李英愛研究

ネットの記事でイ・ヨンエさんに迫ります

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 マット・マートン(Matthew Henry Murton)外野手が十月五日、対ヤクルト最終戦(神宮球場)の二回表に中前安打を決め、今季211安打のプロ野球シーズン最多記録を達成した。

 プロ野球のリーグ戦も、最終段階に入って巨人や中日との連戦で負け越し、リーグ優勝が危うくなってからはマートン選手の安打しか興味がなくなっていた。今年の猛暑のせいか、打撃が不振気味になったこともあって打率も若干落としたが、秋口に入ると広角打法による安打量産体制を再開し、首位打者をも狙える打率に戻した。いちファンとしては、マートン選手のマルチヒットは当たり前、猛打賞でまずまず、という倒錯した感覚が戻った。

 今年はじめの前評判はいま一つで、打撃が日本で通用するか疑問だ、などという評定を下した評論家もいたようだが、オープン戦ではそのスラッガーぶりの片鱗を見せ、シーズン間幕直後から安打の量産が開始された。打撃フォームはいわゆるテイクバックがほとんどなく、強いリストというか、上腕というか、上半身というか、とにかく強いパワーですばやく打ち返す。内角のたまを打つときにそのことがよくわかる。肩はそれほど強くない選手である。遠投と打撃では筋肉の使い所が違うのだろう。シーズン前に一部の評論家から酷評されたのはこのバッティング・フォームで、日本式にテイクバックをとって振り抜くやり方をよしとする向きには見とめられない打撃フォームだったようだ。しかし、こればかりは日本の野球と米国のベースボールの違いがあるはずで、そのことをよく承知している評論家の中にはきちんと評価する人もいた。

 ウィキペディア日本語版などによると、2003年、マートン選手はあのボストン・レッドソックスにドラフト一巡目で入団してプロのキャリアをスタートさせた。外野手のスラッガーが足りていたため、翌年シカゴ・カブスにトレードに出され、2005年にMLBデビュー、2006年には4打数4二塁打5打点のメジャー記録を達成している。しかし、ホームランバッターではなく、また、守備面でアピールできるものが足りなかったせいか、3Aでの試合出場が多くなり、2008年にはトレードでオークランド・アスレティックスヘ移籍。ここでも鳴かず飛ばずで翌年にはやはりトレードでコロラド・ロッキーズへ移籍し、マイナーでシーズン終了。安定した打撃力を持つが、守備や走塁にそれほど光るものがなく、次々に移籍した球団の事情も災いしてマイナー生活に甘んじていた、そういう経歴である。

 9月23日現在、200安打達成までの打撃成績を図解した図版を見ると、その広角ぶりに驚かされる。サッカーで鍛えたマートン選手の太ももはかなりゴツそうである。やはり腰から下が極めて安定していることが安定した打撃の一要因ではないかと素人考えをしている。
[朝日新聞](9月23日)スポーツ 写真・図版 マートン打撃成績
http://www.asahi.com/sports/gallery_e/view_photo_news.html?sports-pg/0923/OSK201009230044.jpg

 本日の対ヤクルト戦は17対4でチームは勝利した。チームの勝利を何よりも重視するマートン選手にはうれしい新記録達成の記念日になったに違いない。残りわずかとなった公式戦、そしてCS戦でのさらなる安打製造を期待する。

 マートン選手、おめでとうございます。
 
(10月5日 追記)
[YouTube] イチロー超え!マートン日本新記録211安打の偉業達成
http://www.youtube.com/watch?v=g93s9S1lTcM
[Youtube] シーズン安打記録更新!マートンヒーローインタビュー
http://www.youtube.com/watch?v=EATsgS-EQW8
・・・今日はとりあえず猛打賞だった。

[産経新聞](10月5日)【プロ野球】阪神、マートンがプロ野球新記録を達成
http://sankei.jp.msn.com/sports/baseball/101005/bbl1010051907012-n1.htm
[日刊スポーツ](9月24日)マートン200安打、神様、家族らに感謝
http://sports.nifty.com/cs/headline/details/bb-ns-p-bb-tp0-100924-0026/1.htm
「毎日プレーする機会を与えてくれるチームに感謝している。神様、家族、チームメート、ファンに感謝している。」
[毎日新聞](9月24日)プロ野球:阪神・マートン200安打 来日1年目の偉業−−通算4人目
http://mainichi.jp/enta/sports/baseball/news/20100924ddm035050172000c.html
「マートンは試合中でもこまめに相手投手の球種、仕草などをノートに書き込んでいる。チーム別などに分類されたメモは次回以降の対戦データとなり、狙い球を絞ることなどに役立てている。」
[スポニチ大阪](1月30日)阪神新外国人・マートン、評判通りの“広角打法”
http://www.sponichi.co.jp/osaka/base/201001/30/base216908.html
「(米国から持ち込んだバット)バットコントロールを重要視したいので、バランスを考えて作ってもらっている。だって持つところが細くて、先が太かったらコントロールを失ってしまう。このこだわりはおれぐらいかもな。」

