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高校生も大変だけど、大学生も大変だね。 昔、「山谷ブルース」という歌があったけど、もう今は昔だね。 日雇い労働者の街として知られる東京・山谷地区で、就職活動(就活)をするリクルートスーツ姿の学生 が目立っている。 地方の学生が簡易宿泊所に寝泊まりしながら就活を続けているためだ。 就職難で、就活期間が長くなっているだけに、宿泊費の安さは大きな魅力。 宿泊所の経営者も「街の活性化のきっかけに」と歓迎している。 白い壁に紺のスーツが掛けられた3畳一間。 キャリーバッグを置いて、布団を敷けば足の踏み場はなくなる。 荒川区の簡易宿泊所「千住田村屋」は、1泊1800円でシャワーは共同。 テレビもパソコンもない。 それでも、札幌学院大の山下雄太郎さん(21)は、「むしろ就活にじっくり集中できます。」と言う。 3年生の山下さんは、東京に本社がある会社への就職を希望し、今月9日夜に上京。 採用活動を早めた企業が3年生向けに行う会社説明会に19日まで参加する予定だ。 インターネットで安いホテルを探していて初めて山谷を知った。 「狭いけれど、宿代を浮かせるためだし、問題ない。」と話す。 山谷地区は台東、荒川両区にまたがり、約1・6平方キロの中に164軒の簡易宿泊所が立ち並ぶ。 多くは3畳の和室で、1泊2000〜3000円。 現在は約4600人が宿泊する。 宿泊者が多かったのは、1950年代〜60年代の高度成長期で、東京五輪前年の1963年には222 軒に日雇い労働者約1万5000人が宿泊。 バブル期も労働者であふれていたが、その後の不況で、日雇い労働そのものが減少。 代わって働けずに生活保護を受ける宿泊者が多くなった。 2002年の日韓サッカーW杯に合わせ、一部の宿泊所が外国人客を取り込もうとシャワールームを設置 するなど改装。 最寄り駅から都心まで約30分の便利さもあり、外国人やビジネスマンの利用も増えている。 宿泊所経営者でつくる「城北旅館組合」の広報担当・帰山哲男さん(58)によると、山谷でリクルート スーツが目立ち始めたのはここ数年。 これまでに30軒ほどが実際に就活中とみられる学生を受け入れた。 帰山さん経営の「エコノミーホテルほていや」(台東区)でも4年前に紺や黒っぽいスーツの若者が増 え、尋ねると就活学生だった。 別の「HOTEL丸忠CLASSICO」(同区)では今年、採用試験が始まる2、3月には125室の うち30室が学生で占められた。 ロビーで情報交換したり、悩みを相談し合ったり……。 女子学生もいたという。 「日雇い労働者や生活保護受給者だけでなく、学生や外国人も含め、一般客に安い宿を提供する街に転換 していきたい。」と帰山さんは期待する。 ただ、30年以上山谷で暮らしている無職男性(56)は、「『労働者の街』という雰囲気が薄れると、 僕たちは逆に居心地が悪くなるのでは。」とさみしさものぞかせた。
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