李英愛研究

ネットの記事でイ・ヨンエさんに迫ります

李英愛の時代

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脱北者二万人(下)

 「ハムギョンブクド(咸鏡北道)ムサンで暮らしていたキム・ヒョンジュ(14.仮名)さんは昨年韓国に来たが、まだ私たちの言葉で対話するのに気後れしている。食料を求めるとして中国を出入りしたお母さんについて脱北したのは八才の時の2003年。その後のヒョンジュは中国で漢族と結婚したお母さんと暮らしながら5年間中国人学校に通った。順次激しくなる新しいお父さんの暴力を避けて2008年にお母さんとともに逃げるように韓国に入ってきたが、ヒョンジュには相変らず中国語のほうが馴染み深く、韓国語では基本的な意思表現しかできない。ヒョンジュのお母さん、ハン某(42)氏は"ヒョンジュが幼い時からあちこち転々としながらことばをよく習えなくて学校で遅れをとらないだろうか心配だ"と吐露した。」③

 「統一部によれば(今年の)8月末現在、韓国に入ってきた脱北者は総1万9千500人余りだが、この中の20%近い2千700人余りは入国当時19才以下の青少年だった。これら脱北者の中で相当数はヒョンジュのように短く1年、長くて7〜8年を中国や東南アジアを転々としてやっとのことで韓国に入ってくる。特に青少年の場合、成長期に外国現地学校に通ったため韓国語での疎通に気後れする場合が多い。脱北者と多文化家族を助ける財団法人'ムジゲ(虹)青少年センター'が昨年15〜24才男女脱北者896人を対象に調査した結果、北朝鮮を脱出して韓国に入ってくる時まで平均21ヶ月を中国などで生活した。」③

 ・・・定着支援機関のキョンギド(京畿道)アンソン(安城)市ハナ院では中国での生活が長かった青少年に対して特別プログラムを実施しているし、その後に通うことになる同市のハンギョレ中高等学校でも別授業で対応しているそうだが、読み書きが普通に出来るようになるまでには時間がかかるそうだ。だが、南北の"教育格差"は相当なものらしく、ことばに大きな問題がない児童や生徒にも'いじめ'の洗礼が待ちうけている。

 「脱北後韓国で小学校生活を無事に終えて今年中学校に入学したウンギョン(13.仮名)は学校でことばを一言もしゃべらない。小学校の時から親しく過ごした仲良しと同じ中学校に進学できて喜んだのも束の間、基礎学力が不足したウンギョンは順次授業に遅れをとったし、ウンギョンが脱北者であることを知ることになった何人かの子供たちはウンギョンの語り口をからかい始めた。それまで仲良しだった友人とも徐々に遠ざかってウンギョンは結局'いじめられっ子'になった。」③

 「統一部によれば、昨年脱北中・高校生が学業を途中であきらめた比率が8.8%に達して韓国の生徒(1.4%)の6.3倍水準だった。韓国教育開発院が昨年発表した'脱北学生の教育実態分析'報告書を見れば脱北青少年らが学校をやめる最大の理由は'習う内容がとても難しくて'(24%)であった。・・・教育開発院の報告書によれば、脱北青少年の61.9%、父兄の62%が'いじめ'にあうかもしれないという心配のために北朝鮮出身であることを明らかにしたがらないことが明らかになった。」③

 また、「北朝鮮離脱住民定着支援法によれば、北朝鮮で取得した学歴を認められようとする脱北者は各地域の教育庁で学歴と年齢、素養評価(言語・数理能力)の結果を基準として審議を受けるべきなのに、教育庁別に基準が違ううえに現実的な配慮も不足して、20才を越える脱北者が中学校に配置される場合もある。」③
 「ムジゲ(虹)青少年センターのユン・サンソク南北統合支援チーム長は、"韓国の人と同じようになることを願うより、特性を生かして能力を発揮することができるように見守ってあげることがさらに重要だ"としながら、"韓国語をできないことがハンディキャップとして作用することもありうるが、中国語の特技を生かして外国語高校に進学したり、大学入試で外国語特技専型に合格した事例もある"と説明した。」③

 ③ '私たちの言葉'ができない子供たち
http://www.yonhapnews.co.kr/politics/2010/09/27/0511000000AKR20100927183300014.HTML

 ・・・大多数の脱北者らは厳重な監視をすり抜けて脱出した後、相当期間中国やタイ、ベトナム、ラオス、ミャンマーなどを転々として韓国に入ってくる。その結果、からだと心が傷だらけの場合が数多い。入国した脱北者の47%が最大の困難として'精神的・肉体的苦痛'を挙げたという調査結果もあるそうだ。

 「2006年以降、国立医療院とチュンナム(忠南)大病院の'北朝鮮離脱住民診療センター'を訪ねてきた脱北者が3千300人余り(300人余り入院治療)に達したが、これは同じ期間の全脱北者の17%に該当する。ありふれた病気の中の一つが結核だが、1999年から最近まで検診を受けた1万6千340人の脱北者中2.2%(308人)が結核の判定を受けた。また、ハナ院内医療機関の'ハナ医院'が2006〜2009年の4年間に脱北者3千378人にツベルクリン検査をした結果、抗体陽性反応を見せた事例は81%に終わった。残り19%は結核感染の危険に無防備に晒されているという話だ。肝炎にかかった事例はさらに多く、2004〜2010年にハナ院に入所した脱北者1万3千124人の10.8%にあたる1千306人が陽性反応を見せた。問題は、こういう慢性疾患を直そうとするなら、以後の粘り強い診療が必要だが、ハナ院出所後にはほとんど体系的な治療を受けることができないということだ。全脱北者の78%を占める女性たちは各種婦人病で苦痛を受けている。ハナ院によれば、毎月入所する200人内外の女性脱北者中半分程度が産婦人科疾患を訴えていて、完全に正常な人の数は10%前後に過ぎない。」④

