立たないように明け方に動くという昨今なのである。ちなみに、この文言は今月6日に自殺した祖国統一汎民族連合初代議長、カン・ヒナム牧師のマスコミ向けの遺書の一節である。大統領の名前は北朝鮮式の表記法で「リ・ミョンバク」になっている。

 わからないなあと思っていたら、もう少しわかりやすい宣言が19日に出てきた。こちらは「韓芸総事態を憂慮する映画監督100人宣言」(100人宣言)なるもの(附録2)で、あの『春の日は過ぎゆく』のホ・ジノ監督も参加している。「時局宣言」には参加していなかったので、俄然、気になる。また、『追撃者』のナ・ホンジン監督や『映画は映画だ』のチャン・フン監督の名前も見える。どうやら、'ディレクターズカット アワード'で有名な「韓国映画監督ネットワーク」の監督が若手中心に網羅されているようだ。その他の名前を見ても、これらの監督以外は自分にとっては今のところ、まあ、どうでもいい名前ばかりである。自分にとってかけがえのないイム・グォンテク監督やイ・チャンドン監督、キム・ギドク監督の名前は見つからなかった。

 韓国芸術総合学校(韓芸総)に所轄官庁である文化体育観光部の監査が入り、ひと月前の5月18日に12項目の注意・改善・懲戒の要請が出された。ファン・ジウ総長はカネの管理や学事管理の杜撰さゆえに懲戒の対象になり、すぐに辞任した。こうした一連の動きを「韓芸総事態」と呼んでいるようだ。「100人宣言」は文化体育観光部の処遇に真っ向から反対する宣言である。反対する論拠は「その動機と過程が怪しい」からなのだそうだ。「相当部分ニューライトの人々の議論(議題)に基づいたと見られる論理がとても不十分で時代錯誤的」だという話である。芸術に党派的な組み分けなどちゃんちゃらオカシイと軽くいなしつつ、党派的な組み分け論理に基づいて批判しているようにも見える。「ニューライトの人々の議論」に関する具体的説明は一切無く、その議論に基づいたと見られる「論理」に関する具体的批判もあまり無いのである。

 「100人宣言」にはやや生硬な芸術論も出てくる。そして、今回の事態における韓芸総側の人々をダビデの星(名札)をつけたユダヤ人に、文化体育観光部側の人々を腕章をつけたナチの親衛隊になぞらえ、こう続ける。「今韓国でも腕章をつけた人々が、憎い奴ならば誰にでも名札を付けています。その人々に話します。腕章と名札の政治を芸術と学問の領域にまで持ち込まないで下さい。芸術と学問は政権の戦利品ではありません。韓国映画に、バランスのとれた教育を受けた人材を供給して下さい。新しい時代の美学で武装した若い芸術家を送って下さい」。・・・辞任したファン総長のようなやり方でないと新しい美学が見つけられないというわけか。

 映画人の「時局宣言」はいまひとつ意味不明であったが、「100人宣言」の方は明快である。文化体育観光部長官や次官、さらには権力側の人々への攻撃である。この「事態」に関して、自転車で通勤するユ・インチョン文化体育観光部長官が登場する動画がネットに出回っている。MBCがでっち…、いや、制作した報道番組の一部である。いつだったか、全教組が反FTAの特別授業を行い、そこに俳優のチェ・ミンシクが講師として出向いたという話があった。あの時は映画人が全教組の助っ人として保守言論に噛みついていたが、今回は助っ人なのか先鋒なのかよくわからない。処分の対象者には文化連帯と掛け持ちの教授や、あのジン・ジュングォン教授なんかも含まれている。これ、民主主義や美学の問題というより、ドンブリの中身の問題ではないかと思う。

[東亜日報](6月10日)教授vs教授…団体vs団体…時局宣言vs反論宣言
http://www.donga.com/fbin/output?n=200906100134&top20=1
[東亜日報](6月9日)[社説]誰が民主主義を脅かすのか
http://japan.donga.com/srv/service.php3?biid=2009060922758
[朝鮮日報](5月22日)ファン・ジウ総長、教授12人に勝手にインセンティブ支給
http://news.chosun.com/site/data/html_dir/2009/05/21/2009052101965.html
[朝鮮日報](5月20日)文化部、ジン・ジュングォンの韓芸総講義料1700万ウォンあまりを回収することに
http://news.chosun.com/site/data/html_dir/2009/05/20/2009052000541.html
[朝鮮日報](5月19日)[今日の世の中]文化部、ファン・ジウ韓芸総総長に重い懲戒要請
http://news.chosun.com/site/data/html_dir/2009/05/19/2009051900033.html

