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[聯合ニュース](日本語版3月6日)によれば、6日にソウルで行われた韓米FTAの第1回予備交渉で本交渉の日程が決まった。第1回目は6月5日から5日間ワシントンで、第2回目が7月10日からソウルで、そして9月,10月、12月にも行われて、年内に5回の本交渉が予定されている。第1回目の本交渉の前に第2回予備交渉が米国で行われる可能性が高いそうだ。翌7日には国務会議でスクリーンクオーターの割合を現行の半分の73日に減らす映画振興法施行令改正案を議決した。7月から縮小されることが正式に決まったのだ。
[聯合ニュース](3月7日)に1993年から今年の3月7日までのスクリーンクオータ関連年表が出ている。これを見てあらためて思うのは、闘争が韓国国内に限定されていることだ。パク・チャヌクやホ・ジノらが国外でデモを行ったが、あれはたまたま映画祭に出かけていったついでに行っただけで、韓国国内向けのアピールにすぎない。結局、直接の対抗勢力であるはずの「米国映画資本」向けのアピールらしきものは見あたらない。非公式の文書などを送っているのかもしれないが、報道には現れていないようだ。韓国国内で巨大米国資本の脅威を耳にタコができるほど連呼していながら、その相手にはむしろ紳士的な態度で接している。90年代末の大規模な縮小・廃止反対闘争の直接のきっかけとなった韓米投資協定自体は、当時のキム・デジュン政権の方から米国に提案したものである。だからなのだろうか。スクリーンクォーター制の現行維持を主張するのは米国映画全体を拒否するためでも、米国文化全体を罵倒することでも、米国資本と産業の国内誘致を無条件に拒否しようというものでもない、むしろ、韓国の映画人が米国の文化的、産業的主権を尊重するように、米国も韓国の映画人の文化的、産業的主権を相互認定しなさい、という建前なのだ。「大人の態度」というやつだろうか。だが、ものすごく不自然な感じがする。
肝心の「韓米FTA」について、以前からその詳細を調べているのだが、これといった記事が見つからない。観念的な議論は山ほどある。そうではなくて、具体的に経済的な損得を数字で示しているような記事がほとんどないのだ。韓米FTAの反対論で、スクリーンクオータ文化連帯の研究にクオータ数が一日減る毎に産業全体で何億ウォンの減収、という推計はあったが、農業・繊維・医薬品・医療サーヴィス・保険サーヴィス・教育サーヴィス等々、影響を受けると想定されている産業分野毎の詳細な損失推計などは見たことがない。これは、例えば向こうで反FTAの集会に行けば宣伝ビラ等で容易に知ることができるのだろう、あまりに手軽に入手できるのでマスコミも掲載したりしないのだろう、と勝手に思っているが…実際はどうなのだろう。一方、韓米FTAの賛成論でも、政府の推計でGDPが2%上昇するとか、雇用創出効果があるとか、大雑把にしか報じられていない。詳細はよくわからない。これも、市役所や行政の出先機関に行けば宣伝ビラ等で容易に知ることができるのだろう、あまりに手軽に入手できるのでマスコミも掲載したりしないのだろう、と勝手に思っているが…実際はどうなのだろう。日本にいて、実際のことはよくわからない。だが、ものすごく不自然な感じがする。