 ・・・こうした慢性疾患等の病気は、過酷な脱北生活で得たものもちろんあるだろうが、北韓(北朝鮮)の劣悪な保健衛生状態がその根本要因だと自分は思っている。ピョンヤン(平壌)あたりの外部宣伝用の医療期間を除いて、方方の病院等では薬品や医療機材はおろか、満足な消耗品も備えていないところがほとんどではないかと想像している。

 「こういう身体的病気も問題だが精神的疾患はさらに深刻だ。一例で、2007年に入国した40代女性脱北者のキム某氏はハナ院出所後、定着地保護担当警察の助けで食堂に就職しながら一週間を通うことができなかった。キム氏がずっと頭痛と腹痛を訴えて食堂をやめるほかはなかったのだ。だが、担当警察と共に病院に行って診察を受けてみると身体的には全く異常がないことが明らかになった。ハナ医院のチョン・ジンヨン公衆保険医(神経クリニック担当)は、"こういう症状を'身体化'というが、ストレスによる心理的反応が身体的苦痛として現れるもの"と説明した。脱北者の4分の3を占めるほど女性脱北者の数が増えながら、うつ病患者も急増している。脱北過程で受けた激しいストレス、北朝鮮や中国に置いてきた家族に対する懐かしさと罪悪感、国内入国後体験する社会・文化的衝撃などがうつ病として現れるということだ。・・・実際に、先月(8月)14日現在、国立医療院に入院中の脱北者11人中4人が精神科治療を受けていた。」④

 脱北者医療サービス団体の'新しく一つになった祖国のための集い'(略称 セソウィ)の「シン・ミニョ代表は、"痛みを治療するのも重要だが、南北間の社会・文化的差異から生じる問題を解決できるように助ける現実的対策が緊急だ"としながら、"例えば脱北者が死亡した時に葬儀を助けるシステムを運営すれば、この社会で'捨てられた存在'でないということを感じることができるだろう"と語った。」④

 ④ "心身がみな病気にかかった"脱北者
http://www.yonhapnews.co.kr/politics/2010/09/27/0511000000AKR20100927186400014.HTML
 
 ・・・脱北者は二万人を超えたが、韓国社会での彼らの居場所は寒寒としているようだ。彼らを眺める国民の視線は暖かいというより冷たいほう近いというのが専門家たちの現実診断だそうだ。「彼らが半世紀を経過した'分断の溝'を少しでも埋めるという期待感がなくはないが、何の助けになるのかという式で冷笑する雰囲気も厳存するということだ。」⑤
 
「ソウル大統一平和研究所が去る7月、19才以上の男女1千200人を対象に調査した内容を見れば、国民5人中3人(59.3%)は脱北者らが韓国、北朝鮮の異質化解消に役に立つと答えた。これは2007年の調査時(53.8%)より多少高まったのだ。また、'韓国に入ってくることを望む脱北者は全部受け入れなければならない'という意見の比率が52%から43.6%に低下した反面、'選択的に受け入れなければならない'という応答は37.2%から47.9%に高まった。 政府の脱北者支援と関連して、去る7月調査の'さらに多い支援が必要だ'という応答が55.7%で2007年より多少低くなった反面、'支援に反対する'という応答は44.3%と小幅で高まった。」⑤
 
 「当研究所のパク・チョンラン選任研究委員は、"世帯所得水準で月200万ウォン以下と400万ウォン以上の'支援に同意する'という応答比率が、これまで200万〜399万ウォン台より高かった"としながら、"中間所得層で脱北者支援の必要性に共感する割合が低いという意味であって、中産層の社会経済的不安定性が広がった結果として見ることもできる"と分析した。合わせて、'脱北者らに親近感を感じない'という応答の比率は少し低くなったが、相変らず57.5%で半分を上回った。'町内の隣人や職場の同僚のように相対的に距離をおく関係では脱北者らを敬遠しない'と答えた人々が半分に達したが、'結婚相手や同業者では避けたい'という応答が'そうではない'よりさらに多かった。'組織内で脱北者らが同じように競争しなければならないか'という質問には、67.8%が'そうだ'と答えて、脱北者らをひたすら弱者としてしか見てはいないことが明らかになった。この調査結果だけ見れば、私たちの国民は統一が達成された時、脱北者らが社会統合に寄与するという'漠然とした'期待を持っているが、財政的負担と心理的距離感もだいぶ感じていると分析された。⑤

 「脱北者らは誰でも基本定着支援金の他に住宅、職業訓練、大学特例入学、登録料などの支援を受ける。しかし、統一部が韓国職業能力開発院に依頼して作成した'2009北朝鮮離脱住民経済活動実態調査'報告書によれば、韓国に定着して6ヶ月を越えた15才〜64才の年齢帯の脱北者599人中、経済活動をしている場合(291人、48.6%)よりそうではない場合(308人、51.4%)がさらに多かった。また、非経済活動人口中、45.7%は韓国に定着したあと金を稼ぐために仕事をしたことが一度もないと調査された。就職脱北者の場合、'食堂や工事現場補助のような単純労務職'(31.5%)または'機械操作および組み立て'(23.2%)等の仕事をしているが、月平均所得は127万ウォンに過ぎなかった。母集団全体の637人中、基礎生活費受給世帯(生活保護を受けている世帯-訳注)は52.3%で2008年の調査の時(60.2%)よりは減ったが、相変らず自立を期待するには難しい水準だった。こういう現実の底辺には自立の必要を切実に感じることができない脱北者らの認識が作用しているが、脱北者らを敬遠する私たちの社会の雰囲気にも問題があるという指摘がたくさん出ている。それと似た脈絡で、もう脱北者らを'移住民(外国人労働者や外国人配偶者-訳注)'のひとつの形態として眺めなければならないという意見が強く提起されている。」⑤
 

