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09分科会報告(2)

討議 昼食後、当初、2グループでの分散会を予定していたが、参加者の希望を伺ったところ2つにわけることは困難で急きょ全体での討議に切り替えた。
そこでそれぞれに用紙を配り、これから深めたいことを書きこんでいただくこととした。質問や話し合いたいことを自由に書いていただき、それを一人ずつ報告、板書して全員で課題が明らかになるように工夫をして全員で順番に話し合うこととした。

引きこもり青年本人へのアプローチは? たとえば「レンタルおねえさん」同じ若者同士ということで手紙での交流を図っている。その時のポイントは正面切って問題に触れないこと、日常のことを書くようにしている。そのほか自立支援の相談や講座を実施している団体もある。これは国の補助金を受けて実施している。長野では北部で侍塾、ジョイフルなどがあるが、親は相談に行けても本人はなかなか行けない、その大きな理由は活動の内容が本人に合わないことではないか。

家庭訪問はしているか? 慎重に考えている、今のところはしていない。それよりも手紙が有効かと思う。親は1年間全然読んでいないと思っていたら、実は読んでいたというケースもある。特に同じ青年のアプローチがいい。しかし飯田には大学がない。これを手がけるとなると養成も必要で、なかなかむずかしい。

児童相談所・メンタルフレンドの活用は?
 どちらも対象が18歳まで、成人には対応できないと断られてしまった。法律でガチガチ、融通がきかず、活動が妨げられてしまうのが実態。

講座プログラムの検討
 臨床心理士や産業カウンセラーとの連携、またプロのカウンセラーでなくても、整骨医と携帯でメールをし、遊びに行けるようになった例もある。
 そのほか空手の協会や路上生活者の支援(高速バスで東京へ出向く)などの活動との連携もあった。
 しかし私たちの活動は選択肢を提供し、本人が選ぶ、実際はつなぐことは難しい。

電話のかけ手に30代が多いのははぜか? 周りに話せる人がいない、親との関係がよくないことに気付く、夫の関係が離れていく、ご近所とのトラブルいろいろなことが関わっているのでは…
 30代は育ってきた時代にいじめや虐待などさまざまなことがあり、大人や親、先生への信頼が欠けている。というのも親の世代は頑張ればできた、ところが彼らはほめてもらったことがない、無力感といったジェネレーションギャップがある。
 30代の青年期は90年代後半、ちょうどバブルがはじけた時代、親にはなぜ就職できないのかと言われる、引きこもりが多い世代かもしれない。

電話での傾聴でできないことは? 私たち受け手は専門家ではない。できないことはある。まずは気持ちを受け止めること、たとえば「もう死にたい」と電話がかかってきたら私たちは聴くことしかできない。
 振り返りとして研修がある。具体的には自分の対応でA.まずかったことB.Aを言ってしまった気持ちC.今ならどう言うかを振り返っていく。

子育て講座の内容は?ノーバディーズ・パーフェクトは10人以下で子どものこと、親のこと、人間関係を含める。でいれば保育を併設して無料で実施するのがいい。
当事者の問題の周りに社会的状況がくっついてくる。この状況が解決されないと問題は解消しない。子の外から攻めてくる課題にどう向かうかが難しい。
カウンセリングだけでは問題は解決しない。そこは社会福祉援助技術の可能性がある。その意味でさまざまなネットワークや資源を活用していきたい。ぬくもりほっとラインも遠く離れた千葉だけれど、電話でつながっている。そのことに気付いただけでも参加した意味があった。

感想から… 最後に1日の分科会の振り返りとして感想を書いていただき終了となった。
感想から抜粋すると「今回初めて分科会に参加したわけですが、研究内容のレベルの高さに驚かされました。ほとんど全てが新しい知識だったので、途中から理解できなくなってしまったのが残念でした。ですが、今までの自分がいかに知識の足りない人間だったか気付き、その上で新しい知識を学ぶことができたのはよかったことだと感じています。自分が至らないことも参加した方々の詳しい説明のおかげで理解できるようになりました。この経験を生かしてこれから先も多くのことを学んでいきたいと思います。」
「有意義な時間でした。「アップルズ・ニート」の親の会の発表、この実態を知った私がどういう問題意識を持って自分の地域に広げていくか、そこを考えたいと思いました。他人は動かせない。問題意識を持った自分しか動けない。自分の体験を踏まえての実感です。」
「一日の分科会を通して私なりのカウンセリング・マインドというものを実感できました。とても実のある研修でした。ワークショップと事例発表では地元に密着した活動を垣間見ることができて大変参考になりました。戻ってからも個人的な活動だけでなく、生涯学習施設の職員として、また貸館等施設管理の窓口においてもカウンセリング・マインドを生かしていきたいと思います。」
「カウンセリング・マインドを実践報告から確かめる分科会になったと思います。人間尊重、人権尊重が相談活動や親の会活動に貫かれ「困難に立ち向かうために相手をどう理解できるか」の学びが根底にあったと思います。深く人を理解する力、特に現代社会に生きる人を理解する力にカウンセリング活動は向かっていると捉えられました。また社会福祉援助技術もどう重なるのか、教育と福祉を結ぶ地域実践としてこの分科会の意味を捉えなおす課題を提起されました。」