採蓮曲

 マーラーの『この世のうた』(通称『大地の歌 Das Lied von der Erde』)はたしか第3楽章がテレビコマーシャルに使われたことがあった。自分はこれを聴くときはアルト(またはバリトン)独唱による偶数楽章だけを聴くことが多い。中でも第4楽章と第6楽章を好んで聴く。秋の長雨が続いたり、気分がふさいでいる時には第4楽章だけである。「ユンゲェ メェーッチェン プフルッケン ブルゥーメン・・・」。意味不明のヘタな発音でCDの演奏に合わせて歌ったりする。

 若耶谿(じゃくやけい)の岸辺で乙女たちが荷花(かか ハスの花)の間に散らばって楽しくおしゃべりしながら蓮の花を摘んでいる。蓮の実(み)は栄養もあって旨い食糧だから、実も採っているのかもしれないが、やはりここでは花摘む乙女である。「荷花」は「芙蓉」だろう。漢方薬で使われる「荷花掌(にかしょう)」という植物があり、山間の岩肌に自生するのだそうだが、これでは詩にならない。「若耶谿」の「谿」は「谷、または水のない谷」であるが、有名な王籍の『入若耶渓』でうたわれた浙江省紹興市の渓谷であろうか。枯れ谷に蓮池があり、よく晴れた夏の日、、輝く日差しを浴びて少女たちが蓮採りにいそしんでいる、のだろう。と、その時、岸上に馬に乗った若者たちが現れる。どこの家の道楽者(遊冶郎 ゆうやろう)たちだろう、落花を踏み散らし、岸辺に枝を垂らす柳の木を縫って三々五々駆け抜けて行く。それを見送った少女たちは淡い心のときめきを覚え、凛々しい若者たちが通ったあたりを何度も見つめるが、切ないおもいをあきらめるしかない。

 ・・・と、李白の詩を参考にしつつ、自分勝手に情景を想像した。したがってこの解釈は第4楽章で歌われている情景を忠実になぞったものではない。第4楽章の歌詞のもとになった情景を勝手に想像しただけである。ハンス・ベートゲ Hans Bethge(1876-1946)とマーラーによる訳詩(翻案?)では、一人の美しい少女が一人の馬上の若者に淡い思いを抱く話になっているが、自分は少女たちと若者たちの相対図と捉える。昼日中、働きもせずに乗馬を楽しめる若者たちは素封家の子息たちだろうし、渓谷の蓮池で花(や実)を摘む乙女たちとの身分の違いは歴然ではないかと勝手に思っている。

 その第4楽章はとても絵画的でわかり易い。愛らしく親しみやすく甘美な曲想で始まり、決してけだるくはない夏の日の情景が美しく歌われる。と、突然ファンファーレが低く聞こえ、また聞こえ、何度か鳴り響いた後に、大爆発が起きて行進曲調のドライヴ感のある曲想に変わる。やがて旋風は消え去り、また柔らかい曲想に戻り、静かにしっとりと締めくくられる。美しい夏の風物詩の点景として置かれた少女の目を通して、美しいものへの憧憬とはかなさ、その刹那が描かれる。

 CDで残されている演奏はたくさん集めたが、ジュリーニ指揮、ファスベンダーとアライサの独唱によるベルリン・フィルの演奏[B000AA7DNW]を愛聴している。録音はドイツグラモフォンでアナログ録音の一時代を築いたあのクラウス・シャイベ。自分にとってお気に入りの録音バランスである。終楽章はワルター指揮、フェリアーのアルトでの演奏をよく聴くが、第4楽章はジュリーニ盤がお気に入りである。録音が古いせいか、ワルター盤では馬群の登場場面の爆発がやや貧弱に聞こえてしまう。こういう聴き方は邪道なのかも知れないが、昔のコマーシャルをもじっていうなら、「美もまた爆発なのかな」という話である。

 「原詩の特定はベートゲによる追創作や底本の誤訳によって容易ではなかったが、中国文学者の吉川幸次郎やドイツ文学者の富士川英郎、音楽学者の浜尾房子らの努力によって、7編のうち6編の原詩が確認されている」(ウィキペディア日本語版)。歌詞で唯一原詩が特定されていないのは第2楽章の『秋に寂しき者 Der Einsame im Herbst』だけだそうだ。