脱北者二万人(上)

 11月16日付の[朝鮮日報](日本語版)によれば、韓国入りした脱北者の数が11月11日に2万人を超えたと統一部から発表があった。韓国に住む脱北者の数が1000人を超えたのは1999年で、1万人を突破したのは2007年。大韓民国が成立してから1万人目まで59年かかったが、2万人目までは3年しかかからなかったのだそうだ。中国や近隣諸国に潜んでいる人を除いて、韓国入りした人たちだけで北韓(北朝鮮)の人口のおよそ0.1%になる。
 50年代から60年代、70年代の終わり頃までは北韓(北朝鮮)のほうが韓国より豊かだった。"共産圏"の友邦からの援助によって潤っていた北韓(北朝鮮)は、対外的には華々しくチュチェ(主体)思想をぶち上げ、対内的には徹底的な粛清によってキミルソン独裁態勢を築き上げた。国民一人あたりの年間所得が100ドルに満たない最貧国として国造りをスタートさせた韓国は、米国からの援助や日本からのカネをもとに開発独裁(軍事独裁)によって今日の発展の基礎を造って行った。そして、"共産圏"が崩壊してしまうと、北韓(北朝鮮)の国家としての鍍金(メッキ)は見るも無残に剥げ落ちた。

 90年代の食糧難の時期を北韓(北朝鮮)では「苦難の行軍」などと悲壮ぶって呼称することもあるが、あれは出身成分の低い階層の話であって、いわゆる宮廷経済で暮らす支配階層や特権層の多くはたらふく食べていたはずだ。そして、在日朝鮮人の帰国者やその少し上の最下層の出身成分という全く救いのない階層の人々は飢えと闘う生活が常態となった。これら極貧層と特権階層の間に位置する多様な人民の中から、「夢を見るために」国境を越える人々が増加したのだろうと自分は勝手に想像している。

[朝鮮日報](日本語版 11月16日)韓国入りした脱北者が2万人突破
http://www.chosunonline.com/news/20101116000055
[朝鮮日報](10月7日)[社説]歴史的民族的使命感で脱北同胞対策たてなさい
http://news.chosun.com/site/data/html_dir/2010/10/07/2010100702242.html
 
 10月はじめに出た<脱北者2万人時代 ①〜⑤>という[聯合ニュース]の特集記事を読んでみた。なお、北から脱出した人を指す言葉としては、韓国入りした人をかつては「帰順者」などと呼んだし、その後、「セトミン(新土民?)」なんていう言葉も使われたことがある。運転手を「運転技師」と呼ぶ類の"人権的配慮"であろうか。以下では、すべて「脱北者」とした。
 
 昨年韓国に入国した脱北者の数は3千人近くで、今年はもう少し減りそうな情勢だそうだが、統一部の2000年度〜2003年度の資料(以後統計未公開)によれば、'生活苦'による脱北は2000年度の40.7%から2003年には60.4%に急上昇したが、同じ時期に'処罰憂慮'は21.1%から6.2%に、'体制不満'は16.6%から9.6%に低下した。

 「(脱北が急増した)草創期には'生活苦'という脱北動機で、'極端な飢えから抜け出さなければならない'という差し迫った問題が主要因であったが、2000年代に入って'より良い人生のための挑戦'の性格が強くなったと専門家たちは話している。」
 また、「2008年末、チュンナム(忠南)大統一問題研究所主催の学術会議でハナ院(脱北者が最初に収容される馴化施設-訳注)側が発表した内容を見れば、1999年から2008年6月までハナ院に入所した脱北者1万2千人余りの中で63%(7千970人)が脱北動機として'生活苦'を挙げ、'処罰憂慮'と'体制不満'は各々6%、5.6%にすぎなかった。」[聯合ニュース]①

 長い間一桁の数で推移した脱北者が二桁になったのは1994年の54人、大飢饉が頂点に達した1999年には148人に増えたのだそうだが、北韓(北朝鮮)が2000年に大飢饉の終了を公式宣言して以後、脱北が爆発的に増え始めたのだそうだ。そして、脱北動機が変化してきたた背景として、「まず北朝鮮に流れ込む外部情報流入量が大きく増加したという点が挙げられる。 北朝鮮の国境地域を通じてはるかに良い暮らしをする韓国や中国の生活像が口伝されるかと思えば、韓国ドラマや映画CDがひそかに流通しなが、ら'より良い人生'を渇望する住民たちの心理を刺激したということだ。」」[聯合ニュース]①
 
 「3年前脱北したというキム某氏(47)は、"相変らず北韓では生活苦の問題が厳しい状態であって、これは苦難の行軍の時期だけの話ではない"としながら、"外部から聞こえてくる話がたびたび耳に入り、(脱北に対して)一度考えることを二度考えて期待感ももっと持つことになるのが事実"と、語った。」
 「ソ・ジョンベ統一部定着支援課長は"以前には体制不満による脱北が多かったが、最近では経済的な理由とより良い人生に対する憧憬が主要動機"としながら、"すでに脱北した家族との人間的きずなで脱北する場合も急速に増加している"と、語った。」[聯合ニュース]①

