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【英ファンドが目を付けた、レアメタルの宝庫・北朝鮮】
MONEYzine2008/2/1
新たな投資先として注目を浴びているのは、北朝鮮。日本人にとっては、貧しい独裁国家としての印象が強いが、世界の多くの大企業が、競ってそのビジネスチャンスを我が物にせんとしているという。北朝鮮ビジネスの実情と、その行く末はいかに。
北朝鮮の秘蔵資源“レアメタル”とは“ヘッジファンドの帝王”と異名をとるジョージ・ソロス氏によれば、「昨今のサブプライム・ローン問題に端を発する金融危機はアメリカの信用を根底から覆し、国際基軸通貨としてのドルの終わりを意味している」とのこと。
同氏曰く、「これからは信用創出に悪乗りしたアメリカの凋落が始まり、中国を筆頭とする新興市場が台頭する。市場を牛耳る影響力の源泉はドルから金(ゴールド)への大転換が避けられない」。
そんな先行き不透明感が広がる中、世界の投資マネーの「ニューフロンティア」として北朝鮮が急浮上し始めた。先鞭をつけたのはヨーロッパ企業である。2007年7月、フランスの大手セメント会社ラファージは北朝鮮のサンウォン・セメントに対する1億1,500万ドルの投資を実行。今後10年以内にこれまで閉ざされたマーケットに向け、慎重だが、徐々に投資を拡大しようと考えている企業は、シーメンス、ゼネラル・エレクトリック、ヒュンダイ、ハイアールなど、意外に多い。 北朝鮮は世界でも有数の「レアメタルの宝庫」 北朝鮮といえば、食糧もエネルギーも乏しい独裁国家というのが一般的な見方であろう。米CIAの推計では、北朝鮮の1人当たりの経済総生産額は1,800ドルで、韓国の14分の1ほどでしかない。その結果、国民の3分の1は栄養失調に苦しんでいるといわれる。
しかし、アメリカの資源探査衛星からの情報分析で、北朝鮮が世界でも稀に見る「レアメタルの宝庫」であることが明らかになってきた。レアメタルとは、文字通りレア(希少)な金属のことで、地球上における存在量が絶対的に少なく、かつ産業上においては非常に有用な金属のことを指す。
たとえばタングステン。これは超硬材の切削工具に使われ、軍需産業には欠かせない素材であるが、世界の埋蔵量のほぼ半分が北朝鮮にあるとされる。また、合金に使われるアルミニウムやマグネサイト、潤滑油や電子基盤の材料に使われるモリブデンなども、北朝鮮には大量に眠っているようだ。
それ以外にも、リチウムイオン充電池の電極材料に用いられるコバルトや、超硬材に用いられるチタニウム、さらには金、銀などの資源も確認されている。しかも最近では、ロシアの資源探査チームの調査で、北朝鮮の西海岸地域に600億バレルもの石油が埋蔵されていることも判明してきた。世界の投資ファンドが目の色を変え始めたのもうなずけよう。
もし、北朝鮮の現体制が一夜にして崩壊するようなことになれば、中国や韓国、そしてロシアがこれらの地下資源に殺到することは目に見えている。その前に北朝鮮に眠る地下資源の利権を確保しておこうという動きが、日本以外の6カ国協議参加国で急速に高まってきたのである。アメリカも例外ではない。
独裁体制崩壊はリスクでもあり、チャンスでもあり実は北朝鮮の資源をめぐる争奪戦は、すでに始まっている。そして先行しているのは意外にもイギリスである。イギリスは2001年に北朝鮮と国交を回復し、ピョンヤン(平壌)に大使館を開設。近くロンドンの金市場では北朝鮮産出のゴールドが売買されるようになるとの観測も出ているほどだ。
その背景には2006年に、英国金融監督庁(FSA)が「朝鮮開発投資ファンド」に認可を与えたため、イギリス系投資ファンドが活発に動き出したことがある。同ファンドの顧問にはアメリカ国務省で北朝鮮問題を担当していたリン・ターク氏も就任している。ターク氏といえば、1994年にアメリカ初の訪朝団を率いてピョンヤンに乗り込んだことで知られる存在。水面下で欧米のファンドが北朝鮮に擦り寄っている状況が見て取れる。 この北朝鮮投資の流れを受け、まず「アングロ・シノ・キャピタル」社が5,000万ドル規模の朝鮮開発投資ファンドを設立し、鉱山開発に名乗りを上げた。投資家からの関心は非常に高く、瞬く間に1億ドルを超える資金の調達に成功した模様。 