コンスタンツ通信

ボーデン湖岸の町コンスタンツに滞在していた社会学者です。帰国のためブログは終了しました。

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今朝、こちらでは福島原発付近の海水から基準値の1250倍のヨウ素が検出されたというニュースが報道されていた。「福島付近の太平洋が強く放射能で汚染されている」というのが公共放送ARDでの、「海水が劇的に放射能で汚染されている」というのが『南ドイツ新聞』での見出しになっている。
 
ドイツではこのように、現実に放射能汚染が進んでいるということに強い感心が注がれている。その報道の仕方は、なにやらパニック映画の宣伝のように仰々しくなる傾向はある。そのような傾向については、前回の記事でも少し触れておいた。
 
だが、原発事故の修復・終息がかなりの長期(場合によっては年単位)にわたることが明らかになりつつある現在、日本の人たちも、そこから絶えず放出されている放射線や放射生物質による汚染もっと正面から向き合う必要があるのではないか。その現実と向き合いながら、それと日常的に付き合っていくシステムを開拓していくことが求められる。
 
もちろん、今の日本でも放射能汚染の報道はある。しかしその報道は「○○日、×××で基準値を越える放射能が検出された」という、ある時点、ある地点に限定された断片的な状況だ。しかも、その情報の後には「人体に直ちに影響はない」という但し書きが付けられることで、放射能汚染の事実がそこで寸止めされてしまうのである。
 
今必要なのは、このような「点」による把握ではなく、「線」と「面」による包括的な把握であろう。つまり数多くの計測地点の情報を集めて汚染の範囲を「面」で捉え、かつそれを時系列的にまとめていくこと。そうすることによって、現在までの(そして未来にわたっての)放射能汚染の全体像がつかめるようになる。
 
あらゆる放射能への対策は、その後のことだ。
 
 ◆◆
 
現在でも、不十分ながら、ある程度そのような包括的な把握ができるような情報はある。
 
ここではドイツ発の情報をいくつか紹介してみよう。
 
先ずはドイツ・プラント原子炉安全協会(GRS)という組織が出している情報。
 
その一つが、福島第一原発内の放射線強度を、3月12日から現在までグラフ化したもの(⇒参照)。爆発が起きた日、弁を開けた日がグラフの中に記されている。日によって測定場所が違っているが、だいたいの傾向はつかむことができる。これによれば、爆発が立て続けに起きた3月16日、17日をピークに放射線強度は減少する傾向にある。
 
同様の図は、日本の民間組織、環境エネルギー政策研究所でも出している()。
 
もう一つは、青森、新潟、茨城、神奈川、大阪各府県での放射線量を一つの図で表したもの(⇒参照)。しかし、日本の文部省が出しているデータの方が網羅性がある()。これを地図上で見ることのできようにしたサイトもある()。
 
福島近辺の県では、やはり茨城県の放射線量が高い。
 
原発のある福島県では、数多くの箇所で測定が行われているようだが、今ひとつ全体の見通しが悪い。もう少し包括的に把握することができるとよい。
 
ドイツ・プラント原子炉安全協会は、今回の福島原発事故について、日本から出ているデータをまとめた、非常に詳細な情報を発信しているので、とても役に立つ()(毎日更新されている)。
 
次に、ドイツ気象庁(DWD)(交通・建設・都市発展省所属)が放射能の拡散の予測を公表している。福島原発から放出した放射能が、風に乗ってどのように拡散するのかを、6時間ごとに4日間にわたってシュミレーションしている。現在見れるものは、土曜日から火曜日までのものである(⇒参考)(リンクができない場合は、こちらから入って3つ並んだ日本地図の一番下をクリック)。
 
このシュミレーションを見ると、首都圏も「放射能の集中」が「希薄化」された地域にすっぽり入っている。
 
似たような予測は、オーストリア気象・地球力学中央庁(ZAMG)も行っている()(リンクができない場合はこちらから入って、一番下の部分をクリック)。
 
日本にも原子力安全委員会が開発した「SPEEDI」なるシミュレーションシステムがあるそうだが、今のところリアルタイムに公表されてはいない。(前日一回だけ過去のデータが明らかにされただけ。)
 
とにかく、これから東日本の人間は、当分のあいだ放射能の中で日向ぼっこをしながら暮らさなければならないわけだから、こうした放射能汚染の広域的・時系列的な把握は不可欠な条件となるだろう。
 
日本の気象庁も、「花粉情報」と一緒に、「放射能情報」なども出してもらいたいものである。
 
 ◆◆
 
ところで、私も今月末には日本に帰国しなけらばならない。4月から春の新学期が始まるからだ。地震によって若干延長された私のコンスタンツ滞在も、今度こそ本当に終りになる。
 
だが、その日本は放射能に汚染されつつある。私は、そのような日本に戻るのである。「飛んで放射能に入る春の虫」である。
 
 
 
【付記】
有名な環境団体グリーンピースは、「日本政府の情報は矛盾している」として、独自に福島県での放射能の測定を始めるそうだ()。なるべく汚染を低く見積もりたい日本政府との間での情報戦が繰り広げらることになるだろう。
 
 
【後記】ドイツ気象庁のシュミレーションへのリンクが間違っていましたので、訂正しました。
 
 
 
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私のブログ「まちづくり連れ連れ騒士http://geocities.yahoo.co.jp/gl/matiplanplan/」において、紹介させていただきました。 猫舟亭旅人

2011/3/28(月) 午後 4:28 [ 騒士 ] 返信する

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はじめましてです。

政府の発表する花粉症対策のような放射能対策に、毎日不安に暮らしていますので
このページ(前回のリスクの記事も)に辿り着き、とても参考になりました。
感謝しています。

2011/3/29(火) 午前 0:13 [ won*h*ck ] 返信する

猫舟亭旅人さま
ご紹介頂き、ありがとうございます。

2011/3/29(火) 午前 8:07 Soziologe 返信する

won*さま、
どういたしまして。

2011/3/29(火) 午前 8:07 Soziologe 返信する

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