(訂正 6月20日)大漢門横の横断幕に関する誤記を訂正
「元々の遺書では「イ・ミョンバク」ではなく、北朝鮮式の表記法で「リ・ミョンバク」になっている。ここを訪れる観光客のために表記を変えたのだろうか。よくわからない。」
→「大統領の名前は北朝鮮式の表記法で「リ・ミョンバク」になっている。」


(附録1)映画人の「時局宣言」の一部
「・・・映画は人生を語ります。
人間らしい人。人間らしく生きる世の中。皆が同等にお互いを配慮して愛しながら生きる。
だが今日私たちは人を上下で分けて押さえ付けて苦しめる世の中に慣れていきつつあります。
そのように左右で分けて傷つけて憎悪する世の中に生きています。
そのように切迫した生存まで徹底的に疎外させて、偽善と欺瞞で国民を蹂躙する時代です。
原則と所信はむなしい理想であるだけで私たち皆共に積み重ねた大切な民主主義があたかも使い古した履物が捨てられるように捨てられています。
より一層耐えるのが難しいのは私たちがこういう現実に押しつぶされるように願う権力の意図で(あり)、これに順応していく私たちの生活です。
そのような人生の中での映画は無意味で無価値です。
それでも私たちはまた生きてみようと思います。
国民を治めるという権力の傲慢な姿勢があまりにもおぞましいが、私たちも幇助と無関心の疑惑から自由にならないから責任を分けてこの土地の主人として当然の権利として反省の機会を与えようと思います。
恥じることができて責任を負うことができる覚醒と刷新の機会を与えようと思います。
私たちはイ・ミョンバク大統領の謙虚で真実の謝罪を要求します。
私たちは表現の自由、集会・結社の自由、言論の自由を深刻に侵害している反民主主義的な行為らを直ちに中断することを要求します。・・・」

[プレシアン](6月17日)映画関係者225人、時局宣言参加
http://kr.news.yahoo.com/service/news/shellview.htm?linkid=4&articleid=2009061716554261326&newssetid=1352


(附録2)映画監督の「100人宣言」の一部
「・・・2009年5月、文化部は韓芸総に対する大々的標的監査を通じて、芸術と科学技術を融合する通渉教育中止、理論科の縮小および廃止、叙事創作科廃止、ファン・ジウ総長と一部教授らに対する重い懲戒など12件の注意・改善・懲戒処分を通知しました。韓芸総を実技中心の英才教育のために設立された学校と規定したのです。これに反発して、ファン・ジウ総長が辞任したし、学生たちは非常対策委員会を発足させました。
税金が投入された学校には監査がありえて変化を企てることもできます。でもその動機と過程が怪しいのです。相当部分ニューライトの人々の議論(議題)に基づいたと見られる論理がとても不十分で時代錯誤的です。おそらく芸術で理論と実技は別個ではありません。 実践によって理論が派生してその理論等の往来が実際の作業を培うというやり方です。さらに各媒体のフォーマットと流通が自由自在に越境する現在のメディア環境で学制間、媒体間、ジャンル間の対話と融複合すなわち通渉は逆らうことができない大勢なのに、これに対する教育の必要をさっさと否定する根拠が気になります。賞を与えて奨励しているのに、他の学校にも薦められなくて、これはどういう時代逆行ですか? ひょっとして文化部は、私たちの若い芸術家らがこの光速で変化する時代に合う新しい美学を探せないまま旧態然とした作家に転落することを願いますか?・・・」
「・・・芸術は基本的に特定の時代の秩序に疑問を提起して、その感覚を揺さぶって喜怒哀楽を再分配することが存在の義務で理由です。そのような社会的な想像力と自律的感覚は左(派)や右(派)といった一方の徳性ではない芸術と創作本来の価値です。その根本的な価値を追求するこれら(の人々)に古い理念の定規を突きつけて、断罪して処刑するふるまいは、あたかもバウハウスの芸術家らに共産主義者のレッテルを貼って独裁の基盤を固めた過去のドイツのナチを思い出させます。ダビデの星を服に付けて、ユダヤ人らを分離した姿を思い出します。今韓国でも腕章をつけた人々が、憎い奴ならば誰にでも名札を付けています。その人々に話します。腕章と名札の政治を芸術と学問の領域にまで持ち込まないで下さい。芸術と学問は政権の戦利品ではありません。韓国映画に、バランスのとれた教育を受けた人材を供給して下さい。新しい時代の美学で武装した若い芸術家を送って下さい。・・・」

[映画人会議](6月19日)韓芸総事態を憂慮する映画監督100人宣言
http://www.kafai.or.kr/asapro/board/show.htm?bn=news&pkid=445&fmlid=337

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