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討議 昼食後、当初、2グループでの分散会を予定していたが、参加者の希望を伺ったところ2つにわけることは困難で急きょ全体での討議に切り替えた。
そこでそれぞれに用紙を配り、これから深めたいことを書きこんでいただくこととした。質問や話し合いたいことを自由に書いていただき、それを一人ずつ報告、板書して全員で課題が明らかになるように工夫をして全員で順番に話し合うこととした。
引きこもり青年本人へのアプローチは? たとえば「レンタルおねえさん」同じ若者同士ということで手紙での交流を図っている。その時のポイントは正面切って問題に触れないこと、日常のことを書くようにしている。そのほか自立支援の相談や講座を実施している団体もある。これは国の補助金を受けて実施している。長野では北部で侍塾、ジョイフルなどがあるが、親は相談に行けても本人はなかなか行けない、その大きな理由は活動の内容が本人に合わないことではないか。
家庭訪問はしているか? 慎重に考えている、今のところはしていない。それよりも手紙が有効かと思う。親は1年間全然読んでいないと思っていたら、実は読んでいたというケースもある。特に同じ青年のアプローチがいい。しかし飯田には大学がない。これを手がけるとなると養成も必要で、なかなかむずかしい。
児童相談所・メンタルフレンドの活用は?
どちらも対象が18歳まで、成人には対応できないと断られてしまった。法律でガチガチ、融通がきかず、活動が妨げられてしまうのが実態。
講座プログラムの検討
臨床心理士や産業カウンセラーとの連携、またプロのカウンセラーでなくても、整骨医と携帯でメールをし、遊びに行けるようになった例もある。
そのほか空手の協会や路上生活者の支援(高速バスで東京へ出向く)などの活動との連携もあった。
しかし私たちの活動は選択肢を提供し、本人が選ぶ、実際はつなぐことは難しい。
電話のかけ手に30代が多いのははぜか? 周りに話せる人がいない、親との関係がよくないことに気付く、夫の関係が離れていく、ご近所とのトラブルいろいろなことが関わっているのでは…
30代は育ってきた時代にいじめや虐待などさまざまなことがあり、大人や親、先生への信頼が欠けている。というのも親の世代は頑張ればできた、ところが彼らはほめてもらったことがない、無力感といったジェネレーションギャップがある。
30代の青年期は90年代後半、ちょうどバブルがはじけた時代、親にはなぜ就職できないのかと言われる、引きこもりが多い世代かもしれない。
電話での傾聴でできないことは? 私たち受け手は専門家ではない。できないことはある。まずは気持ちを受け止めること、たとえば「もう死にたい」と電話がかかってきたら私たちは聴くことしかできない。
振り返りとして研修がある。具体的には自分の対応でA.まずかったことB.Aを言ってしまった気持ちC.今ならどう言うかを振り返っていく。
子育て講座の内容は?ノーバディーズ・パーフェクトは10人以下で子どものこと、親のこと、人間関係を含める。でいれば保育を併設して無料で実施するのがいい。
当事者の問題の周りに社会的状況がくっついてくる。この状況が解決されないと問題は解消しない。子の外から攻めてくる課題にどう向かうかが難しい。
カウンセリングだけでは問題は解決しない。そこは社会福祉援助技術の可能性がある。その意味でさまざまなネットワークや資源を活用していきたい。ぬくもりほっとラインも遠く離れた千葉だけれど、電話でつながっている。そのことに気付いただけでも参加した意味があった。
感想から… 最後に1日の分科会の振り返りとして感想を書いていただき終了となった。
感想から抜粋すると「今回初めて分科会に参加したわけですが、研究内容のレベルの高さに驚かされました。ほとんど全てが新しい知識だったので、途中から理解できなくなってしまったのが残念でした。ですが、今までの自分がいかに知識の足りない人間だったか気付き、その上で新しい知識を学ぶことができたのはよかったことだと感じています。自分が至らないことも参加した方々の詳しい説明のおかげで理解できるようになりました。この経験を生かしてこれから先も多くのことを学んでいきたいと思います。」
「有意義な時間でした。「アップルズ・ニート」の親の会の発表、この実態を知った私がどういう問題意識を持って自分の地域に広げていくか、そこを考えたいと思いました。他人は動かせない。問題意識を持った自分しか動けない。自分の体験を踏まえての実感です。」
「一日の分科会を通して私なりのカウンセリング・マインドというものを実感できました。とても実のある研修でした。ワークショップと事例発表では地元に密着した活動を垣間見ることができて大変参考になりました。戻ってからも個人的な活動だけでなく、生涯学習施設の職員として、また貸館等施設管理の窓口においてもカウンセリング・マインドを生かしていきたいと思います。」
「カウンセリング・マインドを実践報告から確かめる分科会になったと思います。人間尊重、人権尊重が相談活動や親の会活動に貫かれ「困難に立ち向かうために相手をどう理解できるか」の学びが根底にあったと思います。深く人を理解する力、特に現代社会に生きる人を理解する力にカウンセリング活動は向かっていると捉えられました。また社会福祉援助技術もどう重なるのか、教育と福祉を結ぶ地域実践としてこの分科会の意味を捉えなおす課題を提起されました。」
おわりに 分科会の始めに書いていただいた自己紹介カードではカウンセリングを気づき、自分の気持ちを素直に出せる場所、自由・安心・開放、傾聴・エンパワーメント、雲のようなイメージ、自己を生かすこと、自分も相手も大切にすること、コミュニケーションスキルを磨く方法、自己形成、一人の人として大事に扱われること、コミュニケーションに役立つと多様だ。しかし、これらのキーワードは社会教育の「学び」につながるのではないだろうか?初めて学級に参加した市民が、ここでなら安心して自分の話ができる、自分を見つめることができると感じる営みに共通する自己の捉え直し、自尊感情の確認があるのではないか?
このことは今回のレポートでも見られる。引きこもりの子どもの親たちが状況を理解し「待つ」までには語り、傾聴し、気づく過程が不可欠である。また、電話相談の受け手はボランティアを始めてからも振り返り研修でスーパービジョンの場が保障されている。どちらもその中で安心して自分を見出すことができる、2つの報告は当事者家族の活動、支援としての活動と立場は異なるが、共通して活動を支える基盤に学びが存在している。
一方、理解だけでは行動はできない。そのための具体的な支援の「道具」が必要となることも明らかになった。今回の報告の中で子育て支援、社会福祉支援技術などいくつかの提起をいただいた。今後、各地の実践報告の中から、カウンセリング・マインドをどのように実践に結び付けていくべきか、その理念と方策をさらに深めていくかという課題が明らかになった。
唯一の学生だった福島のNさんの素朴な、しかし核心をついた質問「カウンセリングもどきって何ですか?」に参加者が自分の言葉で答えたり、現地の報告と全国の報告が呼応して、相互に相手をリソースとして活用すればいいんですねという気づきがあったりと、分科会の中で実践に役立つ捉え直しが見られたことも記しておきたい。
今日、報告を提出しました。参加者の皆さんには数カ月後お手元に届きます。
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