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ここでは、島根県在地の史家として活躍された、加茂町出身の速水保孝先生の「原イツモ王権」についてみてみましょう。速水先生は、いち早く(荒神谷遺跡が発見される以前から)原イツモ王権という、弥生時代の王権を唱えられました。奇しくもその後、荒神谷遺跡や加茂岩倉遺跡が発見され、その論に根拠を与えるような様相になり、先生のボルテージもあがりました。
「古代王権の特質として、宗教的権威と政治的支配権力は未分化。わけても、王権の重要な側面は農耕・漁労儀礼における祭儀の執行であった。もしも、宇夜里(神庭・羽根・武部・学頭・吉成)の神庭で原イツモの族長たちが銅剣をふるい、共同祭祀を行ったとすれば、その付近に、族長たちを集めるに足るだけの宗教的権威と権力を持つ支配者がいたはずだ。まずは、弥生中期後葉の神名火山周辺一帯に、強力な原イツモ王権が存在したと考えてよかろう。」
※まずこのように述べ、宗教的権威と政治的支配権力を共に備えた支配者の存在を指摘されます。
「すなわち、その領域は西出雲から出雲一円に及び、進んでは、日本海沿岸一帯に宗教的色彩の濃い出雲的世界を建設した。そして、地母神としてのカモシ(ス)信仰・オミツノの国引き・スサノオの国巡り・オオナモチの国造りなどを内容とする王権支配の独自神話を持ち、ヤツミミのごとき官僚組織さえ備えていたらしい。斐伊川べりの来原(くりはら)丘陵は神名火山を間近に仰ぐところで、そこに築かれた四隅突出型方墳群は弥生末期のもの。神庭の地で銅剣祭祀を行っていた国王たちの墳墓である可能性が大きい。これらはともに、原イツモ王権が存在したという要件をみたすものといえよう。」
※こうして、王権・王国の要素として必要な「領域(土)」「独自神話というイデオロギー」「官僚組織と強制力」も備わっていたとされます。しかも、四隅突出型墳丘墓をその国王たちの墳墓とされます。
「これほどの銅剣文化を持った原イツモ王権について、3世紀初めに渡来した魏の使者が耳にしなかったはずがない。仮に、銅剣素材が華北産ならなおさらだ。「魏志倭人伝」研究家の笠井新也が指摘したように、邪馬台国(約七万戸)に次ぐ大国の投馬(ツマ・ツモ)国(約五万戸)こそ原イツモ。すなわち、イツモの「イ」は母音の発語、音が軽いから自然に省かれる。「マ」と「モ」は同類音で相通ずるから、出雲と投馬両国名は全く一致するという。さらに宋版「大平御覧」の「倭人伝」では、投馬が於投馬(エツモ)と書かれている。今日、出雲人は出雲を「エヅモ」となまって言うからに、中国人は出雲の音を案外正確にとらえていたようだ。また、「倭人伝」に、投馬国の長官はミミ、次官はミミダリとあるが、既述のヤツミミ(記・紀)に相当するものだ。出雲国=投馬国説は再浮上すべきであろう。」
※さらに、このblogでも紹介した、「笠井新也先生」の魏志倭人伝の「投馬国」は、その「原イツモ王権」のことだとされています。
このblogでは http://blogs.yahoo.co.jp/shigechanizumo/10314140.html?p=5&pm=l
「それほど大事な銅剣祭器を、どうして一括埋納したままに終わったか。基本的には、銅剣・銅鐸類を祭器とする地的宗儀が、銅鏡類を祭器とする天的宗儀にとつて代わられたとする三品彰英説は正しい。」
※そして、荒神谷遺跡の358本の銅剣の埋納は、祭りの仕方が変わったからだとされています。
古代出雲を考える上でメジャーなものは、すべてこの「原イツモ王権」に詰め込まれているように思えます。しかし、細かく考えると、「四隅突出型墳丘墓=王墓=荒神谷一帯を支配していた王の存在=荒神谷の銅剣=投馬国」と直線的に結びつけてよいのだろうか?あるいは、「地的宗儀」から「天的宗儀」への転換が銅剣の埋納の原因だったのか疑問が湧きます。とはいえ、このようなダイナミズムをもって古代出雲をとらえると、いかにもストーリー的には面白い物語となります。
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島根県の安来は古事記では根之堅洲国というところでスサノオの活躍地ですね。正確には十神島根之堅洲国となりますが長いので古事記では省略されています。この省略された、十神島というのは出雲国風土記では砥神島という陸繋島であったであろう現在の安来市の十神山です。この島は安来市のシンボルと見いわれ、きれいな円錐形をした小山ですが、古代の人たちにの崇敬した島だったらしいです。この十神というのはイザナギ・イザナミ以前の神々を指し、両神を含めその後の神代の時代と分けて神世と表現されます。この神世七代の十柱の神々が宿る神聖な島だったのだと言われています。ここは、中海という湾岸にあり、例えば淡島と古事記に見える島と認識しうる粟島が対岸の鳥取県米子市にもあり、ここがオノゴロ(淤能碁呂)島と考えると、近くに国生みの神、イザナミの神陵地、比婆山もあることから合理的なのではと思われます。
2014/2/4(火) 午後 9:26 [ 原点の語部 ]