おわりに 分科会の始めに書いていただいた自己紹介カードではカウンセリングを気づき、自分の気持ちを素直に出せる場所、自由・安心・開放、傾聴・エンパワーメント、雲のようなイメージ、自己を生かすこと、自分も相手も大切にすること、コミュニケーションスキルを磨く方法、自己形成、一人の人として大事に扱われること、コミュニケーションに役立つと多様だ。しかし、これらのキーワードは社会教育の「学び」につながるのではないだろうか?初めて学級に参加した市民が、ここでなら安心して自分の話ができる、自分を見つめることができると感じる営みに共通する自己の捉え直し、自尊感情の確認があるのではないか?
このことは今回のレポートでも見られる。引きこもりの子どもの親たちが状況を理解し「待つ」までには語り、傾聴し、気づく過程が不可欠である。また、電話相談の受け手はボランティアを始めてからも振り返り研修でスーパービジョンの場が保障されている。どちらもその中で安心して自分を見出すことができる、2つの報告は当事者家族の活動、支援としての活動と立場は異なるが、共通して活動を支える基盤に学びが存在している。
一方、理解だけでは行動はできない。そのための具体的な支援の「道具」が必要となることも明らかになった。今回の報告の中で子育て支援、社会福祉支援技術などいくつかの提起をいただいた。今後、各地の実践報告の中から、カウンセリング・マインドをどのように実践に結び付けていくべきか、その理念と方策をさらに深めていくかという課題が明らかになった。
唯一の学生だった福島のNさんの素朴な、しかし核心をついた質問「カウンセリングもどきって何ですか?」に参加者が自分の言葉で答えたり、現地の報告と全国の報告が呼応して、相互に相手をリソースとして活用すればいいんですねという気づきがあったりと、分科会の中で実践に役立つ捉え直しが見られたことも記しておきたい。

 今日、報告を提出しました。参加者の皆さんには数カ月後お手元に届きます。

はじめに カウンセリングは実践に役に立たないとの声もある。状況変革の力にならないという批判だ。しかし、本当にそうであろうか?人は主体的に自らの拠って立つところを認識し、どうしたらいいかを考え、そのうえで行動していく。カウンセリング・マインドの人間尊重の精神は、実はその基盤を支えているのではないか、そういう捉え直しをしてみようということが今回の分科会のもくろみであった。

参加者の状況 高崎集会の発足から22回目を迎えた本分科会の参加者は12名、内訳は何らかの職員が5名、市民が4名、研究者教員が2名、学生1名、従来、参加者の約半数が学生だったが、今回は学生が1名だけであった。また、職員といっても多くの方が市民としての活動をされていて、その役に立てたら…との参加動機が印象的であった。今回、現地世話人が誰もいない厳しい準備状況だったが、現地長野から3名の参加をいただいたこともうれしい結果であった。

体験ワークショップ 始めに体験ワークショップを習志野市のNPO法人「ぬくもりほっとらいん」の江澤陽子さん、渡辺晴代さんの進行で実施した。
 まず、シートの設問に自分の答えを書く。設問は好きな色、いま会いたい人など6問。書き終わったらそれを持って席を立ちペアになる。ペアでじゃんけんをして勝った人が設問を指定、お互いに答えを相手に伝える、そのとき自分のコメントを伝えるのがポイント。
 たとえばいま会いたい人で「亡くなったおばあちゃん」、北海道に入植して、苦労してたくさんの子どもを育てた祖母の人となりを伺った。参加者のほとんどはたった一日、分科会で出会う、いわばすれ違うだけの出会いではあるけれど、そこに型どおりの自己紹介とは異なる奥行きのある出会いを体感した。しばし、お互いの話を聞き、そのうえで相手の答えをシートに書き込んで1問終了。また別な人と繰り返し、6問すべての交換が終わり約40分で終了。その後、参加者それぞれの自己紹介を参加動機も含めて行なった。

