いずものこころ

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古代出雲の謎

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古代出雲にはたくさんの謎があります。みんなでその謎に想像の翼を広げましょう。
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巨石と石神22

前回の空想を敷衍すると、次のようになります。
まず、スサノヲやニギハヤヒは、はじめから磐座と関係があるという伝承は、後になって付け加えられたものではないかということです。

つまり、何度も指摘したように、スサノヲやニギハヤヒは「貴種」として、出雲や河内(大阪湾沿岸)にたどり着いたのです。それは、江上先生の騎馬民族説のように、それぞれの地域を征服するという目的で進出したというものではなかったのです。

少人数でそれぞれの地にたどり着いた彼らは、土着の首長たちから「貴種」として庇護されることになるのですが、庇護された理由は、彼らが保有していた政治思想、統治形態といった騎馬民族独特の考え方が、それぞれの地域に新しい安定した統合をもたらすものだと認識され、それを体現させようと考えた一部の先見的首長がいたからなのです。

スサノヲやニギハヤヒを庇護した首長は、彼らを、その地域の統合を果たしてくれる貴種として、統合のための戦いのリーダーとして推戴したのです。その統合のための戦いが、出雲ではスサノヲのオロチ退治として象徴化されたのです。その結果、出雲ではスサノヲを押し立てたアシナヅチ・テナヅチの一族が統合を果たし、河内(大阪湾沿岸)では、ニギハヤヒを押し立てたナガスネヒコ一族が統合を果たしたのです。

問題は、統合後にいかにしてスサノヲやニギハヤヒの正統性を継続し、維持するのかということでした。スサノヲやニギハヤヒを単に利用したというだけでは、いつまた地域の分裂や勢力の乱立が始まってしまう可能性があるのです。

そこで、スサノヲやニギハヤヒを押し立てた土着首長は、彼らを新しく統合された地域の始祖とし、さらには神として至高・不可侵な存在とし、さらには、騎馬民族の権力継承の方法によって、彼らの系譜を受け継ぐものだけが首長として君臨できるのだとしたのです。つまり、そのような体制はスサノヲやニギハヤヒ達が、押し付けたのではないのです。

そして、始祖とされ、神として至高・不可侵な存在として地域の人々に崇められるためには、それにふさわしく祀ることが必要でした。そのために選ばれたのが、それまで土着的な信仰、神の依り代として、人々の崇敬を集めていた、巨木、巨石、神体山といった永続性を持った異形物だったのです。

巨石と石神21

スサノヲが出雲に到来する以前にも、出雲には土着の神をはじめ、さまざまな神々がいたことは当然です。それらの神々は、あるものは水神として祭られていたり、あるものは大地の神とされていたりと、さまざまだったのでしょうが、共通することは、あらゆるものに霊が宿るという縄文以来の精霊信仰と、弥生時代における農業共同体の進展によって取り入れられた、豊穣を願ったり、共同体を襲う厄災に対応する自然神への信仰が入り混じったものだったと思われます。

そうした神々が、どのような形で立ち現れるのかというと、その中心は巨木、巨石、神体山といった、その共同体の中にある永続性を持った異形物を依り代とするといったものだったのです。

さて、今まで見てきたように、スサノヲやニギハヤヒがそれぞれの地域に必要とされたのは、彼らが体現する政治思想、統治形態だったのです。彼らが持つ信仰や宗教が必要だったというわけではありませんでした。しかし、彼らが持ち込み、土着の首長たちと体現した政治思想、統治形態を定着させ、永続させるためには、制度だけではなく、彼らを始原的で崇高な一族だとして、信仰にも近い崇敬を人々から集める必要があったのです。

そこで思い付かれたのが、すでにそれまで土着的な信仰、神の依り代として、人々の崇敬を集めていた、巨木、巨石、神体山といった永続性を持った異形物に、それまでの神々と同じように彼らが天降ったとすることだったのです。

そうすることによって、外来の貴種(スサノヲ、ニギハヤヒ)が土着の信仰と相矛盾することなく人々に受け入れられ、信仰にも近い崇敬を人々から集めることになったのではないでしょうか。

スサノヲが祀られている出雲の神社には、須佐神社、出雲大社、須我神社、熊野大社等々いずれにも、巨木、巨石、神体山が、たとえば須佐神社の大杉、出雲大社、須我神社の磐座、熊野大社の天狗山といった形で存在しているのです。ニギハヤヒにしても、磐船神社の磐座をはじめとして、同じことが指摘できるのです。

