Jazzクラブ

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大西順子の、待望のニューアルバムが発表された。「Musical Moments」(楽興の時)と名づけられたこのアルバムは、1〜9曲までが大西順子トリオのスタジオ録音演奏です。1〜9曲までのメンバーは
   大西順子;ピアノ
   井上陽介;ベース
   ジーン・ジャクソン;ドラム であります。

 10曲目はボーナストラックで、2008/9/14のブルーノート東京でのライブ録音です。メンバーは
   大西順子;ピアノ
   レジナルド・ビール;ベース
   ハーリン・ライリー;ドラム
です。どこかで、聴いたメンバーだと思ったらやっぱり1994/5/3から行われた、ヴィレッジバンガードセ

ッションと、同じメンバーでした。ウイントン・マルサリスグループのリズム隊でしたねえ。去年のライ

ブは、再開セッションでした。

 ベースの井上陽介は、1964/7/16生まれとありますから今年で45歳。大阪音大を卒業して、1991年から

はニューヨークに渡っています。ニューヨークでは、ここでしばしば登場する井上智さんや、奥平真吾な

どと伝説の「インサイドアウト」に参加し「Be Free And strong」発表しました。スイート・ベイジルを

根城に活躍しました。2004年から、日本を拠点にしています。5枚のリーダー作を発表しており、競演メ

ンバーもハンクジョーンズ(グレイト・ジャズトリオに参加)、穐好敏子、エイブラハム・バートン、マ

ット・ウィルソン、ドンフリードマンデューイ・レッドマン、リー・コニッツ、デイブ・リーブマン、ジ

ャック・ウィルキンス、サイラス・チェスナット、エディ・ダニエルズ他などにわたっていて、現在は、

塩谷哲トリオ、大西順子トリオに参加。眼鏡をかけて寡黙な風貌は、哲学者を思わせますがスタンダード

を演奏しているときのウオーキングベースは暖かみがあって、楽しそうです。ニューヨークに渡ったベー

スマンは、優秀な人が多くて、ウイントン・マルサリスグループで活躍した、中村健吾や、この井上陽介

などはアメリカやヨーロッパのジャズメンからのオファーも数多くあるそうです。

 ドラムのジーン・ジャクソンは、1991年にあのハービー・ハンコック、ウエイン・ショーターのカルテッ

トに参加して、ヨーロッパツアーに同行しています。1993年、1995年には、ハービー・ハンコックトリオ

としてワールドツアーを行い来日もしました。その後2000年まで、ハンコックと一緒に活動したようで

す。バークリー音楽院の出身で、ブランフォード・マルサリス、マービン・スミッティ・スミス、ジェ

フ・ワッツらと同級生。当時は、ブランフォードとルーム・シェアの間柄だそうです。1961年10月16日生

まれですから、47歳ですか。彼も、フィーリー(フィラデルフィア出身)であります。

 ラテンからアフロと何でもこなす彼のドラムは、バックアップというよりは次の彼の言葉が全てを表し

ています。「音楽が進もうとする方向に従って演奏することで、音楽的にとても高い満足を得られる」こ

れが、誰からも深い信頼を得て、素晴らしい音楽を生み出していく彼の哲学なのでしょう。山中千尋さん

の、ドラマーとして、日本でツアーをやりましたね。

 現在はニューヨークでも海外でも後進の指導に当たっており、いまや世界のドラムの先生であります。

演奏曲目は
   1.ハット・アンド・ベアード(Eric Dolphy)
   2.ブルースを歌おう(Ted Koehler-Harold Arlen)(ビリー・ホリデイが歌いましたねえ)
   3.バック・イン・ザ・デイズ(Junko Onishi)
   4.ビタースイート(Junko Onishi)
   5.イル・ウインド(Ted Koehler-Harold Arlen)
   6.楽興の時(Junko Onishi)(表題曲です)
   7.サムシング・スイート・サムシング・テンダー(Eric Dolphy)
   8.G.W.(Eric Dolphy)
   9.煙が目にしみる(Otto Harbach-Jerome Kern)
   10.So long eric(Charles Mingus)
     ムード・インディゴ(Irving Mills-Duke Ellington-Barney Bigard)
     ドウ・ナッシング・ティル・ユー・ヒア・フロム・ミー(Bob Russell-Duke Ellington)

