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昨日、6月4日で天安門事件から20年が経ち
テレビやインターネットのニュースで当時の映像が
流れたり色々な話題になっていました。
テレビで報道されていないインターネットでの流血の惨劇
の動画、写真等をまた見て心が痛みました。
NHK、クローズアップ現代、
「中国変えた天安門事件新証言」の
番組をたまたま見ました。
天安門事件に影響を受けた某航空会社向けのビジネス
のことをまた思い出しています。
天安門事件が起こった1989年の初に某投資銀行
に転職しました。
6月4日に北京の天安門で学生、市民への
軍による弾圧で大変な悲劇が起こった
ようでした。
当時テレビのニュースの映像を見て
ショックを受けました。
勤務先の投資銀行・ニューヨーク本店が
中国にルートのある某航空会社向け
Boeing 747の3機のファイナンスを
アレンジしていました。
あるヨーロッパ銀行が3機で約3億3千万ドルのDebt
(債権・ローン)を出す予定でした。
ところが天安門事件が起きたためにポリティカル・リスク
(Political Risk: 政治リスク、カントリ・リスク)の
懸念からファイナンスを出すのを降りて
しまいました。
ニューヨーク、ロンドンでは資金を出してくれる
代わりの金融機関を探したようですが中国リスクが
あるということで見つからなかったようでした。
欧米の金融機関は天安門の動乱を考慮して
中国に関わるリスクを躊躇していました。
本店の該当部署が困惑して東京支店のキャピタル
・マーケットに邦銀などにデットをPlacement(
はめ込め)できないかと依頼がありました。
当時は航空機ファイナンスに馴染みがある者が
ほとんど東京支店にいなくて債券本部に所属
していた私が邦銀、商社などにキャピタル・マーケットの
ヘッドと一緒にマーケティングをしました。
私は前勤務先の外資投資銀行でPrivate Placemnt
(私募取引) の担当で欧米の航空会社向け航空機
ファイナンスを数件アレンジしていた実績がありました。
米国のレバレジッド・リース(Leveraged Lease)と
FSC(Foreing Sales Corporation)のダブルの税金の
メリットをとるスキームでした。FSCとは米国の製品
を海外の会社に売れば税金の恩恵が受けられるという
利点を使うアイデアでした。
米国の親会社と案件のために税回避国に作った
子会社(リース会社)との間での親会社に配当する
配当金に税金の減免がある恩典でした。
金融関係ではLeverage(梃子てこ)という言葉
をよく色々なケースで使います。
航空機リースでは航空機の所有者(Equity出資者)が
20-30%出資し残りの70-80% のDebt (借入れ債務)
で航空機を購入します。
航空機・所有者であるEquity出資者が減価償却の
メリット(節税)を100%取れるという投資効果です。
投資した金額の割合に比較してより大きな利点
(節税効果)ができるということです。
梃子の原理です。
通常の航空機ファイナンスでは担保として機体に
Mortgage (抵当権)を設定するのですがFSCの条件上で
Mortgageはできないので別の保全をしなけれ
ばいけませんでした。
税金がかからないタックス・ヘブン
(Tax Heaven)の国に航空機を所有しリースする
ためだけの目的の会社(Single Purpose Company)を
設立しました。
この会社の株式にPledge (質権設定)することによって
航空機の担保保全をはかるものでした。
日本ではまだこのFSC付きの米国型レバレッジド・リース
は実績がありませんでした。邦銀などにマーケティングした
結果は直接的に航空機を担保に取れないという理由や
中国リスクの恐れがあるとの返事で断りが数行ありました。
親しい某銀行の航空機の担当者からライバルの欧米投資銀行
から同じようなFSC/Leveraged Lease のスキームでの紹介が
あるとの情報を得ました。
またこの銀行は嬉しいことに中国リスクをまだ
受け入れられるとのことでした。
邦銀の方々に詳細な販売資料やFSCに関する説明
をすることにより前向きに検討していただきました。
最終的にはBoeing 747の3機を全て引き受けて
くれる喜ばしい結果でした。
もちろん途中に条件面でハードな交渉があったり
予想外のこともありました。
本来なら東京のキャピタル・マーケットの米国人のヘッドが
本店のStructured Financeの担当者やヘッドと連絡を
取り合うのですが山場になった頃に休暇をとって
帰国しました。
12月のクリスマス・シーズンなので仕方がないとは思いました。
私はCapital Market の人間ではないですが
バトンタッチで本社へ邦銀の要望をFaxしたりグループ・ヘッドの
自宅に電話をして条件の詰めをしました。
航空機の引渡し時期の関係で最終期限の年末までに邦
銀との契約が締結されひと安心して年末を過ごせました。
投資銀行ビジネスの醍醐味を味わいました。
翌年に香港で航空機の引渡し関係の契約書の調印式があり
ニューヨーク、東京から関係者が集まりました。
私も東京から一人で参加しました。
航空機の引渡しが終わった後に米国本社、
ストラクチャード・ファイナンスのヘッドの某氏が
東京に来ました。
彼とは電話で何度かコンタクトしていたのですが会うの
は初めてでした。背の高い大学時代には
バスケット・ボールをやっていたらしい
スポーツマン・タイプの人でした。
某邦銀へディール(Deal 取引)をしていただいた
お礼の挨拶のため彼と一緒に訪ねました。
彼は今は某Investment Bank の最高財務責任者
(CFO Chief Financial Officer)になっています。
20年前の天安門事件をきっかけとしたビジネスのこと等
色々と感慨にふけっています。
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