|
民主憲法調査会:「憲法提言」安全保障の素案を大筋了承
民主党の憲法調査会(枝野幸男会長)は20日開いた総会で、改憲論議に向け同党がまとめる
「憲法提言」のうち9条の安全保障に関する素案を提示、大筋で了承された。
自衛権行使や国連の集団安全保障に参加した場合の武力行使を限定的に容認するなど
「4原則・2条件」の理念を示したのが特徴。
一部修正したうえで、月内にも表現を確定する方針。
素案では
(1)平和主義に徹する
(2)「制約された自衛権」を明記する
(3)国連の集団安全保障活動への参加を明記する
(4)民主的統制(シビリアンコントロール)の明確化を図る
−−の4原則を提示。
国連の下での集団安全保障への積極協力と、集団的自衛権行使の限定容認を示した。
そのうえで
(1)武力行使は最大限抑制的である
(2)憲法の付属法として「安全保障基本法」を定める
−−の「2条件」を示し、限定的ながら海外での武力行使を容認した。
自衛権の行使については「国連の集団安全保障活動が作動するまでの間の緊急避難的な活動」に限定。
集団安全保障への参加についても「国連の意思決定に基づかない活動には参加しない」と規定した。
総会では出席者から「『制約された自衛権』は制約の範囲があいまい」
「武力行使という表現は使うべきではない」との慎重論の一方、
「自衛権に基づく自衛軍を明記すべきだ」との意見も出たが、大筋で了承された。
同党は条文化された改憲草案は作らず、改憲に向けた基本的見解を「提言」としてまとめる方針。
9条に関連する安全保障は調整が最も難航する分野となっている。【須藤孝】
◇「自民と一線」より肉付けが必要=解説
民主党が「憲法提言」策定に向け9条に関係する安全保障分野で示した素案は、
「自衛権」「集団安全保障」に立脚しつつ自衛隊の武力行使を容認することで
自民党と共通の土俵に立ちながら、より限定的な面を強調することで
一線を引こうとしたのがポイントだ。
ただ、武力行使の歯止めのかけ方があいまいなうえ、改憲自体への反対論も党内に根強い中、
合意優先で肉付けを先送りした印象は否めない。
素案に盛られた「国連の集団安全保障活動への参加」「制約された自衛権」はいずれも、
昨年6月の中間報告の表現と同じだ。
護憲から改憲まで幅広い意見を抱える党内の最大公約数としての表現であり、
改憲派の前原誠司代表の下でも基本路線は踏襲された。
「制約された自衛権」について同党は個別的自衛権と、集団的自衛権行使の双方を含むと判断している。
ただ、海外の武力行使については日本周辺で武力紛争が発生し、国の安全が脅かされた時に、
国連の集団安保活動が作動するまでの間「緊急避難的」に米軍と共同で防衛することを想定。
イラク戦争のような例では米国との共同行動を事実上否定している。
一方、「国連の集団安全保障活動への参加」についても武力行使については
「強い抑制的姿勢の下に置かれるべきだ」と、無原則でない面を強調する。
ただ、具体的に武力行使を認めるかどうかの基準については
別に定める「安全保障基本法」の論議に委ねられている。
仮に「提言」がまとまっても、その後の基本法案策定をめぐる党内議論で、
武力行使の是非や許される範囲をめぐる対立が再燃することは確実だ。【尾中香尚里】
毎日新聞 2005年10月20日 20時30分 (最終更新時間 10月20日 21時18分)
──≪引用ここまで≫──
「解説」でも指摘されている通り、武力行使の制限が抽象的であり、
「安全保障基本法」の内容によってはかなり“自由”な海外派兵への道筋がつけられる可能性もある。
“護憲(派)から改憲(派)まで”を抱える、まとまりのない不節操な政党の“苦悩”が見て取れる。
|