 彼女の好きな、エリック・ドルフィーの曲が3曲。オリジナルが3曲。スタンダードが3曲です。


で視聴できます。

 これは、手強いアルバムです。彼女のぐしゃぐしゃっとしたピアノの音や、スリルに富んだリズム隊の

演奏が聴けます。またつぶつぶのガラス玉が、袋からこぼれ床に広がっていくような、一音一音のはっき

りとしたピアノの音も聴けます。

1964/3/18 ミンガスグループ、コーネル大学のライブ。知る限り「ソーロングエリック」の初演奏、初録音
(エリック・ドルフィー自身が、ソー・ロング・エリックを演奏した、貴重な作品)
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1964/4/4 タウンホールコンサート 知る限り「ソーロングエリック」の二度目の録音
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ミンガスグループは、タウンホールコンサートの後すぐに、ヨーロッパへ旅立ちます。
1964/4/26 ミンガス・イン・ヨーロッパ ここでも「ソーロングエリック」をドルフィーが吹いてます。
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モードジャズの先端での演奏や、心休まる4ビート、彼女とドルフィーとミンガスの関係は?

長くなりそうなので、この項続くとなります。


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 長らくジャズとかけ離れた生活をしておりましたが、nonkig3さんジャズのブログで

Five spot after dark を紹介してるのを見て、にわかに聴きたくなった次第です。このアルバムはBlue

s-etteという名前ですが、このタイトル曲と同等に好きなのがアルバムの5曲目 Love your spell is ev

erywhere という曲です。

 テーマが流れます。ベニー・ゴルソンのテナーと、カーティス・フラーのトロンボーンです。ゴルソン

が主旋律を奏で、フラーがハモッています。ゆったりとしたペースで、少し哀愁を帯びたすごく美しいテ

ーマです。32小節のテーマのあと、ゴルソンが先発でアドリブを展開します。テーマを受けて哀愁を帯び

た、アドリブでスタートします。段々と熱を帯びていきサビの部分では、やるせない思いをぶつけるよう

な激しいアドリブです。一旦熱を帯びたアドリブはとどまるところを知らず、速射砲のようにに音符をは

じき出しています。しかし物悲しい雰囲気を損なうことなく、テーマのイメージは続きます。バックでコ

ンピングを続ける、トミーフラナガンや、ベースのジミー・ギャリソンがイメージを持続してるからなの

でしょう。2コーラスのあと、フラーに受け渡します。落ち着いた雰囲気ですが、物悲しい雰囲気は続い

ています。フラーのこの優しい、心に染みるトロンボーンの音はどうしたものでしょう。胸のそこがキュ

ンと締め付けられるような思いをするのは、私だけではないでしょう。同じく2コーラスを演奏して、ピ

アノのトミーフラナガンに渡します。トミ・フラらしい優しく、心に染みる流れるような歌を奏でていま

す。もっと弾いて・・そういいたくなるような旋律です。バックで演奏するジミー・ギャリソンの、ウォ

ーキングベースのクッションにのって、気持ちよさそうにスイングしています。2コーラス目は、ゴルソ

ンとフラーを踏襲して、ガラス玉をいっぱい散りばめたように煌くアドリブです。続いてジミー・ギャリ

ソンのベースソロです。このソロは、前3者と少し趣が違うようです。きっとギャリソンは、哀愁という

テーマから離れて別のイメージを生み出そうとしたのではないでしょうか。凄く少ない数の音しか使って

いないような気がします。小節を取り払いまた構築し、別の曲に仕立て上げる。そんなことを、1コーラ

スの短い間にやって見せてくれてるような気がします。コルトレーンのバンドのときのような、ブ〜ンと

うなるような弦の弾き方では無いような気がします。そして最後のテーマです。ゴルソンとフラーの素晴

らしいハーモニーで、締めくくってくれます。アル・ヘアウッドのドラムは、グッド・オールドエモーシ

ョンです。誠実な感じのするシンバル、曲の雰囲気をイメージしたお洒落なおかずを小気味良く入れて、

否が応でも私を魅了します。サビの部分では、激しく呼応してソロを煽ります。ソロの邪魔をすることな

く、決めるところは決める。なんというか、カッコいいのです。この曲の演奏は全編を通して、中低音の

音が響き渡ります。素晴らしいジャケットと共に、これが私をいつも捉えて離さないこの演奏の、魅力の

なのでしょう。

 ボサノバと言えば、やはりこのコンビをトップに上げねばなりません。

アントニオ・カルロス・ジョビン

ジョアン・ジルベルト

アストラッド・ジルベルト

&スタンゲッツ

 もういまさら、クドクドと説明する必要はありませんが、世界的に大ヒットを飛ばしたのがこのLP。

ご存知1963年、アメリカで発売されたゲッツ/ジルベルト。
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 スタン・ゲッツはアメリカのジャズテナーサックス奏者。

