いずものこころ

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古代出雲を語る時、一番有名なのが「国譲り神話」です。この神話は『古事記』にも、『日本書紀』にも、ほぼ同じストーリーで載せられています。

一般的に受け容れられているストーリーは、『古事記』『日本書紀 本文』からのものです。

高天原から、国譲りの「言向け(言葉で平和的に解決すること)」のために、まず、アメノホヒが派遣されます。しかし、オオクニヌシに丸め込まれて、三年も復命(返事を持って帰ること)しませんでした。つぎに、アメノワカヒコが派遣されますが、復命しないどころかオオクニヌシの娘を妃にもらったり、矢を放つなどむしろ反抗的な態度をとります。

そこで、ついに「言向け」だけでなく、事あれば武力行使も辞さないと、有名なタケミカヅチと、もう一人の神を派遣します。タケミカヅチは、初めから威圧的な態度でした。しかし、オオクニヌシは、二人の息子の意見によって判断するといいます。コトシロヌシは、国譲りに賛成しました。もう一人のタケミナカタは、反対で力比べになりましたが、タケミカヅチに負けてしまいます。

そこで、オオクニヌシは、自分の住む大きな宮を作ってくれることを条件に、国譲りに同意します。これが、よく知られている粗筋です。

しかし、『日本書紀』の「一書第二」(あるふみその二)には注目すべき「異伝」があるのです。『日本書紀』は、本文と本文とは異なる伝承や補注をのせた「一書(あるふみ)」とで構成されています。本文だけが正しいというのではないのですから、誠実といえば誠実な構成です。

さて、「一書第二」によれば、タケミカヅチらに最初に言ったのは、「あなた方、二神の言われることは、どうも怪しい。私がもとからいるところへやって来たのではないか。(それで一方的に国を譲れというのは)許すことはできない」という筋の通った、堂々とした判断でした。

そこで、タケミカヅチらは、いったん高天原に帰り、自分たちを派遣したタカミムスビの神に、このことを伝えます。初めから威圧的だった本文とはずいぶん異なります。すると、タカミムスビは、オオクニヌシたちの今までの国造りを正当に評価し、再びタケミカヅチらを派遣し、次のように伝えたといいます。

「今、あなたの言うことを聞くと、深く理にかなっています。したがって、条件をつけて申しましょう。あなたが今行っている“顕露の事(現実の政治)”は、ニニギが治めるようにし、あなたは“神事”を行ってください。そして、あなたの大きな住まいを作りましょう。」

これに納得したオオクニヌシは、「天神の言われることは、かくも行き届いています。私が治めるこの世のことは、ニニギがまさに治められるべきです。私は退いて“幽事”を担当しましょう」と言って、国を譲ったとあります。

次には、この異伝のもつ意味を、わかりやすく考えてみましょう。


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