巨石と石神20

アシナヅチ・テナヅチ一族の期待にこたえて、スサノヲはオロチとされる出雲の首長たちを滅ぼし、出雲の王となりました。そして、出雲の政治形態・統治形態は、スサノヲが持っていた騎馬民族系の形態とされたのです。何度も書きましたが、その支配者としての地位は、天より与えられたものであり、さらに、その地位は系譜の繋がる男系の子孫が受け継ぎ、そうした正統性のない者は王の地位には就けないというものとなったのです。この系譜の中で登場したのが、スサノヲの五世・六世の子孫とされるオオクニヌシだったです。

しかし、ここで問題となったのがそれまで受け継がれてきた信仰や、土着の神とされていた存在をどのように扱うのかというものでした。つまり、スサノヲは天からその地位を与えられたとされるのですが、その神はそれまでの土着信仰の神とは異なる神であるはずです。そうでなくては、無二無窮の地位とはいえないことになるからです。では、それまで出雲に根付いていた神々、信仰の対象は破棄されることになるのでしょうか。

スサノヲへの期待は、スサノヲが持っていた政治思想・政治形態を取り入れることでした。それが実現したからといって、それまでの信仰や神々を捨て去る必要はないのです。しかし、一方で、スサノヲに無二無窮の地位を与えたのは、それらの神々とは異なる神だとしなければ、スサノヲ一族の正統性を維持、継承することは出来ないのです。そこで考え付かれたのが以下の筋書きだったのではないでしょうか。

巨石と石神19

さて、私には・・・『その首長は、スサノヲ一族を庇護します。そしてスサノヲの政治思想をもってすれば、出雲を統一し、安定した政治体制が構築できるのではないかと思い、それを実行に移したのです。』(その17)・・・ということの内容が、ヤマタノオロチ退治の伝承に象徴的に表現されていると思われるのです。

出雲の首長群のひとつであった、アシナヅチ・テナヅチ一族は豊穣を祈念するために「蛇神」を祀っていました。また、同じく並立する他の一族たちも、同じ蛇神を祀っていました。並立する他の一族たちが、ヤマタノオロチの八つの頭(首長たち)とされているのです。ヤマタノオロチの「身がひとつ」とは、出雲における同族ということなのです。

アシナヅチ・テナヅチ一族は、特別な役割を負わされていました。それは、他の一族たちと共に祀るオロチ(畏敬すべき蛇神)を、司祭として奉祭するという役割でした。そして、一族の中から年季ごとに巫女を選び、オロチに捧げて奉祝するという祭りを行なっていたのです。しかし、出雲圏域での祭りを共有するとはいっても、一方では邪馬台国と同じように、お互いの争いは絶えることがなかったと思われるのです。

しかし、従前よりの共同祭祀である「蛇神」を奉祭するといった呪術的・司祭的な政治形態を続けていては、そうした争いを無くし、より大きな出雲としてまとまることは出来ないのです。いちばん割を食っているアシナヅチ・テナヅチ一族の前に現れたのが、それを可能にする政治思想・政治形態を持っていた「貴種」のスサノヲだったのです。スサノヲが持っている政治思想・政治形態を体現させれば、出雲の統一が出来ると考えたのがアシナヅチ・テナヅチ一族だったのです。

巨石と石神18

さて、ある「貴種」が、ある土地に到来し、その力や技術によって世の中に変革をもたらしたということが、出雲においてその痕跡が色濃く残されているように思えるのです。

スサノヲの例を挙げましたが、その他には「スクナヒコナ」の例が挙げられます。まさしく、この神は「ガガイモの舟」に乗って、海上から出雲に到来したとされています。そして、オオクニヌシと協力して国づくりに励んだとされています。

天神であるタカミムスビの子神とされているのですから、天から天降ったとされても良かったのでしょうが、そうではなく、より現実的に海上から来たとされているのです。

そして、スクナヒコナの貢献は農耕・医薬・禁厭(まじない)、といった民生の部門に関連するものが中心となっています。同じく天(海)から到来したとされるスサノヲとは、異なった役割を果たしているのです。

ここから考えられるのは、「貴種」といえども万能ではなく、それぞれの役割の中で活躍したということです。つまり、出雲に到来したスサノヲは、政治形態・支配形態・軍事形態といったことに関して出雲に変革をもたらし、スクナヒコナは農業・医薬・禁厭(まじない)といった民生的側面に関して出雲に変革をもたらしたのです。

そして更に重要なことは、一人でその変革を成し遂げるのではなく、スサノヲの場合は土着の有力者(アシナヅチ・テナヅチ)と、スクナヒコナの場合はオオクニヌシといった国主と協力し合ったとされていることなのです。

出雲にはその他に、『出雲国風土記』では、ウヤツベやイヒシツベ、ハタツミといった神が天降ったとされています。それらの神々が何をもたらし、誰と協力し合ったのかは伝えられていませんが、神として現在も祀られているからには、それなりの変革を出雲にもたらす役割を成し遂げたのだと考えられるのです。


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