 ジョアン・ジルベルトは、ブラジルのボサノバギター奏者であり、歌手。

 アントニオ・カルロス・ジョビン は、ブラジルの作曲家でありピアノ奏者。もっと早く言えば、黒い

オルフェの中の曲を作った人。もう一人ヴィニシウス・ヂ・モライスと言う人との、共作であります。誤

解を恐れずに言うと、私が好きになったのはゲッツ/ジルベルトが先で、ジョビンを追いかけてオルフェ

にたどり着いたので、私にとって重要な人はジョビンであります。後には「Wave]という、すばらしい曲

を創りました。そして今日のテーマの「イパネマの娘」の、作曲者でもあります。

 ボサノバというと、独特のあのささやく様な歌い方。独特のギターのリズム。これは、もうジョアン・

ジルベルトのオリジナルで、この人が歌ったからボサノバがヒットし、ジョビンの曲がフィーチャーされ

たということであります。

 ジョアンは、このアルバムでは全部ポルトガル語で歌っております。ところが「イパネマの娘」「コル

コヴァード」だけは、英訳の詩で歌われております。
 
 しかも歌っているのは、ジョアンの奥さんのアストラッド・ジルベルト。彼女は、プロの歌手では無か

ったのですが、この瞬間からボサノバの代表的な女性歌手になってしまいました。アストラッドが歌い、

シングルカットされた(ジョアンのパートは、カットされて、アストラッドのみのレコードとなった。)

「イパネマの娘」は大ヒットとなり、一躍スターになってしまいました。その後二人は、離婚するのです

がこのことが大きく影響したのは事実ではないでしょうか。

 アストラッドは、この影響でしょうか、英語圏の中ではボサノバの代表的な歌手であると評価されてい

ます。ところが、ブラジルでは、ほとんど評価されていないそうで、面白いことになっていますね。やは

り母国に通用する言葉でないと、当時では皆聴かなかったかも知れません。アストラッドの歌唱法が、支

持されなかったのかと言うとそうでもないようです。ブラジル生まれの日本人ボサノバ歌手の、小野リサ

さんの歌い方を見ると、やはり同じささやく様な歌い方であります。やはりアストラッドはヒットするべ

くしてしたのでありましょう。

 何しろ頼りなげで、はかなげで、そして可愛い。

        ボサノバに関しては、ちょっと軟派なわたしであります。

アストラッド・ジルベルト - イパネマの娘(このころは、ジョアンの奥様だったころだそうです)

スタン・ゲッツも、若々しいです。
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1. コンセプション
2. 九月の雨
3. バードランドの子守唄
4. 鈴懸の径
5. 太陽の東
6. フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン
7. コルコバード
8. マンボ・イン
9. 煙が目にしみる
10. ルパン三世のテーマ
11. 恋の気分で
 
ベニー・グリーン(p)
スティーブ・ネルソン(vib)
井上 智(g)
ピーター・ワシントン(b)
ケニー・ワシントン(ds)

