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税制大綱―財源なしに公約は通らぬ
政府税制調査会が鳩山政権として初の税制改正大綱を決めた。焦点だったガソリン税などの暫定税率は廃止するが、新たな措置で同規模の税収を維持することになった。
政権公約通りにガソリン税を下げる方針を貫くかに見えた鳩山由紀夫首相は、一転して公約を実現できなくなったことについて「率直におわび申し上げねばならない」と語った。
政権公約の目玉のひとつを変えた以上、その理由を首相は国民にていねいに説明せねばならない。
だが、暫定税率の廃止にはもともと無理があった。廃止すればガソリンは値下がりで需要が増え、首相自身が力を入れる温暖化対策と矛盾する。税収は地方税を含め年2.5兆円も減る。不況で法人税収などが激減するなか、「国債発行は44兆円まで」という予算編成方針は守れない。
本来、民主党が掲げる環境税の導入方針とセットで暫定税率の廃止を打ち出す道もあった。結局、民主党の小沢一郎幹事長からの要望を受け入れる形で事実上の税率維持を決めたことは、政府の政策形成力の弱さを示す事態だといえよう。
そのおかげで来年度予算編成の足場はなんとかできた。だが、迷走劇から浮かび上がった「構造的な財源不足」という大問題に、鳩山政権は全く答えようとしていない。ほんとうに深刻な問題はそこにある。
たとえば、「コンクリートから人へ」の目玉政策である子ども手当を恒久的な制度とするには、2011年度以降、毎年5兆円の支出を支える恒久財源が必要だ。しかし、その財源は確保できていない。
財政事情はますます悪化している。今年度は税収が当初見込みより9兆円少ない37兆円にとどまり、新規国債発行(新たな借金)は53兆円超に膨らむ。税収より借金が多いという終戦直後以来の異常事態だ。
鳩山政権は来年度予算の概算要求額を事業仕分けで圧縮したが、全体の削減額は6800億円にとどまった。政権公約では、「無駄の削減」で数兆円もの財源を生み出せるとしていたが、現実はそれほど甘くない。そのことも、事業仕分けの貴重な教訓として受け止めるべきだ。
毎年度30兆円規模の借金が新たに生じている国の財政事情から見ても、いずれ増税は避けられない。とりわけ有力なのは、法人税や所得税より税収が安定している消費税だ。
消費増税を先送りしてきた自公政権も、社会保障のほころびを直す財源としてその必要性は認めていた。
税収増分を歳出に回せば、増税による景気への影響を相殺できる。世界同時不況を脱却したら実施できるよう、消費増税の検討を進めるべきである。
朝日社説も朝令暮改か。昨年春のガソリン税暫定税率廃止騒動のときは民主党の廃止論を支持していたはず。あのときは環境のことを言ったのはもっぱら自民党の方で、民主党は暫定がいつまでも残っていてはおかしい、という「正論」を主張していた。
それはともかく選挙のときのバラマキ政策について、財源はどうするかとの疑問には、ムダの排除と予算の組み替えで、間に合うと鳩山民主党は大見得を切っていたのが、いまや破綻したのは明白だ。
それに気づくのが遅すぎたが気づかないよりはいい。いまの財政事情を考えれば早晩消費税の増税に行き着くでしょう。その決断をするのはだれで、いつか。鳩山首相には荷が重過ぎるか。
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