 …ある社会の矛盾は弱いものをまず潰す。年寄や子供、病人の飢え死にが一通り収束して、2000年に大飢饉終息宣言が出されたのであろうか。それまで、「脱北阻止」の監視体制は熾烈を極めたと思われる。自分などは、2002年7月に「7.1経済管理改善措置」が施行され、制限付きながら個人の市場取引が認められたことが大きな要因ではないかと勝手に思っている。配給制が崩壊しているこの国では、それまでも闇市がモノの流通を細々と担っており、それに加えて、一応は「公設市場」が出来たわけだから、少しは事態が改善されたのだろう。
 脱北者の数は2002年に千人を超え、その後は右肩上がりで増えつづけている。統一部によれば、最近では韓国内に入ってきた脱北者の40%が家族を残して国境を越えている。そして、あの手この手で家族に仕送りをするのである。こういう話をみると、北の為政者たちは外貨稼ぎと困窮民対策の課題を脱北者に背負わせているのではないかと邪推したくもなってくる。

[聯合ニュース](9月27日)<脱北者2万人時代>①
 'より良い人生'生きているか?
http://www.yonhapnews.co.kr/politics/2010/09/27/0511000000AKR20100927191300014.HTML
[聯合ニュース](2009年 7月7日)“韓・中の脱北者3〜4万人毎月北に送金”
http://www.yonhapnews.co.kr/politics/2009/07/07/0511000000AKR20090707179400014.HTML

 最近は、昨年の通貨改革や今年の世襲関連の話題など、北韓(北朝鮮)の内部事情や市井の生活がリアルタイムで伝わり、韓国の新聞で報道されたりする。しかし、向こうの態勢は数十年以上微塵も変化していない。「国内脱北者の中で相当数は中国の仲介人を通じて北韓(北朝鮮)内の家族、知り合いなどにお金を送ったり携帯電話で通話をしながら連絡を維持している。この過程で大小の北韓(北朝鮮)の便りが当事者の意図と関係がなく外部に伝えられるということ」だそうだ[聯合ニュース]②。

 とくに昨年の貨幣改革は「NK知識人連帯」による一種のスクープだった。脱北者のネットワークが一定の支援に支えられて確実な実りをあげているのだと思う。前とその前の政権の時には考えられなかった情勢である。表立って脱北者団体に支援を行うことが憚られるような空気がその頃にはあったようだ。なにしろ、南北首脳会談等でノーベル平和賞をもらったキム・デジュン(金大中)あたりは脱北者に関する質問を受けても「脱北者に会ったことがない」と公言して憚らなかった。

 脱北者のネットワークは向こうの便りを伝える一つの有力な対北韓媒体になりつつあるのだろうが、その限界も存在する。例えば今年の労働党代表者会開催の話として、当初は"9月上旬"に開催されるとのことであったが、そのタイムリミットが過ぎると様々な推測が乱れ飛んだ。
 「韓国内脱北者らが北韓(北朝鮮)内部から伝え聞いた便りでも、これを土台に対北韓媒体らに伝える便りはその正確性とカバーする範疇で明らかな限界を持っている。 北韓(北朝鮮)内で広まっているうわさでも、'第三者'の伝言が北-中国境地域に居住したり、短期間中国に出てきた北韓住民たちによってまた外部に伝えられる形であるためだ。こういう場合、北韓(北朝鮮)の住民が韓国内の脱北者の親戚に携帯電話で便りを伝えようとするなら、必ず中国内仲介人を経なければならない。そのような理由で対北韓媒体の北韓内'ソース'(情報提供者)はほとんど100%、中国の移動通信網に接続できる国境地域居住者にならざるをえないわけだ。
例えば、ピョンヤン(平壌)で起きたことをハムギョンブット(咸鏡北道)の通信員が伝え聞いてまた韓国に伝える式だとすると、情報の範疇と信頼性に問題がある可能性が高いという話だ。合わせて、北朝鮮の保衛部のような公安機関が境界隣接地地域住民たちや中国訪問者らに操作された逆情報を流す可能性も残っているという指摘が出る。」[聯合ニュース]②

 ・・・こうした便りは北朝鮮の一般住民たちに聞いた話が大部分である以上、指導層にかかわるいわゆる"高級情報"とは隔たりがあるし、脱北者の素直な気持ちが結果として情報にバイアスをかけてしまうこともあるだろう。だが、自分などはキム・ジョンイルが飲むワインの銘柄や着ている服の生地なんぞには微塵も興味が湧かない。市井の人々の毎日の食事の内容や若い世代に好まれている衣服の傾向なんかはぜひ知りたいと思う。多少の誇張や思い違いを含む偏向気味の情報であってもかまわない。

[聯合ニュース](9月27日)<脱北者2万人時代>②
 北朝鮮の窓?‥明暗共存
http://www.yonhapnews.co.kr/politics/2010/09/27/0511000000AKR20100927188000014.HTML
[聯合ニュース](2009年 7月2日)<脱北者が伝える北朝鮮の実状>
http://www.yonhapnews.co.kr/politics/2009/07/02/0511000000AKR20090702094500097.HTML

G20対応民衆行動

 いよいよ明日、11月11日と12日の両日、20カ国・地域首脳会合(G20 金融サミット)がソウルで開催される。[連合ニュース]や[ニューシス]といった通信社、三大紙をはじめとするネットの新聞サイトでは関連記事がにぎやかにページを埋めている。