 2曲目は、September in the rain 邦題では、九月の雨。これはもう太田裕美さんが1977年に発表し

た、阿久悠作詞、松本隆作曲の有名なヒットナンバーに尽きるわけです。歌詞の中には、ちゃんとこの英

題が入っています。おそらくこれは、オリジナルにインスピレーションを得たのでは(想像です)ないで

しょうか。愛の辛さと、九月の雨の冷たさとがリンクした、切ない歌であります。

 実はこのオリジナルの九月の雨も、失恋の歌なのです。1935年に作詞 Al Dubin(アル・デュービ

ン)、作曲 Harry Warren(ハリー・ウォーレン)(この二人は、ブロードウエイのミュージカルにおい

ては、とてつもない名コンビのようです)で、「Stars Over Broadway」というミュージカルのために書

かれたようです。

 その後、1937年の映画「メロディ・フォー・トゥ」で使われ、ジェームス・メルトンと言う歌手が

歌って大ヒットしたとあります。同じ失恋でも、こっちは男の失恋の歌。僕はあの九月の雨が忘れられな

い。九月の雨は優しく、優しく降り注いでいた。そしてぼくは、君が甘くささやく愛の言葉を全て聞いて

いた。もう季節は春なのに、僕はまだ忘れることが出来ずに、九月の雨の中にいる。と言うような感じの

歌詞(勝手に意訳してます)です。洋の東西、古今を問わず、九月の雨は燃える愛の情熱までも流してし

まうのでしょうかね〜。これは、伝説で真実かどうかは知りませんが、デビュー前のビートルズがデモテ

ープように録音したそうです。

 そしてシアリング・クインテットは、九月の雨をオリジナルクインテットのメンバーで1949年2月

17日に録音しています。いろいろと調べておりましたら、なななんとシアリングはこのオリジナルクイ

ンテットで、1949年1月31日に、ディスカヴァリーというレーベルで8曲の初録音をしておりまし

た。今も音源が存在しているのか不明ですが、しらんかったな〜〜。ということで、マンハッタン・ファイ

ブの演奏を聴きましょう。

 スタートは、おなじみピアノ・ギター・ヴァイブのユニゾンでテーマが演奏されます。シアリング盤で

は、デンジル・ベストは延々とブラシでこすっていますが、ここではケニーはどうするのでしょう。やは

り、ブラシで小気味良くこすってます。優しさを感じさせるテーマです。過去を振り返っているような、

じめじめさは感じられず、失恋の歌というより仲の良いカップルが、よりそいながら優しく降る九月の

雨を見ているようです。跳ねるようなリフは、雨だれの音?それを楽しそうに、二人で見ているのでしょ

うかね。それを思い出しているのが、今は春。この優しさは、春の風に吹かれているからでしょうか。季

節は、春の歌なのですねえ。なんか、納得する爽やかさですがaaba形式で、各8小節の32小節これが1

コーラスです。

 ソロ一番手は、ギター井上智。コンビネーションぴったりのリズムセクションのクッションにのって、

とても気持ちよさそうに弾いてます。ケニーは、どうやらここでスティックに持ち替えたようです。マン

ハッタン・ファイブの演奏がシアリング盤と印象が大きく違うのは、ソロパートではドラムスの音がしっ

かりと私たちに聞こえてくるからでしょう。ケニーが鼓舞すると、それに呼応してスイングするギターの

音が熱く、熱くなっていきます。ギターの音には、温度があるのですねえ。ピーターは、黙々とベースを

小気味良く弾いています。スイングしてますねえ。これも1コーラスの演奏です。

 二番手は、ピアノ ベニー・グリーン。この跳ねるような、転がるようなピアノの音。たまりません

ね。音と音との間が、とてつもない妙で、えもいわれぬスイング感が、ググッと盛り上がります。シアリ

ング御大は、素晴しいテクニックでとてつもなく速いパッセージで、弾いてますが、ベニーの方は思慮深

い音の間隔が、曲調とあいまって、絶妙の演奏です。もっともっと長く聴きたい。そんな気持ちを裏切る

ように、あっというまにベニーは終わらせてしまいます。あれっ?1/2コーラスしかないんじゃないの?

