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書庫落葉広葉樹林(山地)の草

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9月に入って天候が悪い日が多いですね。そのせいか暑さは収まり、山はだんだんと秋っぽくなってきました。この年2回目の丹沢登山ではテンニンソウが満開の時期を迎えていました。

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神奈川県清川村にて(9月13日)。以下、撮影日・撮影場所同じです。

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立派な花序ですが、花がクリーム色なので群生してもそれほど目立たない。

この群生の状況、見事だと思いませんか?樹林の中がテンニンソウのお花畑になっています。まるでスギ植林の中に植栽したアジサイ園のような感じですね(アジサイ園ほど華やかではないですが)。

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こちらはブナ−サワグルミ林内で群生している様子。こちらも一面テンニンソウ。

でも、これは自然にできた景観です。テンニンソウはシソ科テンニンソウ属の多年草(たねんそう:地下部が2年以上生存し、毎年花や実をつける)で、北海道〜九州の山地に分布します。テンニンソウは地下茎で増殖するため、もともと群生する性質があります。うちの庭にも植わっているのですが、毎年増えすぎて抜いています・・・

それでもここまでテンニンソウが群生している状況というのは、私もあまり見たことがありません。これには多分、ニホンジカが関係しているのではないかと思います。撮影地の丹沢はニホンジカの密度が非常に高く、食害の影響で樹林の中の植生が衰退してしまっている状況です。そのためシカが入らないように柵を設置したりして植生の回復を図っています。こんな状況でもテンニンソウに限れば、あまりシカの食害の影響を受けていないように見えます。つまり、テンニンソウが大群生する状況は、ニホンジカが餌となる植物を食べつくしてしまう→おいしくない?テンニンソウだけが残ってしまう→テンニンソウは競争相手となる植物がいなくなり大群生するという図式が成り立っているのではないでしょうか(これだけが原因ではないかもしれませんが)。丹沢ではニホンジカが庭師となってテンニンソウを刈り残しているような感じですね。

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多分ニホンジカに食べられたと思われるテンニンソウ。ちらほらと観察できた。

でも、この日登っていると、登山道沿いでテンニンソウが食べられている状況を確認できました。餌が少なくなってくると、背に腹は変えられず、おいしくないテンニンソウも食べるのかもしれません。これ以上ニホンジカが増えると、テンニンソウが群生する景観も変化するのかもしれません・・・。

テンニンソウの特徴は次の3点です。
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①生え方:地際から多数の茎を出して群生します。草丈は腰丈以下です。茎は分枝することは少ないですが、刈られたり、シカに食べられたりすると分枝します。
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②葉:葉は1020cm程度と大きく、対生(たいせい:葉が対になって着く)します。形状は細長い楕円形で、先端はとがり、そろった明瞭な鋸歯が出ます。殆ど無毛ですが、時に短毛が葉の裏に出るものもあり、フジテンニンソウという品種に区分されることもあります。
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③花:10-15cm程度の試験管ブラシのような花序が茎の先端に一つつきます。個々の花は1cm程度、クリーム色で、筒型の花弁から長い雄しべが出るのが特徴です。


似た植物としては同じ属のミカエリソウがあげられます。ミカエリソウは花が赤紫色なので花期であれば間違えることはないです。葉だけだと似ていますが、ミカエリソウの葉の裏には星状毛(せいじょうもう:星のような形をした毛)が密生する点が異なります。小さな花の無いテンニンソウはヤマアジサイにも似ますが、テンニンソウは毎年茎が枯れるので、茎が褐色気味になる木本のヤマアジサイと異なることがわかります。

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