 先週、[ハンギョレ]や[京郷新聞]等の「大手(!?)」反政府系メディアのネット記事を見てみたが、いわゆる「牛肉デモ」の頃とは違い、過激に煽るような記事は見当たらなかった。大学講師がG20のポスターにねずみの落書きを描いたとして令状申請されたとか、韓国の反腐敗指数は39位だとか、ソウルでの"G20熱気"を揶揄しているとも受け取れる外国通信社の記事を紹介したりとか、そういう記事がほとんどだった。韓国のいわゆる進歩勢力の反対行動がどうなるのか興味深く見守ってきたが、いまひとつ盛り上りに欠けているかなという印象を持っている。

 いわゆる進歩勢力は「蝋燭集会-牛肉デモ」の頃と同様に野合みたいなかたちで反対行動を起こしている。あの時は"1830余ヶ団体参加"という謳い文句でいわゆる進歩系の団体が総結集し、発足して間もない政権を追い落とそうと本気で闘っていたように見うけられた(ただし、「狂牛病の危険がある米国牛肉全面輸入に反対する国民対策会議」という長ったらしい統括団体のサイトにあった参加団体名簿には1510団体の名前しかなく、残りの320団体は水増しなのかな、などと訝しく思ったりした)。

 で、今回は、《人が優先だ!  G20対応民衆行動》なる惹句で闘いを仕掛けている。『G20対応民衆行動』という統括組織を立ち上げて、11月7日から10日まで"国際民衆会議"なるイヴェントで話題作りを行い、11日の会議当日にソウル駅前で大規模集会を計画している。話題作りの"国際民衆会議"がどういうかたちで開催されたのかよくわからない。主催者側の報道を見ると、当初の開催場所として予定されていたソガン(西江)大から会場の貸与を断られたり、参加予定者(?)が入国を許可されなかったり、当局による「弾圧」があるのだそうだ。

 反対行動に参加した団体の数は83である。筋金入りの反グローバル化団体が結集したのかと思いきや、それだけでもなさそうだ。[参加連帯]のサイトを見ると、民主労働党や全国民主労働組合総連合(民主労総)、進歩新党といったお馴染みの名前に加えて、参加連帯、進歩連帯、韓国大学総学生会連合(韓総連)、さらに社会党やダァハムケ(もろともに)、緑色連合、同性愛自認権連帯なんていう団体もある。こういう反対行動の常連で、いわゆる「利敵団体」というお墨付きをもらっている親北・従北団体、さらには主体思想の準拠団体と邪推したくなる団体が数多く参加しているのも目を引く。ウリ民族連邦制統一推進会議などという、一見して従北団体と思われる団体の"連邦制"は"リョンバンジェ"、すなわち北朝鮮式のハングル表記である。もちろん、「反核」なんていう文言を掲げた団体は一つもない。

 参加団体の規模は「牛肉デモ」の頃に比べると寂しい限りである。主催者側によれば11日は一万人規模の集会になりそうだということであるが(警察の予想は外国人活動家を含めて3600人余り)、このままでは反グローバル化の掛け声も「引かれ者の小唄」に終わりそうな情勢である。

 また、ただの杞憂に終わることを願っているが、G20を狙って北韓(北朝鮮)が何か挑発を企ててくる可能性も排除できない。例えば、南北共同声明が出た2年後、いわゆる太陽政策が本格化し始めた2002年、韓日(日韓)共同開催のワールドカップ期間中の6月29日に北韓(北朝鮮)は決勝戦を狙って第2ヨンピョン海戦(西海海戦)を仕掛けてきた。北の警備艇1隻が北方限界線(NNL)を超えて韓国側領海を侵犯し、韓国海軍の哨戒艇2隻が現場に向かった。北側がそのうちの1隻に発砲したため哨戒艦は炎上し、後に沈没、別の哨戒艦との交戦に至った。この交戦の結果、韓国側は戦死者6名および負傷者18名、北側は死傷者40名程度といわれている。
 
 
  金持ち喧嘩せず、などといって資金援助(=体制延命・軍事開発(核開発)のための資金)や食糧援助(=兵糧・横流し用食糧)を行っても、もともと民生用にまわすことは微塵も考慮していないであろうカネやモノであるから、軍部はそうした支援で勇気凛々、思う存分、挑発に精を出すことになる。北韓(北朝鮮)の為政者にしてみれば、大韓民国が(良い意味で)国際的に目立ったり賞賛されるような状況は我慢ならないのだ。

 そうはさせじと警備・警護当局は水も漏らさぬ態勢でコトに臨んでいる。あまりに厳しい態勢に対して批判がないわけではないが、カナダでは騒乱もあったし、国として「一世一代」の大イヴェントである以上、仕方ないところかもしれない。
 
(訂正 11月11日)
 11日の反対集会の開催場所の誤記を訂正。
「サムソンドン(三成洞)のCOEX(韓国総合展示場)近くで」 → 「ソウル駅前で」

[連合ニュース](11月10日)<G20>都心であす大規模集会、警察が対応に腐心
http://japanese.yonhapnews.co.kr/headline/2010/11/10/0200000000AJP20101110003400882.HTML
[ソウル新聞](11月9日)[社説]G20首脳会議 治安対策もグローバル化されてこそ
http://www.seoul.co.kr/news/newsView.php?id=20101109031006
[京郷新聞](11月7日)G20対応民衆行動‘国際民衆会議’開催
http://news.khan.co.kr/kh_news/khan_art_view.html?artid=201011072207075&code=940100
[参加連帯](11月6日)[G20共同行動] G20ソウル首脳会議に対する共同行動主管を宣言して
http://blog.peoplepower21.org/International/40423
[チャムセサン](11月4日)
G20、‘知性’はなくなって‘提灯記事’だけ復活
G20関連フォーラム、学術祭不許可通知...集会、言論統制も深刻
http://www.newscham.net/news/view.php?board=news&nid=59108
[民主労総](11月4日)[記者会見文]ソガン(西江)大イ・ジョンウク総長に送る公開書簡
http://nodong.org/statement/368392

