ここから本文です
身近な自然もいいね!
−植物がわかるとアウトドアが2倍楽しくなる!?−

書庫林縁・やぶの草

すべて表示

春の七草の「ハコベ」はコハコベとこのミドリハコベを区別せずに指しています。

イメージ 1
岐阜県関市にて(4月13日)。耕作地ではなく河川敷の竹林林縁に生育。

皆さん「ハコベ」というと、どこにでもはえる雑草のようなイメージを持ちますよネ。私が春の七草で採集する場合も、「ハコベ」が最も簡単にたくさん採ることができるので、「ハコベ」は雑草と言ってよさそうです。でも、どこにでも生えている雑草的な「ハコベ」は多分コハコベだと思います。ミドリハコベはコハコベに比べると格段に少なく、私の印象では耕地整理が行われていないような比較的古い農耕地周辺や、林縁部などで見かけることが多いです。ミドリハコベも耕作地周辺に生えることがあるので、そういう意味では雑草といえますが、そんじょそこらの雑草ではないと思います。

イメージ 2
岐阜県各務原市にて(4月8日)。花はまだだが、ミドリハコの典型と思えるタイプ。

コハコベはナデシコ科ハコベ属の越年草(えつねんそう:秋に発芽して冬越し、翌春に開花・結実して枯死する)で、日本全国に分布し、世界全体にも分布すると言われています。世界中に分布するほどの生命力を持つミドリハコベが、日本ではそれほど雑草化していないのはなぜなのか?これについては面白い論文がありました(もともとは英文「コハコベとミドリハコベの個体群において発生時期の差異が生存率と個体サイズに及ぼす影響」(三浦・小林・草薙1995)雑草研究vol.40(3)179-186)

実はミドリハコベとコハコベは種子の発芽の特徴が異なるようです。ミドリハコベは秋季のみに発芽し、越冬した翌春に開花・結実して枯死します。一方、コハコベは春から秋まで発芽し、春・夏に発芽したものは数ヶ月で開花・結実して枯死し、秋に発芽したものは翌春に開花・結実して枯死します。耕作地では常に耕起や草むしりが実施される環境のため、コハコベのようないつでも発芽できる種類は、いつ耕起や草むしりの影響を受けても、年内に土壌中の種子が発芽して開花・結実まで持っていくことが可能です。一方、ミドリハコベの場合、春先の開花前に耕起や草むしりが行われると、その年は子孫を残すことができません(その年秋に発芽しても開花までいかない)。このような理由からコハコベの方が農耕地により適応しやすく、ミドリハコベは農耕地にはあまり適応できていないといえます。このような適応力の違いが、両種の生育環境の違いとなっていると考えられますね(完全な引用ではありません)。

ミドリハコベの特徴は次の3点です。
イメージ 3
茎と葉:茎は緑色で、コハコベ(紫色を帯びる)と一見した違いになりそうです。葉は対生(たいせい:葉が対になって着く)し、全縁(ぜんえん:葉の縁にギザギザがない)です。芽出しの頃の葉や基部の葉には長い葉柄がありますが、茎の上部では柄がありません。ミドリハコベの葉はコハコベよりも少し大きい雰囲気があります。
イメージ 4
花:花は白色で直径56㎜。花弁は5枚ですが、1枚がV字状に深く切れこむため、10枚の花弁のように見えます。雌しべの先端は3裂に分かれます。花のつくりはコハコベと大差がないように私は思います。
種子:種子には細長い三角状の突起が密につきます。コハコベの突起は半円形で突出しないので、大きな違いといえます。10倍ぐらいのルーペや、カメラや携帯のマクロ撮影機能で識別できます。

似たような植物は述べてきたとおり、コハコベがあげられます。
イメージ 5

ミドリハコベとコハコベは一見した違いとして茎の色があげられます。しかし、茎の色については、茎が紫色をしたミドリハコベは見たことないですが、茎が殆ど緑色のコハコベは見たことがあります。ですから、茎が緑色の場合ミドリハコベかな〜と疑って、最終的には種子の突起を見て区別するのがよいと思います。
イメージ 6
ウシハコベは茎が緑色で葉が大きめなので一見するとミドリハコベにも見えますが、ウシハコベは雌しべの先が5裂する点で異なります。

本文はここまでですこのページの先頭へ
みんなの更新記事