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今週の16日の一般紙の一面はリーマン・ブラザーズ証券の破綻の
記事でほぼ全面を占めていました。158年もの歴史のある名門インベストメント・バンク
の米連邦破産法申請には驚きました。
証券会社ではジャンク・ボンド(高利回り債券-High Yield bond)で有名だった
ドレクセル・バーナム・ランベール証券が倒産した1990年以来
18年ぶりとのことです。
当時は私は某インベストメント・バンクでHigh Yield Bondを東京で売っていたので
ドレクセル社のショックな出来事はよく覚えています。
顧客であった某商社の投資担当者からは急遽米国に飛び投資して
ドレクセルに保管委託していた証券を取り戻しに行った
話しを伺いました。
ドレクセルはジャンク・ボンドのマーケットの悪化とインサイダー取引発覚などで
破綻しました。
リーマンは昨年夏から大きな問題になっているサブプライム危機関連の不動産商品などの
損失がきっかけの破綻原因のようです。
住宅ローン、不動産投資の市場の大きな転換に対応
しきれなかったようです。借り入れをきかせて投資する
レバレッジ(Leverage 梃子)のため膨大な負債総額
になっているようです。
リーマンだけではなく欧米の主要な投資銀行、金融機関ががほぼ全社
と言っていいくらい今回のサブプライム関係で大きな損失を出しているので
原因の根は深いと思います。
1980年代後半から1990年前半にS&L危機
(Savings & Loan Crisis 貯蓄金融機関・危機)
がありました。不動産の下落にともない住宅ローン融資の
焦げ付きが多額に発生して747社のS&Lが倒産したようです。
(銀行では1984年から1992年の間に
1453行が破綻したようです。最大規模の銀行
は1984年のコンチネンタル・イリノイ銀行
でした。)
同じ時期にシティ銀行、バンク・オブ・アメリカ、チェース・マンハッタン
銀行などの大手の商業銀行も中南米などの発展途上国
向けローン、不動産融資、LBOファインスの不良債権で
大きな問題を抱えていました。
某投資銀行の前には米国大手銀行の一社に勤務していました。
海外にマーチャント・バンク(後にインベストメント・バンク)
のビジネスを拡大していたのですが中南米の問題など
で1988年頃には米国内のドメスティック・ビジネスに注力
を戻さないと行けなくなっていました。
シンジケート・ローン・ビジネスの展望が悲観的に
なった年代でした。
1987年10月にはブラック・マンデーがあり株式の
暴落(22.6%下落)がありInvestment Bank の
ビジネスも大変でした。
今年は当時より投資銀行の破綻、身売りの
話題はドラスティクではないかと思います。
85年の歴史のあったベアー・スターンズが本年の3月に
JP Morgan に買収されるのが決定しました。
先週にリーマンの買収を検討していたはずのBank of Americaが
想定外にメリル・リンチを買収の発表でした。
大手投資銀行の5社の内で3社が再編
されました。大手では残るのはGoldman Sachs とMorgan Stanley
のみです。
米国最大手の保険会社AIGの政府支援に至っては
いやあすごい危機的な状況だと感じました。
一連の動きは今までの金融危機の経験ではなかったことで
次は何が起こるのかと懸念を覚えました。
1987年のBlack Monday,1997年のアジア通貨危機
1998年のロシア危機、同年のLTCM危機など
がいっぺんに来たような不安です。
昨年の末にロンドンのPrivate Equity の会社、
Terra Firma 社からJohn Kenneth Galbraith 著
「The Great Crash 1929 」の本が贈られてきました。
創業者のGuy Hands 氏のレターが同封されていました。
大恐慌のこの本が彼の愛読書のようで時代背景は違い
異なるポイントもありますが参考になる点が多いと
の内容でした。サブプライ関連による
困難な状況は数年続くかもしれないが
投資の機会があるとのコメントでした。
今年になって元FRB議長のグリーンスパンが
100年に一度の危機だとか著名投資家ジョージ・ソロス
が戦後最大の危機などと述べているのを読んで
欧米人などの金融の世界では事の深刻さをより
早く把握しているのかと思いました。
大恐慌を起こさないシナリオで
底が見えてきてマーケットが反転するのを
祈るばかりです。
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