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出雲と伯耆は隣接する兄弟のような国だと以前に空想しました。しかし、伯耆に隣接する因幡は、出雲にとって少し様子が異なるような国だと思えるのです。このシリーズでは、そうしたことを様々な角度から空想したいと思います。
まず、『古事記』に記載されている出雲と因幡の係わり合いについて検討してみましょう。何といっても出雲と因幡の関係を有名にしているのは、「因幡のシロウサギ」と「八上姫(ヤカミヒメ)」の物語です。
この物語は、オオクニヌシがまだ出雲の国主ではない若者の時代のこととしてストーリーが進められています。兄弟神である八十神たちに大きな袋をかつがされて因幡路を進んでいた時に、皮を剥がされて苦しんでいたシロウサギに、八十神は偽りの治療法を教えたのに対し、オオクニヌシは正しい治療法を教えて、その苦しみから救ったとされています。
ヤカミヒメとのストーリーは、ヤカミヒメの争奪をめぐってオオクニヌシが八十神たちから迫害を受けるというものです。オオクニヌシがヤカミヒメを獲得するのを予言したのは、オオクニヌシから助けられたシロウサギでした。予言どおりヤカミヒメがオオクニヌシになびいたのを嫉妬した八十神たちは、オオクニヌシに赤く焼けた大岩を猪だといって受け止めさせたり、木の裂け目に挟んだりして死に至らしめますが、何とかその度に蘇生するのです。
別の話として、はるばる因幡から出雲へとオオクニヌシを訪ねていったヤカミヒメは、オオクニヌシとの間に御子神を授かるのですが、正妻になっていたスセリヒメに遠慮をして、その御子神を御井の木の俣に置いて、因幡へと帰って行ったとされています。ここから、その御子神は「木俣神」と呼ばれ、今に残る御井神社に祭られたとされています。
何でもないような物語ですが、空想をたくましくすると意外な側面が浮かんでくるのです。第一に、オオクニヌシと八十神たちは一体何の目的で因幡を渡り歩いていたのか、ということが問題となります。そして、シロウサギの話は単なる寓話なのか、あるいはそこには何かが隠されているのかということです。さらに、なぜヤカミヒメは八十神にはなびかず、オオクニヌシを選んだのかということです。
そして、オオクニヌシに対する八十神の迫害は、単にヤカミヒメを奪われたことへの嫉妬からだったのかという点も疑問になります。また、ヤカミヒメはなぜ木俣神を置いて因幡に帰ってしまったのか、ということも空想の対象となるのではないでしょうか。
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