 三番手は、ヴァイブ スティーブネルソン。これも短いソロであります。さすがに第一人者と言われる

だけあって、スイング感、すばやいマレットさばきは素晴しい。とととっもう終わってしまいました。あ

れ〜これも1/2コーラスしかありません。

 どうやらソロの構成は、ギターの井上智をフィーチュアーして1コーラス、ベニーとスティーブで合わ

せて1コーラスのようです。いろいろ変化を付けて、裏切ってくれるじゃないですか。

 この後の構成もまた随分凝ってます。頭の中だけではなかなか整理できないのですが、スティーブのあ

と短いリフをユニゾンで演奏します。これも6小節くらいです。う〜尻切れトンボや〜。

 ピーターがこれを受けてそのままソロに入ります。いい音ですね〜。ケニーのドラムは静かに、しかし

熱くピーターをサポートしています。おや、この頭のところでケニーは、ブラシに持ち替えたようです。

ドラムの音の変化が、見事ですねえ。べースのピーターは、さっきのユニゾンの部分とあわせて3/4コー

ラスソロをとって、残り1/4コーラスをケニーがドラムソロをとります。

 そのあと4小節づつの短いリフを繰り返し演奏するのですが、これが4回分で1/2コーラスです。あれ

〜またや〜、どうなるのかな〜と思っていると、最後のテーマは1/2コーラスで足し算はぴったりです。

なるほど、通常良く使う4バース(4小節交換)を使わずに、シアリングサウンドの特徴あるユニゾンを

強調して、リフを繰り返し演奏してテーマに渡したと言うことですか。あ〜面白かったけど疲れました。

またまた時間切れにつき、この項続くです。いつ終わるのでしょうか。
 

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1. コンセプション
2. 九月の雨
3. バードランドの子守唄
4. 鈴懸の径
5. 太陽の東
6. フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン
7. コルコバード
8. マンボ・イン
9. 煙が目にしみる
10. ルパン三世のテーマ
11. 恋の気分で
 
ベニー・グリーン(p)
スティーブ・ネルソン(vib)
井上 智(g)
ピーター・ワシントン(b)
ケニー・ワシントン(ds)

 ジョージ・シアリングは、盲目の英人ピアニストで、アメリカにわたり一世を風靡した人です。ピア

ノ、ヴァイブ、ギターの素晴しい調和が特徴のクインテットで、当時の全米を席捲しました。当時は、ビ

バップ全盛時代でありましょう。(チャーリー・クリスチャンが亡くなったのが1942年、クリフォード・

ブラウンがバードランドで歴史的セッションをやったのが1954年です。シアリングはこの中間以降で活躍

したのです。)そんなときシアリングがさらっと、滑らかに、ピアノ・ギター・ヴァイブのアンサンブル

を奏でたのはセンセーショナルであったことでしょう。熱き燃え滾る(当時ですから)ビバップサウンド

から見れば、冷静でクールな印象があったでしょう。しかし今聞くと、必ずしもクールなだけの印象では

ありません。後年の演奏を聞くと、若々しく力強くスイングしていて、クールな印象はありません。

 まず初めに頭に入れておかねばならないのは、このプロジェクトのコンセプトである「クールなシアリ

ングサウンドを現代によみがえらせる」を額面どおり受け取らないということであります。

 いま聴いても、ジョージ・シアリングのサウンドはクールな中にも情熱を感じる素晴しいサウンドであ

ります。しかし、ここに参加したメンバーは現代に生きる、現代のジャズメソッドをマスターした、匠た

ちの集合体であります。

 私たちは、現代に生きるジャズファンとして、このアルバムを聴く場合には、私たちが50年代・60

年代のアルバムを聞いたときに心に響く、ノスタルジアとか所謂 Good old emotion だけでなく、別次

元の感動をこのアルバムが生み出しているか?後世に伝える価値のあるアルバムであるかということを、

を各人が検証しなくてはいけないということであります。

 1曲目は、コンセプション。1949年〜1950年にかけて、録音された24曲入りアルバム「SEPTE

MBER IN THE RAIN」の10曲目に収録されています。おそらく音源としては、これが最初(私の知る限り)

であろうと思います。作曲は、ジョージ・シアリング、オリジナルの演奏メンバーは、

(P )ジョージ・シアリング
(B )ジョン・レヴィ
(DS)デンジル・ベスト
(G)チャック・ウェイン
(VIB)マージョリー・ハイアムス という編成で、マンハッタン・ファイブはこれに習った編成