[REC Music Foundation]数カ国語で歌詞その他が掲載されているページ。
http://www.recmusic.org/lieder/assemble_texts.html?SongCycleId=235

<附録 第4楽章の歌詞の日本語訳と李白の詩 ウィキペディア日本語版より>
ベートゲとマーラーによる詩および李白の原詩とされるもの。
 第4楽章 美について
 李白の詩「採蓮曲」による
うら若き乙女たち 自然にわく水のその池に
花摘む その蓮の花を
岸辺の茂みの中、葉と葉の中に座して
茗荷の花を手折り、膝に集め
嬉嬉たる声をあげ、一緒に交わし合った。

金色の陽は差し照りて、
その乙女たちを包んで
きらめく水面に映し出している
陽は乙女たちのたおやかな肢体と
愛らしい瞳とを逆さまにして映し出している
そしてさらに微風は
乙女たちの袂(たもと)を揺らし
魅惑に満ちた乙女の香りを
日射しの中に振りまいた。

見よあれを
凛々しい少年たちが猛り勇ましい駿馬にまたがり、
駆けめぐる、いかなる者たちよ?
陽の差す光にも似て、きらめき遠ざかり、
はやくも緑なす柳葉の
茂れる枝の木の間より
若人が群がり、現れ走り行く
ひとりの少年の馬は 歓びに嘶(いなな)きて
怖じけながら猛り走り行き
草花の咲く野原の上を越えて
土音たてて馬蹄はよろめき去る
たちまちに嵐のように、落花を踏みしだく
そのたてがみは 熱に浮かれて靡(なび)きひるがえり
その鼻孔は熱い息吹き出しぬ

金色に輝く太陽がそこにあるものを光で包み
静かで清らかな水面にあらゆる影を映し出し
その中でも美しき乙女が顔をあげ、少年へ
送るのは憧憬の眼差し、ながながと追いかける
乙女の誇らしき物腰態度、上辺だけの見せかけに過ぎぬもの
つぶらな瞳の閃きながら火花の中に
熱いその眼差しによぎる暗き影の中にも
心のどよめき、なおも長引き哀しく憧れ秘めている

採蓮曲 李白
若耶谿傍採蓮女
笑隔荷花共人語
日照新妝水底明
風飄香袂空中擧
岸上誰家遊冶郎
三三五五暎垂楊
紫□嘶入落花去
見此踟△空断腸

採蓮の曲 李白
若耶谿(じゃくやけい)の傍 採蓮の女(むすめ)
笑ひて荷花(かか)を隔て 人と共に語る
日は新粧(しんしょう)を照らして 水底に明らかに
風は香袂(こうべい)を飄(ひるがえ)して 空中に挙(あ)がる
岸上(がんじょう) 誰が家の遊冶郎(ゆうやろう)
三三 五五 垂楊(すいよう)に暎(えい)ず
紫□(しりゅう)落花に嘶(いなな)き入りて去るも
此れを見て踟△(ちちゅ)し 空しく断腸

□:「うまへん」に「留」   △:「あしへん」に「厨」

(参考: CDの解説にあった渡辺護氏による日本語訳詞)
乙女ごどち、花を摘む。
岸辺に蓮の花を摘む。
葉の茂みの中に腰おろし、
ひざに花びら集め、
かたみに戯言(ざれごと)いう。

こがねの陽は彼女らを生き生きとつつみ、
眩耀と水中に反射す。
陽は彼女らの優しき肢体と、
愛らしき目を水中に写し、
また微風は媚を含みて着物の袖を上げ、
彼女らのよき香りを
大気の中にただよわす。

ああ、見よ、かしこに美しき若者たち、
岸辺に駿馬を駆り回らす。
緑濃き柳の枝を縫いて、
陽光の如く輝かしく
若き人々は遠くはせめぐる!
ひとりの若者の馬は嬉しげに嘶き、
物おじし、走り去る。
馬蹄は花、草をなびかしめ、
倒れし花々を激しく潰す。
見よ!たてがみは喜びに蓬々とはためき、
鼻孔は熱く息づく。

金色の陽は乙女らの間を飛びはね、
その姿を明るき水に映し出す。
乙女ごの群れの最美なるひとりは
彼にあこがれのまなざしを送る。
彼女の気位あるそぶりは偽装にすぎず、
そのつぶらなる瞳の閃きの中に、
あつきまなざしの暗闇の中に、
胸の高まりは訴うるごと、波うち、揺れ動く。

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