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とあることをきっかけに、考え始めたこと。
「ちゃんと彼氏を好きでいられてるかな」
気付いたのは、結局は自分本意だということ。
彼のどこが好きか。
彼が私を好きでいてくれるから。私を助けてくれるから。私の味方でいてくれるから。
SEXするのは彼の体温を感じるためではなく、自分が気持ち良くなりたいだけ。
記念日にケーキを作るのは喜ばせたいからではなく、褒められたいから。
そんな気がする。
いつも、自分の「好き」という気持ちに自信が持てない。
もちろん嫌いになったということではなく。
きちんと正面から、恥ずかしがらずに、向き合うことが出来ない。
「私はちゃんと君を愛せているかな」
「よくわからないけど…、でも好かれているのは感じるよ」
優しい。彼はひどく優しく、そしてどうやら私はひどく好かれている。
有楽町の無印で、ダイニングテーブルに食事セットの飾りつけ。
「ねぇ、ちょっとそこ座ってみてよ」と私に言い、向かいに彼が座る。
「なんだか新婚さん気分だね」
うれしそうに笑う彼。
その笑顔で、私の心はこんなにも、あったかい。
あぁ、きっと私はこの人が大好きなんだ。
たぶんね、きっとさ。
井の頭公園のベンチに座ってとりとめのない話をする。
「ねぇ、一番思い出に残ってる場所って、どこ?」
「安比かな、始まりだからね」
「そっか、俺はね、あの線路沿いの道。いつも車停めてずうっと話してたもんね」
昔の私はこう思っていた。
いつか生涯の伴侶が出来たら、相手よりも一日だけでも早く死にたい。残されるのはさみしいもの。
でも、彼と付き合ってから、考えが変わった。
私があと、だ。
彼の最期をきちんと看取って、送り出してあげよう。それが彼にしてあげられる最後の仕事だから。
それに、私が先に逝ってしまったら、残される彼はさみしいだろうから。
でも、送り出して、そのあと、彼がいない日々を、私は耐えられるのだろうか。
ひとりは、こわい。
今が、1分でもムダにならないように、生きていかないと。
私の後ろに出来た道を過去と呼ぶならば、彼と重なっている距離が少しでも長くなるように。
少しずつ、でも確実に、忘れていくこれまでの出来事。
今のこの気持ちも、出会えた喜びも、いつかの景色も、匂いも、笑顔も。
出来ることなら、どんなに些細なことでも、憶えていたいのに。
忘れてしまうのはさみしいけれど、それが生きていくということなのかもしれないね。
笑って、泣いて、得て、失って。
そうして、最期に楽しかった思い出が残るように。
ハロー、私の気持ちは君に届いているかい?
私は不器用だから、言いたいことの欠片すら、君にちゃんと伝えられないけれど。
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