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<ピョンテク文化フェスティバル>
[韓国映画人会議]ホームページの告知によれば、6月7日、ソウル光化門の東亞日報社前で「ピョンテク、野が泣く6/7文化フェスティバル」という集会が開かれる。4月15日に行われた大規模集会は金日成の誕生日に合わせた南北統一行動だと思うが、6月7日は何の日だろう。文化連帯、民主労動党文化芸術委員会、民主労総文化メディア室、スクリーンクオータ文化連帯、韓国映画人会議、韓国独立映画協会その他23団体の共同主催である。ピョンテク米軍基地移転反対汎国民対策委員会、韓米FTA阻止汎国民運動本部が共同後援をしている。プレシアンやカルチャーニュースなど6社が言論後援、四季出版社、実践文学など14社が出版後援とのこと。さらに、全国教職員労組、全国公務員労組など5団体が特別協賛である。この告知には共同後援の2つの「汎国民」組織を除くと合計48団体/法人の名前が出ている。
おや、全農はどうしたんだろう。農畜産対策委員会というのが出てくるのでこれかな。いずれにしてもこれらの団体/法人が、民主労総や民主労働党の息のかかった反ピョンテク及び反FTA「汎国民闘争」の核心勢力なのであろう。ただし、[聯合ニュース](6月4日)の告知記事だとイヴェントの名称が「ピョンテク米軍基地拡張反対と韓米FTA反対文化フェスティバルコンサート」になっている。また、「文化侵略阻止及びスクリーンクオータ死守映画人協会」という名前が出てくる。「対策委員会」ではなく「協会」である。まさか分派したわけでは…、よくわからない。
まあ、とりあえず文化祭である。[韓国映画人会議]の告知によれば、午後2時から7時まで<文化露店市場>なる企画が行われ、「展示」及び「文化広場」にそれぞれ7つのイヴェントが設定されている。韓国映画人会議主催で午後5時から映画人ファンサイン会というのが「文化広場」に含まれている。[聯合ニュース]によれば、闘う映画俳優チェ・ミンシクや筋金入りの民主労働党員ポン・ジュノ監督その他が参加する。こういうサイン会は、文化…だな、やっぱり。
で、午後7時半から10時まで続く<コンサート>にもチェ・ミンシクの名前が出ている。これの出演者として、自分の知らない歌手の名前に混じってユン・ドヒョン・バンドの名前があった。セゾン文化会館ソウル市芸術団やピョンテク テチュリ里の住民たちも参加するようだ。歌や踊りで盛り上げるのだろう。<コンサート>には「詩朗読」、「映像」、「風物」というサブメニューも含まれている。「映像」では、韓米FTA阻止独立映画実践団映画人対策委が作った『韓米FTA、真実と嘘』という、おそらくは映画が上映されるようだ。この映画はだいぶ前の告知では『韓米FTAの秘密と嘘』という題名であった。
イヴェントの趣意文はピョンテクで軍人と機動隊の無慈悲な行政代執行によって踏みにじられた農民たちの悲劇について触れ、「アメリカは北東アジアに向けた軍事的拠点としてピョンテクを選択し、韓国を経済的・社会的・文化的拠点にするために韓米FTAを持って来たのです。これが妥結されれば農民350万人の半分が農村を捨てなければならないし、文化・環境・保健・福祉など実に韓国を丸ごとアメリカ巨大資本に渡してやらなければなりません」と説く。いつもの話である。
ピョンテクと韓米FTAがこのまま推移すれば(自動車産業やIT産業等は一応除いて)韓国は完全に米国の支配下に置かれてしまうのである。(たとえ去年引っ越してきた者が含まれているとしても)ピョンテクの無辜なる農民や住民にとっては個人的な悲劇であり、(もともと韓国が米国に持ちかけた話だし、他の多くの国ともFTA交渉をしているとしても)韓国国民にとっては国民全体の悲劇である暴挙がたった今進行中なのである。阻止せよ!完全に粉砕せよ! …やれやれ、( )内はもちろん趣意文では言及されていない。こちらで勝手に追加した。で、「政府と言論は”一部反米主義者、常にアンチだけである運動圏たちの反発”くらいに事態を歪曲縮小して、時代的真実を孤立させようとしています」という嘆きも書かれている。ただし、『何が正しいか、真実は時間が経てば自ずとわかります』なんていう悠長な言葉は見つからない。趣意文は切迫感に満ちている。事態の深刻さに国民が気づかなければならない、というわけだ。
相変わらずとんがってるなあ。もうこうなると「汎国民」の闘争ではなくて「恨国民」になっているような感じだ。ともあれ、文化祭にユン・ドヒョン・バンドが参加しているのが意外だった。いつだったか、今度のワールドカップがらみで文化連帯に批判され、文化連帯と所属事務所が険悪な状態になったことがあったからだ。ユン・ドヒョン自身は進歩でも保守でもなく、我が道を行っているようにみえたが…。ということで、文化連帯のホームページを見たら以前の所属事務所攻撃声明が消えていた。たぶんサイトを再構築したのだろうと思うが、よくわからない。その代わり、面白い話が出てきた。
<反ワールドカップ宣言>
[聯合ニュース](6月4日)によれば、文化連帯に所属する市民団体の活動家100人余りが「反ワールドカップ・ゲリラ行動」というのを始めるそうだ。「ワールドカップの熱風と商業主義が結合しながら、早急に解決しなければならない深刻な社会問題を覆ってしまっている。(そこで)ワールドカップの弊害を告発するステッカー(横5cm×縦7.5cm)をソウル市内あちこちに設置されたワールドカップ関連造形物に附着するなど反ワールドカップ・ゲリラ作戦を行う」という宣言が6月4日に出た。そして、「ワールドカップの熱風が吹きながら、ピョンテクのデモがニュースで消えてから久しくなったし、私たちの生を根こそぎ変えるかも知れない韓米自由貿易協定(FTA)が真摯な悩みなしに進行されている。ゲリラ行動はワールドカップの熱気で狂ってしまった私たちの姿を振り返ろうということだ」と主旨を説明した。この文化連帯にはスクリーンクオータ文化連帯も所属しているはずなので、ちょっと気になる。
