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平成18年(2006年)9月13日
平成18年(2006年)9月6日に誕生された秋篠宮悠仁さまのお印(しるし)が高野槙(こうやまき)に決まりました。コウヤマキは、日本固有の針葉樹の常緑高木、コウヤマキ科コウヤマキ属、一属一種の木で、3〜4月に花を咲かせ、本州福島県以南、四国、九州宮崎県以北に分布し、特に和歌山県高野町の高野山に多いことから、この名が付いたと事典に書かれています。
和歌山県に縁のある植物の名前、寡聞(かぶん)にして、キイシモツケとコウヤマキくらいしか知りません。え、キイチゴもそうだって?、それは黄色いイチゴのことです。こんな浅学なことでは、我が県出身の博物学者、南方熊楠に「不肖の愚か者め」と怒られそうです。
高野山の霊宝館前には、1923年に故秩父宮さまが植樹し高さ約20メートルにまでなったコウヤマキがあります。また、9月13日付けの産経新聞によれば、金剛峯寺の境内には昭和天皇、皇后両陛下がお手植えになられたコウヤマキがあるそうです。
コウヤマキはまっすぐに成長し、枝振りも堂々とした40メートルもの大木になります。凛とした樹形、かぐわしい香気を持ち、成長がゆっくりしていて、病害虫に強く、寿命が長いのが特徴です。悠久の時を生きる霊樹で、まさに、次の世代において日本国民統合の象徴となられる悠仁殿下にふさわしいお印といえます。また、和歌山を代表する木が殿下のお印に選ばれたことは光栄の至りです。
ちなみに和歌山県の木は「ウバメガシ」です。これは、ブナ科の常緑小高木で、樹高は5m〜15m、材が堅いのであの有名な備長炭はこの木から作られます。
まあ、ウバメガシも悪いとはいいませんが、せっかく和歌山の地名を冠した木、しかも、堂々たる霊樹であるこの木をなぜ選ばなかったのかと私はこれまで何度も主張してきました。こういうことになると、歌の文句ではありませんが、「だからいったじゃないの」といいたい気分です。
ところで、悠仁殿下のお父上の秋篠宮様のお印は栂(ツガ)です。ツガは、針葉樹でマツ科、樹高30メートルの常緑高木で関西以西の山地に生え、針葉樹中材質がもっとも硬いと事典にのっています。
和歌山には高野六木(りくぼく)という言葉があります。杉、桧、高野槇、赤松、樅、栂(スギ、ヒノキ、コウヤマキ、アカマツ、モミ、ツガ)です。
高野山山上は弘法大師の開いた聖域でした。明治までは女人禁制で、ほかにもいろいろな戒律があったのです。その一つが高野六木で、むやみに伐採することを禁じられていた木です。伐採できるのは、例えば、山内の寺社の建設のときなどです(地元の和歌山県 伊都振興局HPの「伊都の木・林・森」、「高野六木」を参照)。
他にも「竹・梨・柿・李・林檎・胡桃・漆」を植えてはいけないという戒律もあったそうです。なぜでしょうか。そう、タケノコが取れたり、おいしい実がなったり、ウルシが取れたり・・・、そういうのは聖域にふさわしくないと考えられたのです。仏様の名をかたって金儲けばかり考えているいまどきの一部の坊主どもに是非聞かせてやりたい話です。地獄に行って一番最初に仏罰を受けるのは間違いなく彼らでしょう。
いずれにしても、弘法大師の聖地で大切に守られてきた高野六木、その中から秋篠宮家の父子2代にわたってそのお印にツガとコウヤマキの二つが採用されたことは地元として誠にうれしいことです。
和歌山では、「紀伊山地の霊場と参詣道」が世界遺産に登録されました。その一角の高野山は弘法大師の開基以来の霊場です。その霊場がはぐくんだコウヤマキやツガは、いまも見ることができます。奥の院や金剛峰寺など霊場の参詣かたがた是非見に来てください。ただし、私はどこに行けばいいのか知りません。詳しくは高野町役場にお尋ねください。
さて、お印になったコウヤマキは、地元では、生け花やお供え用によく使われています。奥の院駐車場の土産物店などで販売されています。苗も売っているそうですが、今回、悠仁殿下のお印になったことで少し手に入りにくくなるかもしれません。
コウヤマキの「マキ」の語源は「真木」、つまり、木のなかの木、一番の木、真の木という意味です。「真木」は古くは「スギ」をいい、新しくは「コウヤマキ」をいいましたが、現在の分類学上では、「マキ」は「槇」科の木を指すようになりました。日本で普通に見られる槇科の木はイヌマキとナギです。
槇(マキ)は千葉県の木です。千葉県では、県の木を定めるに当たり公募を行った結果、イヌマキが選ばれました。イヌマキはマキ科マキ属の木です。千葉県は、制定にあたりこの木のイヌマキという和名を使わず、科名の「マキ」としました。おそらく、以前お話ししたことがあることが原因だと推測されます。
それは、植物の名前でイヌ○○とつく場合、多くは、○○と似ているが違うという意味と、○○よりも劣るという意味を併せ持つ場合が多いということです。でも、イヌマキの場合、コウヤマキと比べてそれほど劣った材質ではないとされています。イヌマキもコウヤマキも耐水性が強く船や風呂の材料に使われます。千葉県がマキと言い換えたのは樹形による印象からでしょうか、それとも、語感からでしょうか。
木の風呂としては、ヒノキ風呂が有名ですか、実は、ヒノキはそれほど耐水性がありません。ヒノキは水をかぶるとじきに黒ずむといわれています。その点、コウヤマキは大変耐水性に優れ、とても長持ちし、匂いもヒノキよりもいい香りだそうです。
ヒノキの風呂は結構あちこちにありますが、コウヤマキの風呂はどこにでもあるというものではありません。高野山から国道371号線を花園方面に15分ほど南下すると、高野槇の湯温泉がありますが、ここでコウヤマキの風呂にはいることができます。少し道が悪いですからご注意を・・・・・、滅多に車も通りませんが。
いずれにしても、木の風呂にはいるときはくれぐれも注意してください。木の表面はかんなでつるつるに削られていてでこぼこしていません。そこが水に濡れるととても滑りやすくなります。木の風呂に入るときは木の部分を踏まないように心がけてください。
湯船につかってもアルキメデスの原理が働いて軽くなったお尻が滑りますからご用心を。太って比重の軽くなった人は、潜水艦のように息をするたびに身体が浮き上がって後頭部を湯船にぶつける可能性があり、特に危ないです。足腰の弱くなった高齢者には全く向きませんから、付き添いの人はご用心をお願いします。
最後に、弘法大師の開闢(かいびゃく)以来まもなく1200年、和歌山県高野山の霊気に育まれたツガとコウヤマキが秋篠宮様御一家をお守りします。悠仁殿下のすこやかなご成長と我が国のいやさかの繁栄を祈念します。みなさんも、是非、ツガとコウヤマキを守り育てた和歌山のこの霊地を歩いてみてください。お待ちしています。
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