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SEXTEEN

とあることをきっかけに、考え始めたこと。

「ちゃんと彼氏を好きでいられてるかな」

気付いたのは、結局は自分本意だということ。
彼のどこが好きか。
彼が私を好きでいてくれるから。私を助けてくれるから。私の味方でいてくれるから。
SEXするのは彼の体温を感じるためではなく、自分が気持ち良くなりたいだけ。
記念日にケーキを作るのは喜ばせたいからではなく、褒められたいから。

そんな気がする。

いつも、自分の「好き」という気持ちに自信が持てない。
もちろん嫌いになったということではなく。
きちんと正面から、恥ずかしがらずに、向き合うことが出来ない。

「私はちゃんと君を愛せているかな」
「よくわからないけど…、でも好かれているのは感じるよ」

優しい。彼はひどく優しく、そしてどうやら私はひどく好かれている。

有楽町の無印で、ダイニングテーブルに食事セットの飾りつけ。
「ねぇ、ちょっとそこ座ってみてよ」と私に言い、向かいに彼が座る。
「なんだか新婚さん気分だね」
うれしそうに笑う彼。
その笑顔で、私の心はこんなにも、あったかい。

あぁ、きっと私はこの人が大好きなんだ。
たぶんね、きっとさ。

井の頭公園のベンチに座ってとりとめのない話をする。
「ねぇ、一番思い出に残ってる場所って、どこ?」
「安比かな、始まりだからね」
「そっか、俺はね、あの線路沿いの道。いつも車停めてずうっと話してたもんね」

昔の私はこう思っていた。
いつか生涯の伴侶が出来たら、相手よりも一日だけでも早く死にたい。残されるのはさみしいもの。
でも、彼と付き合ってから、考えが変わった。
私があと、だ。
彼の最期をきちんと看取って、送り出してあげよう。それが彼にしてあげられる最後の仕事だから。
それに、私が先に逝ってしまったら、残される彼はさみしいだろうから。

でも、送り出して、そのあと、彼がいない日々を、私は耐えられるのだろうか。
ひとりは、こわい。

今が、1分でもムダにならないように、生きていかないと。
私の後ろに出来た道を過去と呼ぶならば、彼と重なっている距離が少しでも長くなるように。

少しずつ、でも確実に、忘れていくこれまでの出来事。
今のこの気持ちも、出会えた喜びも、いつかの景色も、匂いも、笑顔も。
出来ることなら、どんなに些細なことでも、憶えていたいのに。

忘れてしまうのはさみしいけれど、それが生きていくということなのかもしれないね。

笑って、泣いて、得て、失って。
そうして、最期に楽しかった思い出が残るように。

ハロー、私の気持ちは君に届いているかい?
私は不器用だから、言いたいことの欠片すら、君にちゃんと伝えられないけれど。


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