代理人を務める「高麗アジア」のコリン・マカスキル会長曰く「北朝鮮が武器や偽造品輸出以外の方法で外貨を獲得するには、ファンド投資を誘致するのがベストだ。この種のファンドはリスクが高いだけ、高収益も期待できる」と強気だ。確かに体制崩壊のリスクは高いものの、逆に独裁体制が崩壊すれば海外マネーが流入し、開発プロジェクトには弾みがつくとの見方もある。 「北朝鮮には大きな可能性がある」 さらに、ロンドンに本拠を構えるヘッジファンド「ファビエン・ピクテ」は北朝鮮での合弁事業に投資すべく素早い動きを見せ始めた。同社は北朝鮮とのビジネスを展開している韓国企業に対する投資をすでに行っているため人脈も豊か。イギリスの「フェニックス・コマーシャル・ベンチャーズ」も負けてはいない。北朝鮮での合弁事業に関し、積極的な資金調達を進めている。ピョンヤンを舞台にLinuxを使ったソフト開発会社や輸出用のパソコン部品、造花、洗剤工場などを経営し、海外輸出を後押ししている。
北朝鮮が核計画の廃止に向けてどこまで歩み寄るかにもよるが、イギリスの投資ファンドは「北朝鮮は今後急成長が期待できる新興市場の一翼」と位置付けているようだ。ファビエン・ピクテの幹部によれば、「北朝鮮には大きな可能性がある。徐々に投資を拡大していきたい」とのこと。
「バスに乗り遅れるわけにはいかない」とばかり、イギリスの石油開発会社アミネックスは、北朝鮮政府と石油の独占探査契約を結んだ。今後1,000万ドルを投資して、西海岸地域の海と陸の両方で油田探査を行う計画を進める。この分野ではロシア政府の資金や技術も欠かせない役割を果たすことになりそうだ。 商機到来に、6カ国協議で見せた北朝鮮の強気思い起こせば、1994年にカーター元大統領が訪朝した折、韓国と日本が資金を提供し、軽水炉を2基建設するという「枠組み合意」が形成された。しかし、いわゆる核開発疑惑が表沙汰となり、この計画は棚上げになってしまった。以来、今日に至るまで北朝鮮の電力事情は逼迫したままである。 この状況を捉え、ビジネスチャンスに結び付けようとしているのが中国だ。胡錦涛国家主席の母校である清華大学が開発した高温ガスタービン式の原発を、北朝鮮に提供しようと申し出た。北朝鮮とすれば、中国からの嬉しい申し出は心強い限りだろうが、支払い能力が無いのが問題である。そこに目をつけたのがやはりイギリスの投資ファンドで、50億ドルのファイナンスを申し出たといわれる。 6カ国協議の最中に、このような申し出が秘かに中国やイギリスから相次いだため、北朝鮮には協議の進展に関係なく、エネルギー不足の状況を打開できる可能性が生まれてきたわけだ。アメリカによる金融政策や日本が固執する拉致問題の解決など、厳しい現実を突きつけられながらも、北朝鮮が一向に強気の姿勢を崩さなかったのも当然のことであろう。 米英でも売れるメイド・イン・コリア資源以外の経済分野でも、ロンドンはピョンヤンとの結び付きを強めている。たとえば、北朝鮮の国営企業プガンが製造しているミネラルウォーターや、血液サラサラ効果がうたわれている「ロイヤル・ブラッド・フレッシュ」という北朝鮮製の豆乳ドリンクなどがイギリスに輸出され、好調な売れ行きを見せている。 しかもイギリスでは、このような北朝鮮製品を梱包し直し、「メイド・イン・コリア」と標記した上でアメリカにも輸出しているのである。プガンは北朝鮮国内に金の鉱山を100箇所以上所有する大企業で、世界中に金貨を輸出している。他にも医薬品、車両、武器などを海外に売りさばき、外貨獲得に貢献している模様だ。 「ケント」や「ラッキー・ストライク」など有名ブランドを持つ世界第2位のたばこ会社ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)(本社はイギリス)は2001年9月、北朝鮮の商社と合弁で「大聖BAT」をピョンヤンに設立し、年間20億本を超えるタバコを現地生産している。「大聖」という名前は、金正日直属の企業集団にのみ冠せられるもので、BATが北朝鮮の政府中枢に深く食い込んでいることの証でもあろう。
“紙くず”から“買占め”へ 北朝鮮の不良債権は化けるか |

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