 (附録:『G20対応民衆行動』の参加83団体(11/5現在))
21世紀コリア研究所、21世紀韓国大学生連合、6・15共同宣言実践青年学生連帯、健康権実現のための保健医療団体連合、金融規制強化と投機資本課税のための市民社会ネットワーク(経済正義実践市民連合、グローバル政治経済研究所、創造研究所、新しい社会をひらく研究院、新しい世の中研究所、全国事務金融労働組合連盟、投機資本監視センター)、キリスト教社会布教連帯会議、基本所得ネットワーク、分かち合い文化、南北共同宣言実践連帯、労働人権会館、労働者戦線、露店労働連帯(準備中?)、緑色連合、農民薬局、ダァハムケ(もろともに)、大学生代案フォーラム、大学生人間連帯、同性愛自認権連帯、ミン・カヒョプ良心犯後援会、民族問題研究所、民族民主烈士犠牲者追悼団体連帯会議、民族自主平和統一中央会議、民族和合運動連合(社団法人?)、民主労働党、民主労働者全国会議、民主露天商全国連合、民主化のための全国教授協議会、民主化実践家族運動協議会、反戦平和連帯、白凡精神実践民族連合、仏教平和連帯、貧困社会連帯、社会党、社会進歩連帯、市民社会団体連帯会議、実践仏教全国僧侶会、エネルギー気候政策研究所、エネルギー労働社会ネットワーク、エネルギー市民会議、エネルギー正義行動、エネルギー政治センター、外国人移住・労働運動協議会、ウリ民族連邦制(リョンバンジェ)統一推進会議、利潤より人間を 移住労働者差別撤廃と人権および労働権実現のための共同行動、移住労働者人権擁護、全国農民会総連盟、全国大学新聞記者連合、全国民族民主遺族協議会、全国民主労働組合総連盟、全国民主化運動遺族協議会(社団法人?)、全国貧民連合、全国女性農民会総連合、全国女性連帯、全国学生行進、祖国統一汎民族連合南側本部、地球村貧困退治市民ネットワーク韓国委員会(GCAP-Korea)、進歩新党、進歩戦略会議、参加連帯、統一広場、投機資本監視センター、平和と統一をひらく人々、平和在郷軍人会、韓国カトリック農民会、韓国大学総学生会連合、韓国女性団体連合、韓国女性民友会、韓国進歩連帯、韓国青年連帯、韓国透明性機構、韓民族生活文化研究会、学術団体協議会、環境運動連合、環境正義、G20反対大学生運動本部、KYC

三頭の熊

 10月27日、「NK知識人連帯は内部消息筋を引用、"最近、フェリョンシ(会寧市)オサンドク中学校の教室とお手洗いで、キミルソン、キム・ジョンイル、キム・ジョンウンを織込んで風刺した歌の歌詞が発見された"としながら、"韓国の童謡 '熊三匹' にキミルソン、キム・ジョンイル、キム・ジョンウンをあてはめて風刺したもの"と、伝えた。」[デイリーNK]

<韓国で流通している歌詞>

熊三匹が一軒のおうちにいて          (コムセマリィガァ ハンチベ イッソ)
アッパ熊オンマ熊こども熊            (アッパァコム オンマァコム エェギィコム)
アッパ熊はでっぷり太っていて         (アッパコォムン トゥットゥゥヘェ)
オンマ熊はスマートで               (オンマァコォムン ナルシンヘェ)
こども熊はとても可愛くて            (エェギィコォムン ノムギヨウオォ)
幸せに幸せに(鼻高々で) 暮らしています  (ウッスッウッスッ チャルハンダ)

<某知識検索で見た英語の歌詞>
Three bears live in the same house.
daddy bear,mommy bear,baby bear
Daddy bear is fat, Mommy bear is thin
Baby bear is very cute
Well,well, very well

<北韓の中学校で見つかったといわれる歌詞>
一軒のおうちにいる熊三匹はみんなたらふく食べていて
ジィジ熊、パパ熊、子熊
ジィジ熊はでっぷり太っていて
パパ熊もでっぷり太っていて
子熊はおろかで
[最終行欠落か]

[YouTube]韓国の子供による合唱の例; アニメ体操付き。
http://www.youtube.com/watch?v=YogshSNtVpo
[YES24.com]童話『三頭のクマ』の購入ページ; 導入部分が簡単に紹介されている。
http://www.yes24.com/24/goods/3292858

 歌は世につれ、世は歌につれ、なんてことも言われる。この歌の出自には詳しくないが、現在の核家族化の進行を象徴する内容になっているのが興味深い。メロディは覚え易く、愛らしい幼児の愛唱歌である。早期英語教育が花盛りの韓国では、これに英語の歌詞をかぶせて唄わせる「教育ママ」、いや「教育オンマ」も多いようだ。

 「北韓(北朝鮮)では2000年代後半に入ってキム・ジョンイルと指導部を批判する歌が唄われ始めたが、これらは主に児童と青少年らの間で流行した。成人らはこういう歌を唄う場合、思想闘争が起こって身辺が危険になるが、児童・青少年らは '分別のない行動' 程度で置き換えられるという。」[デイリーNK]