映画人は3月3日に今後の行動方針を発表した。法的に争うとともに、反FTAで他の団体との連繋を一層強めて闘うことになる。クオータ日数縮小が閣議決定されてしまったので、あとは1999年に国会で反対決議を勝ち取った時のように市民団体と共闘して世論を盛り上げていくしかない。7年前のあの時は屈辱的なIMF管理下の暗い世相であった。映画人のスローガンはあの時も今回もそれほど異ならないが、あの時の闘争自体はもっと泥臭くて粗かったと思う。暗い世相が大きな運動のうねりを作ったのかもしれない。この年に「シュリ」が610万人の観客動員を記録し、韓国映画のメガヒット時代が始まる。翌2000年には「JSA」が600万人、2001年には「チング(友よ)」が818万人、2003年からは毎年1000万人以上の観客を動員する韓国映画が生まれた。韓国国民は映画人の闘いに共感するだけでなく、その後も面白いと思った韓国映画を支持してきた。今回の闘争はどういう展開になるのだろう。
附録:90年代以後現在までの「スクリーンクオータ縮小反対闘争」関連年表([聯合ニュース](3月7日)より作成)
−1993.10.27 = イム・グォンテク監督, ソン・ジヨン監督, 俳優アン・ソンギ、パク・チュンフンなど映画人300名が映画振興公社試写室でスクリーンクオータ縮小反対糾弾大会を開催
−1994. 6.23 = 全国劇場連合会スクリーンクォータ制を規定した映画法に対して 憲法裁判所に憲法訴願の申し立て
−1998. 4.20 = アメリカ映画協会(MPAA) ウィリアム・ベーカー会長が「スクリーンクオータ日数を減らしてくれれば韓国に5億ドル規模の投資をする」と発言
−1998. 7.30 = ムン・ソングン、ハン・ソッキュなど映画人が政府総合庁舍の前でスクリーンクオータ廃止反対及び韓米投資協定で映画分野除外を主張する集会開催
−1999. 1. 5 = 国会、スクリーンクォータ制現行維持を促す決議案を採択
−1999. 6. 9 = 文化観光部、スクリーンクオータの段階的縮小を検討中と発表
−1999. 6.18 = 「スクリーンクオータ死守のための汎映画人非常対策委員会」光化門ビル前広場で糾弾大会.俳優チェ・ジウ、ファン・シネ、シム・ヘジン、チェ・ミンシク、ハン・ソッキュ、イ・ミヨンなど映画人700余名参加.ゾン・ジヨン、パク・チャヌク、バク・グァンツン、パク・カンス、イ・ミリェ監督など99名が坊主頭になる
−1999. 6.21 = 文化観光部、スクリーンクオータ縮小可能との公式声明を出す
−2002. 1.28 = イム・グォンテク監督など映画人150余名、世宗文化会館でスクリーンクオータ守護の意志を重ねて声明
−2003. 6.12 = イム・グォンテク監督と俳優アン・ソンギ、パク・チュンフン、ハン・ソッキュ、ソン・ガンホなど映画人がプレスセンターでスクリーンクオータ縮小論議中断と韓米投資協定締結拒否を要求
−2003. 6.15 = キム・ジンヒョウ副総理兼財政経済部長官が「スクリーンクオータ縮小をずっと推進」と発言
−2003. 7. 2 = 「韓米投資協定を阻止しスクリーンクオータを守る映画人対策委員会」結成
−2003. 7. = パク・チャヌク監督、俳優アン・ソンギ、イ・ヨンエらが<私の人生の映画音楽>というオムニバスCDを作ってスクリーンクオータ文化連帯を支援
−2004. 4. 7 = 監督のボン・ジュノ、パク・チャヌク、女優のオー・ジヘらが世話人になって「映画人たちの民主労動党支持宣言」が出る
−2004. 4.15 = 大韓民国第17代総選挙(4.15総選)で民主労働党が10議席を獲得
−2004. 6.11 = イ・チャンドン文化観光部長官が「韓国映画産業の未来のためにスクリーンクオータ日数の縮小調整を検討しなければならない時点だ」と発言
−2004. 7.14 = 映画人たち、一日の間製作を全面中断.光化門四つ角で「スクリーンクオータ死守と韓米投資協定阻止のための映画振興法改訂促進要求及び対国民報告大会」開催
−2004. 7.15 = 与・野党議員38人がスクリーンクオータ現行日数の規定を法律に格上げする映画振興法改正案を提出
−2004. 8.31 = 映画人と文化部がスクリーンクオータ協議体構成