12000枚製作したステッカーには『大韓民国には今ワールドカップよりもっと重要なことが本当にないんですか』、『ワールドカップを見に家を出た政治的理性を捜します』、『私の熱情を利用しようとする君のワールドカップに反対する』などの文言が書かれているという。そして、深夜から夜明けの時間に光化門と清渓広場、ソウル広場などに建てられたワールドカップ関連造形物と市民の往来が集中する場所に奇襲的にステッカーを貼るゲリラ作戦を行う計画なのだそうだ。そういえば、上の文化祭の「文化広場」に「韓米FTA反対文化芸術ゲリラバス」(文化連帯)というのがあった。これに使うのか。でも、場所と時間を公言してゲリラ作戦になるのだろうか。これ、ワールドカップを応援する人たちを挑発してニュースネタにしようという作戦かなあ。
12000枚も用意したのは、すぐに剥がされることを想定しているのだろうか。すぐ剥がれるゲル状の糊を使って…いや、そんなんじゃないだろう。べたべた貼るわけだ。剥がせばゴミになるし、人様の迷惑になると思う。遠回しなようで押しつけがましい文言は反感を買うかもしれない。全く無視されるかもしれない。活動家の中には家族持ちの方もいらっしゃると思うが、どうみてもこれは学生運動のノリである。スプレー塗料で道路や壁にスローガンを書くのよりは少しマシな程度だ。でも、公衆電話ボックスとか街路灯の支柱とか、あちこち貼るのかなあ。道路には…貼っても無駄か。
うーむ。この人たちのやろうとしていることはまるで「反国民」闘争みたいだ。これまでの運動の景気の悪さで相当クサっているようだ。地方選挙の結果もひどかった。愚昧な大衆の「政治的理性」が歯がゆくてしょうがないんだろう。しかし、本当の運動はそこから始まる。もし「革命」ではなく「改革」を目指すなら、理念優先で何でも敵と味方に分け、非妥協的に自分たちの考えをゴリ押しするだけでは誰もついてこない。運動の真の前衛たらんとするなら、そこのところを批判的に考察するべきだ。「革命」のつもりなら話は別だが。…まあ、そんなことは百も承知でしょうね。
<FTA一次交渉阻止決議大会>
ところで、昨日(6月3日)、南山道でユニセフ主催により「愛の素足で歩く大会」が行われている頃、宗廟公園では国民運動本部が「韓米FTA一次交渉阻止決議大会」という集会を開いた。ただし、警察発表によれば1300人しか集まらなかった。この団体はその後デモ行進に移り、光化門の東亜日報社の前に着くと「ピョンテク米軍基地拡張阻止」のキャンドル集会に変身した。反ピョンテクも反FTAも闘争の母体はだいたい同じだから合理的である。米国ワシントンの反FTAデモに実働部隊を派遣しているので手不足なのだろう。米国への圧力が地道なロビー活動ではなくストリートパフォーマンスというのもお国のやり方を貫徹していて微笑ましい。この日の終わり方は7日の文化祭の前哨戦ということもあるのかもしれない。
[oh my news](6月4日)の報告によれば上の「決議大会」には1500人が参加した。映画俳優チェ・ミンシクも登場して現政権の批判を痛烈に行った。この人、最近は映画俳優より人寄せ…、いや、進歩派活動家の方に専念しているようだ。いつだったか、今年のカンヌ映画祭でポン・ジュノ監督らとスクリーンクオータ死守の沈黙デモを行い、カンヌ映画祭の取締役会から支持を取り付けて帰国した。向こうの取締役会は韓国映画界に精通しているのか、反ハリウッドの立場からそうなったのか、よくわからない。いずれにしても韓国の左寄りの言論は鬼の首でも取ったようにカンヌ、カンヌとじゃんじゃん報道していた。まあ、韓国国内向けには一応ニュースネタを提供して、遠征の成果はあったわけだ。たしか、チェ・ミンシクは演技者組合の代表だったと思うが、いまや韓国の進歩派勢力の顔として反体制左翼運動の最前線で闘っている。これが、いつまで続くのだろう。韓米FTAの大勢が決まる来年春までごりごり行くのか。あるいは、ピョンテクが泥沼状態だから来年末の大統領選挙までこの調子で行くのかもしれない。
[oh my news](6月4日)『FTAは韓米奴隷条約で第二の韓日併合』という記事。
[ http://kr.news.yahoo.com/service/news/shellview.htm?linkid=4&newssetid=746&articleid=2006060415053975524 ]
[聯合ニュース](6月4日)ピョンテク6/7文化フェスティバルの短い告知。
[ http://kr.news.yahoo.com/service/news/shellview.htm?linkid=4&newssetid=746&articleid=2006060409011382501 ]
[聯合ニュース](6月4日)反ワールドカップ宣言の記事。
[ http://www.yonhapnews.co.kr/news/20060604/820200000020060604050120K7.html ]
[東亞日報](6月3日)ソウル都心で行われた各種デモの記事。
[ http://www.donga.com/fbin/output?f=total&n=200606030205&top20=1 ]
[韓国映画人会議]ピョンテク6/7文化フェスティバルの長い告知。
[ http://www.kafai.or.kr/asapro/board/show.htm?bn=screenquota&fmlid=91&pkid=162 ]
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