 自分などは今回の世襲の馬鹿騒ぎを見て、『三匹の子豚』や『三馬鹿大将』なんかを連想した。童話やテレビ番組の内容とはほぼ無関係に言葉の字面が浮かんだ。向こうでは「豚」ではなく「熊」になぞらえている。やはり権力者への遠慮があるのだろうか。豚ではかわいらしくて不可なのか。…しかし、実際に北韓(北朝鮮)で暮らす人々にしてみれば事態はそんなに牧歌的な話ではないだろう。家族や親友以外の人々、いや、ひょっとすると家族や親友にすら「ホンネ」を語れない抑圧状況である。何十年も続く「愚民化政策」と「権力者の神格化」という徹底した対内心理戦の結果、諸外国の感覚と多少はズレたところがあるにせよ、三代世襲という尋常ならざる状況を盲信している人は少ないと思う。労働党のバッチをもたず、係累に有力者とのコネもなく、地方で暮らすいわゆる出身成分の低い人民はもとより、平壌界隈に暮らす特権層の連中でさえ、動員された大祝賀集会で力いっぱいマンセーを叫びながらも割りきれないものを抱えているのではないかと勝手に想像している。

 いや、もしかしたら現在の北韓(北朝鮮)に暮らす多くの人々はあまりにも窮乏したあげく、コトの是々非々がわからない状態になっているのかもしれない。現在の北韓(北朝鮮)の状況を考える際に、先日「朝鮮日報」でみたソウル大のチョン・サンイン教授のコラムがとても参考になった。人間の営みの根本にあるはずの「夢」。その夢さえも現在の北朝鮮の人々にはかなわぬことなのではないかと問いかける。同コラムでは、朝鮮王朝の長寿の秘訣を社会経済的絶対貧困で考究したヨンセ(延世)大のソン・ボク名誉教授の御指摘を引用し、示唆に富んだ議論をなさっている。それを孫引きすれば、すなわち、「社会が貧しければ貧しいほど政権を変えるエネルギーが社会内部で生成されることはできない。反面、政権は一定の武力でどんな農民反乱も鎮圧することができる…ダイナミズムの喪失はやがて停滞につながって、停滞は今日の北韓(北朝鮮)のように長期政権を可能にする」という話である[朝鮮日報]。

 チョン教授の議論をやや長めに引用する。

 「一方では飢えた住民、他の一方では政権の健在という矛盾的状況は、この頃のように開明的な世の中で真に理解し難い大きな課題だ。だが、為政者らが民の腹を肥やすことに対してまともに関心を持つことになったのは歴史的に見る時そんなに古い話ではなかった。近代以前王朝社会で権力の正当性は民生と直接関係がなかった。権力の維持はたいてい世襲の問題だったためだ。"貧困救済は国にはできない"としたが、これは"貧困救済は国がしない"という意味と相通じる。・・・ 北韓(北朝鮮)の極貧状態は単純な政策上の誤りや失敗のせいではないこともあるという点で事情がより深刻だ。北韓(北朝鮮)の支配集団は住民たちの限界的生存状況をもう一つの統治基盤で活用しているのかもしれない。 たとえば、全国を監獄や収容所類似したものに仕立てておいて、最小限延命できる物質的条件だけ提供したり、でなければそれさえまともにできない場合を想像してみよ。そうしたところでは希望も遠いが、怒りもまた決して容易ではない。その上、あまりにも絶妙にも北朝鮮は今回の世襲過程で 'キミルソン朝鮮' あるいは 'キム氏王朝' を労働党規約に最初から書きこんでしてしまった。前近代国家へ確実に回帰することによって、業績による正当性確保という近代国家としての義務を払いのけたのだ。そういえば、仮にも社会主義計画経済としながら、北朝鮮は1997年以降人民経済のための何の計画もなかった。 私たちがあまりにも文明化された世の中に生きて忘れているけれど、すなわちこういうものが権力の真の姿だ。権力というのは強大な武力と絶対的忠誠勢力に無気力な社会という条件だけ付け加えるならば思ったより長続きするということだ。国家の興亡に外部環境が変数ではあるが、北朝鮮の場合はどうせ核で武装した孤立と隠遁の国だ。それなら権力移動以後、北朝鮮体制の異変を直ちに予想するのは現実的に無理にならざるをえない。」
(……)
 「こういう脈絡で抱くことになる期待は、北朝鮮の権力世襲行為が我が方の南の葛藤を解消できる絶好の機会になったらと思うことだ。まず北朝鮮の世襲独裁強行に際して太陽政策は正当性の根拠を大きく喪失してしまった。したがって、左派・進歩勢力はこの際、対北朝鮮観を自然に再考するはずだ。かと言って対北朝鮮強硬論がまかり通るわけではない。北朝鮮体制の変化のための夢の開始は、あちらの人々を無条件に少しでもさらに食べさせて着せてあげることだという点を知って、また信じなければならない。腹がへった民が従うのは原則でない。」[朝鮮日報]

 メシは天であり、夢の源だろう。誰かに教わったのか、自分たちで思いついたのか、実際のところは定かではないが、少なくとも北韓(北朝鮮)の中学生の中には夢を見るために素直に状況を体感している生徒たちがいる。