−2004.10.17 = 公正取引委員会がスクリーンクオータ縮小・廃止の立場を表明
−2005. 4. 4 = カン・チョルギュ公正取引委員長が「政府はスクリーンクオータ制度に対して縮小する方向で検討中」と発言
−2005. 6. 3 = ロブ・ポトマン米貿易代表部(USTR)代表がスクリーンクオータ縮小要求
−2005.10.21 = ユネスコで文化多様性協約を採択
−2005.11. 4 = パク・ビョンウォン財政経済部次官が「スクリーンクオータ縮小推進」と発言
−2005.12. = 俳優イ・ヨンエが青龍映画祭の賞金を全額スクリーンクオータ文化連帯に寄付
−2006. 1. 6 = 俳優アン・ソンギ、イ・ヨンエらが香港WTO反対闘争での逮捕者のために嘆願書を送る
−2006. 1.20 = クォン・テシン財政経済部次官が「集団利己主義がスクリーンクオータにもある」と発言
−2006. 1.26 = ハン・ドクス副総理兼財政経済部長官が「スクリーンクオータを現行146日から73日に縮小して7月から施行」と発表
−2006. 1.26 = スクリーンクオータを守る映画人対策委が緊急記者会見を通じて「スクリーンクオータ縮小不可方針」を発表
−2006. 1.27 = 文化観光部、韓国映画発展基金として4千億ウォンのサポート案を発表
−2006. 2. 1 = 映画人たち、スクリーンクオータ縮小反対リレー徹夜座り込み突入
−2006. 2. 3 = 韓米両国、韓米FTAが公式にスタートと宣言
−2006. 2. 4 = スクリーンクオータ縮小抗議1人デモ開始
−2006. 2. 5 = CCD(国際文化専門家団体 Coalition for Cultural Diversity)の国際運営委員会代表ロバート・パイロン、スクリーンクオーター支持のため来韓
−2006. 2. 7 = 映画俳優チェ・ミンシク、映画「オールドボーイ」のカンヌ映画祭審査委員大賞の受賞功労で受けた玉冠文化勲章を返却
−2006. 2. 8 = 映画人たち、光化門でスクリーンクオータ縮小撤回を要求する大規模集会開催
−2006. 2. 9 = キム・ゼユン、ソン・ボンスク、チョン・ビョングク、チョン・ヨンセ国会議員、記者会見を通じて「スクリーンクオータ維持法案通過に力をつくす」と発表
−2006. 2.10 = 俳優イ・ヨンエ、[聯合ニュース]とのインタビューで映画人のスクリーンクオータ死守闘争及び1人デモに対して支持を表明
−2006. 2.14 = パク・チャヌク監督、ベルリンでスクリーンクオータ縮小方針に反対する1人デモ
−2006. 2.15 = 全国民衆連帯など113の市民社会団体、「スクリーンクオータ死守、韓米自由貿易協定(FTA)阻止のための汎国民対策委員会準備委員会」出帆
−2006. 2.17 = 映画人と農民、韓米FTAとスクリーンクオータ縮小反対キャンドル文化祭を開催
−2006. 2.25 = ホ・ジノ、リュウ・スンワン、キム・デスンなど夕張国際映画祭参加監督たちが日本の夕張でスクリーンクオータ反対のプラカード・デモ
−2006. 3. 2 = ソウル市劇場協議会「現行スクリーンクオータの割合は自律的に守る」と発表
−2006. 3. 3 = スクリーンクオータ死守映画人対策委、記者会見を通じて24時間野外座り込み、汎国民署名運動、行政訴訟・憲法訴願を推進すると発表
−2006. 3. 6 = スクリーンクオータ死守映画人対策委、屋外徹夜座り込みに突入
−2006. 3. 7 = スクリーンクオータを縮小する映画振興法施行令改正案が国務会議を通過
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