「アップルズ・ニート」親の会と共に まず初めに長野県飯田市のNPO法人カウンセリングみんなの会での活動を代表の佐々木千栄子さんに伺った。佐々木さんは長野県飯田市の社会教育委員を昨年まで7年間しておられたとのこと。子どもが高校に入学したときに通信制の大学に入学、7年かけて社会福祉士と精神保健福祉士の資格を取得した。その中でカウンセリングの重要性を感じた。
 子育ての悩みを抱えたお母さんは子育て熱心な親が多い。そこで悩みを抱えてしまう。例えばわが子が「肉は食べるが魚を食べない」と真剣に悩む。そんな相談にはアドバイスをするよりも選択肢を提示し自己決定してもらうことが重要だ。このことを私は北海道浦河の『「べてるの家」の非援助論』(医学書院 2002年刊)から学んだ。またカナダ発の子育て支援プログラム「ノーバディーズ・パーフェクト」『完璧な親なんていない』(ジャニス・ウッド キャタノ著 ひとなる書房 2002年刊)に学んだことは1対1のカウンセリングよりもグループワークの有用性だ。
 こういった子育ての相談を受けているうちに青年の相談が増えた。その背景には不登校の延長、就職活動の失敗、仕事の中でのうつ、広範性発達障害、精神疾患などさまざまだ。高校で引きこもり10数年家から出たことのない青年がいた。ところが歯が抜けて歯医者に行った。そこで若い歯科衛生士に出会い、これではいけないと動き出した例もあった。このように長い間待つことが必要。しかし親は耐えられない。このまま社会と離れて、親である私たちが死んだらどうなるのだろうかと…。そこでアップルズ・ニートとしては親が気持ちを話せる場所、気持ちをほぐせる場所と位置付けている。アップルズ・ニートは親の会で平成15年発足、月1回の会合を続けてきている。私は平成17年からファシリテーターとして関わっている。毎回4・5人が参加する。課題は近所の目が気になり参加しにくいということ、どうしたら自然にかかわれるようになるかを考えたい。例えば東京まで高速バスで通える青年もいる。その意味ではより広範囲なところで活動をすることも可能なのではと思っている。

カウンセリングマインドとの出会い 次に千葉県習志野市のNPO法人ぬくもりほっとらいんの吉野秀子さんにご自身の経験も含めてレポートいただいた。
 始めにぬくもりほっとラインの概要をパワーポイントを使って報告いただいた。1999年ちばコープ主催で「カウンセリングマインド(傾聴)講座」が20回連続で開催されている。その後2004年傾聴電話事業ぬくもりほっとラインがスタート、週4日10時から16時まで実施している。
 私は8年前に講座を受講した。当時子どもは中高生、私はイライラしていた。なぜ我が家は円満でないのか、夫が亭主関白だからか、それは私が至らないせい…とピリピリしていた。カウンセリングマインドの研修で気難しい夫と妻の話があった。自分と重なり涙が止まらなかった。感想に思わず「助けてください」と書いた。講座は講義とワークの繰り返しだった。参加して「つらかったね」と共感して聴いてもらうと、だんだん心が軽くなった。夫の気持ちを考える余裕もだんだん出てきた。私は自分の枠を押しつけて夫にイライラし、自分で自分を不自由にしていたと気付き始めた。もっと楽になりたい…そのうち卒業生でおしゃべりをしようと誘われた。普段の生活に傾聴が広がればもっと楽になると思った。
その後ぬくもりほっとラインが発足、スタッフに加わり月2回電話を取るボランティアを続けている。そこで気付いたことは自分の価値観を押し付けようとしたり、アドバイスをしようとしたり、上から目線だったり…傾聴できていない自分に気づき愕然とした。それを振り返り研修で学んできた。
私にとってぬくもりほっとラインは正直でならければならない場、児童虐待が心配されるお母さんの電話も受ける。そんな時も「親が悪い」だけでなく気持ちを聴いてあげたい。また不登校の子の家族が話をしたら楽になれる場を模索したい。
いま、ぬくもり劇団の作品が2つできている。人間関係の難しさを劇で表している。悩んでいる人に役に立たないおせっかい、意見を押し付ける、そうではなく話を聞いてあげる傾聴のモデルを分かりやすく紹介している。
こんなさまざまな活動で傾聴を広げられたらと考えているとご自身の経験も含めて力強くレポートいただいた。

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