[デイリーNK](10月27日)"でぶの キム・ジョンウン批判 '熊三匹'の替え歌拡散"
http://www.dailynk.com/korean/read.php?cataId=nk06500&num=87417
[朝鮮日報](10月13日)[朝の論壇]とても貧しければ夢もなくて敵もいない
http://news.chosun.com/site/data/html_dir/2010/10/13/2010101301989.html
 10月19日の[国民日報]によれば、外交通商部が英語を公用語で使う国家を除いた在外公館の外交官を相手に該当地域語学等級保有者や地域研修者、関連言語専攻者を集計した資料が公になり、韓国の外交官の現地言語に対する現状の一端が明らかにされた。

 この資料は外交通商部が19日にハンナラ党ク・サンチャン議員に提出した『在外公館別現地言語駆使比率(2010年9月基準)』なるもので、非英語圏在外公館100ヶ所の平均は36.9%だった。「現地言語を適正水準で駆使する職員比率が50%に至らない公館が61ヶ所に達した。さらに現地語を使うことができる外交官が1人もない公館も29ヶ所にもなった。資源外交の主要対象国のリビア大使館、ドバイ大使館などアラビア語使用国とインドネシア大使館などが代表的だ。合わせてフィンランド、ポルトガルなど8つのヨーロッパ連合(EU)会員国公館にも現地語使用人材がいないと調査された。イタリア、オランダ、スイスなど韓国人旅行客がたくさん訪れる国家の公館らも現地言語駆使比率が25%にもならないと調査された」[国民日報]。

 [国民日報]の記事には「駆使比率」順に代表的な公館名を記した簡単な表が添付されている。最近FTAを締結する運びとなったEUの加盟国での数字も驚きだが、こういう国々とは対照的に現地言語駆使比率の「高い」国々のリストを見てみると、「100%と調査されたところが5ヶ所あり、神戸、名古屋総領事館など全部日本地域の公館だ。チンタオ(青島)総領事館(85.7%)、シャンハイ(上海)総領事館(77.8%)など中国公館も比率が高かった」[国民日報]。日中は国境を接しているのでこんなものかもしれないが、100%駆使している5ヶ所がすべて日本というのは驚きあきれる。近間の国でもロシアはロシア大使館52.6%、ウラジオストック総領事館40.0%でかなり低い。

 英語を公用語で使う国家での数字も見てみたい気もするが、やはり外交官というぐらいだから英語は問題無しのはずだ。それに、韓国での「英語熱」は尋常でないようで、幼児の英会話教室が繁盛しているなんて話を見た覚えがある。ということは、最大の同盟国は米国だし、英語は「世界の共通語」のようだから、とりあえず英語が出来ればよし、なんていう話になっているのだろうか。あるいは、現地語に堪能の人材を優遇し、優先的に派遣しては外交官選抜の「公正性」が保てなくなる、なんていう倒錯した議論でもあるのだろうか。

 国際ビジネスには英語が幅を効かすといっても企業の現地駐在員は片言でも現地語を使えなければ話にならないだろう。現地語を知らない外交官がどうやってサポートをするのだろう。外交というぐらいだから、貿易や経済に関する話だけでは済まないだろうと、素人考えで思ってしまう。現地語を使えない外交官が窓口になって、どうすれば文化面の国際交流とか友好関係なんていう話になるんだろう。まさか、英語以外できなくても現地に赴いてから向こうの言葉をぼちぼち覚え始めればオッケー、英語や韓国語の出来る現地人のスタッフがいればケンチャナヨォ(大丈夫)、なんていう話だろうか。

 日本で日本語を使える外交官が多いのは一応わかる。日本に留学した人も多いだろうし、韓国語と日本語は単語の並べ方に似たところがあるので覚え易い。また、喫緊の課題に対する外交戦用に情報収集を怠らないはずだ。中国も、近年は最大の貿易相手国になっているし、外交的な課題も少なくないようなので、比較的高い駆使率は頷ける。しかし、日本や他の国々の外交官の事情は全く知らないが、この記事で引用された大雑把な数字から、韓国はかなり偏向した外交を行っているのではないかと邪推したくなってしまう。ただし、上の調査の詳細を確かめたわけではないのであくまで邪推である。「資格」や「学歴」を持たない外交官が現地語を全く使えないというのも極端な話だからだ。駆使率ゼロの公館の外交官がみんな休日に公邸に引きこもっているわけでもあるまいし、片言でも現地語を知らなければちょっとした外出の際に用も足せない。

[国民日報](10月19日)外交官なのに?… 63%が現地語‘真っ暗’
http://news2.kukinews.com/article/view.asp?page=1&gCode=pol&arcid=0004234597&code=11121100

<附録:上の記事に添付されていた表>
非英語圏在外公館100ヶ所の現地言語駆使能力
現地言語駆使比率−公館数−代表的な公館(大-大使館、総-総領事館、表-代表部)
     0%   −29−ギリシア(大)、インドネシア(大)、リビア(大)
10〜20 未満− 4−イタリア(大)、香港(総)、オランダ(大)
20〜30 未満−13−モンゴル(大)、スイス(大)、ブラジル(大)
30〜40 未満− 9−イエメン(大)、ガボン(大)、ウズベキスタン(大)
40〜50 未満− 6−広州(総)、アルゼンチン(大)、台北(表)
50〜60 未満−11−モロッコ(大)、成都(総)、ロシア(大)
60〜70 未満− 8−フランス(大)、日本(大)、チリ(大)
70〜80 未満− 8−西安(総)、上海(総)、ハンブルク(総)
80〜90 未満− 7−宣陽(総)、大阪(総)、フランクフルト(総)
90〜100未満− 0−なし
   100%   − 5−神戸(総)、広島(総)、名古屋(総)

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