だということになります。この盤は、CDで入手可能だと思いますが、イメージならばここで

        http://www.amazon.co.jp/dp/B000XAMD16
       
        http://www.youtube.com/watch?v=0KQCtE2t1kM&feature=related

最初のテーマが軽快にそして意外に力強く流れます。オリジナルよりも少し力強く響きます。ギターの音

色が少しちがうのに気付きます。例えて言うならば、チャーリークリスチャンの音色と、ウエス・モンゴ

メリーの音色でしょうか。井上智ほどの柔らかい優しい音色を持ってしても、当時のギターとは隔世の感

があります。そして、なにより違うのはベニーグリーンの力強いタッチでありましょう。ジャズメッセン

ジャーズのときの演奏でも想像したことですが、ベニー・グリーンの指は細くてしなやかだけど、きっと

指先にはちっちゃいハンマーが着いているのだろうと。(あくまでも、想像です。)シアリングのタッチ

も力強いものがある(シアリングもいくときは、結構いってるのです。それは例えれば、高級外車が決め

られたレーンを音も無く疾走する感じ?ベニー・グリーンはFIのスタートで団子になってグオ〜ンと行

く感じ)のですが、やはりあくまでも流麗さが力強さをしのいでいるといった感がします。

 ソロのスタートは、ベニーグリーン。テーマの力強いタッチをそのままに、滑らかな中にも、ゴリゴリ

と行きます。ゴリゴリというのは、シアリングは、当時ビバップ全盛にもかかわらず、滑らかな洗練され

たピアノで、小節の途中で切ったり伸ばしたりとあんまりしてない印象なのですが、ベニーグリーンはハ

ードバップもモードも消化してますのでそこはそれ、滑らかにスタートしながらも、その後リズム隊に呼

応して、切ったり貼ったりでガンガンとアドリブを入れていきます。それでゴリゴリという印象なので

す。ピーターの軽快なウォーキングベースに乗って、滑らかにスタートしたソロは、ケニーの軽快に刻む

シンバルに加えて、オカズをいっぱい詰め込んだスティックワークで盛り上がっていきます。決して無理

やり詰め込んだ印象は無く、要所要所でベニーグリーンをリードし、鼓舞していき、サビ以後の盛り上が

りを演出しています。ケニーは、冷静で熱いドラマーですね。このメンバーでの、トリオ演奏を聴いてみ

たいと思うのは、私だけではないでしょう。

 二番手は、ギター井上智。ベニー・グリーンも加わって、いよいよリズムセクションが躍動します。う

〜んこれって井上智with ベニー・グリーントリオ では無いですか。まるでウエス・モンゴメリーwith

ウイントンケリー・トリオ のようです。ケニーのシンバルがジミーコブを、ピーターのベースがポー

ル・チェンバースを思い起こさせます。心地よいクッションに乗って、井上智が強烈にスイングしていま

す。あっという間に、ソロが終了します。井上智のギターの音色は、good old emotion であります。ギ

ターの力を信じた純粋の音作りで、ビバップフィーリング。オリジナルソロを意識してかシングルトー

ンの演奏です。お師匠さんよりパッショネイトですねえ。終盤に3連音符で変化を付けて、渡します。

 三番手は、このバンドの花形とも言えるヴァイブのスティーブ・ネルソン。予想通り、期待通りの音の

洪水を聞かせてくれます。私はヴァイブの醍醐味は、スローな演奏のファンキーさもさることながら、早

いパッセージの音の洪水の中に埋もれる幸せを感ずるところにあると思っています。印象は打って変わっ

て、70年代のパブロセッション。あのころ、パブロで匠ばかり集めてセッションしてた中の、ミルト・

ジャクソンwith ジョー・パスwithオスカーピーターソントリオかな?各人の超絶技巧が制限の中に

収まりきれず、各所各所で飛び出してくる。ベニー・グリーンなどは、コンピングの途中で10フィンガ

ーで今にも躍り出てきそうな雰囲気です。このスティーブ・ネルソンの演奏は、いったい1秒間に何回叩

く気でいるんだろうと、あきれさせます。

 圧巻の演奏は、あっという間に終わり、再びシアリングサウンドがテーマに乗って顔を出します。確か

にピアノとギターとヴァイブのアンサンブルの妙があり見事ですが、実態は皆がシアリングのお面をかぶ

っていながら、その実各人がシアリングサウンドに乗って縦横無尽に全力疾走をする。このテーマは、そ

ういう意味があるのでは?と感じさせます。シアリング盤もマンハッタン盤も、スピード感あふれる演奏

です。その点では確かに踏襲していますが、かたや草食獣の疾走、かたや肉食獣の追跡という感じでしょ

うか。この曲は、短く仕上げていますが、けっこうこのアルバムの傾向を代表しているようです。先頭に

置いたプロデューサー(?)の意図が、お客様に伝わりますでしょうか?

 またまた時間切れのようです。一曲紹介するのに、これだけ時間をかけていたら、マンハッタン・ファ

イブは、次のプロジェクトでアルバムを出してしまうかも知れませんね。この次こそ、シアリングのよう

にさらっと、クールに紹介したいものです。この項続く。

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