教育・学校

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テーマ:道徳の教科化について 《2014(H26)年3月17日予算特別委員会》

○志村委員
 次に、道徳の教科化というものがあります。今度は今の話です。安倍首相が首相に返り咲いた後の国家安全保障戦略で、わが国と郷土を愛する心を養うことを明記して、国会では、先ほども出ていましたが、規範意識を教え、日本人のアイデンティティーを確立と表明して、特定の価値観を国家が押しつけるための道徳の教科化などを進めようとしていると思います。今の国家予算でも、道徳教育の充実に関する国家予算は、前年比約75%増になっています。この道徳の教科化は、一般的に、専門家の先生たちがいらっしゃるからわかると思うのですけれども、一つのものを教科化するというのは大変なプロセスが要る。しかし、今回のこの道徳の教科化の進め方は異常なもので、免許は不要だと。それから、教科書の作成は後回しだと。また、評価は価値に踏み込まないなど、この間、この道徳の教科化に対して、いろいろな形で出されている批判とか意見に対して、そういう対応策というものを表明しながら、この越えにくい壁があるのを承知で、乱暴に乗り越えていくように見えます。この道徳の名のもとに、国民に対して価値の共有を強く求める、国民への特定の価値の強制、これがやられているのではないかと思われます。

 この道徳の教科化について一般質問で小栗議員が取り上げました。教育長の答弁は、このものに対しては一般論で答弁しております。ただ、国際教育という質問の中での答弁で、教育長は、日本人としてのアイデンティティーの確立と答弁している。先ほどのと一緒なのですけれども、ただ、小栗議員が指摘して言った、道徳の教科化の質問の中での愛国心の押しつけ問題には触れていないんです。国家が子供たちに愛国心を強制する。愛国心は国を愛する心の問題ですから、それは持とうが持とうまいが自由なんですけれども、この愛国心を強制するということは、思想・信条・内心の自由を保障した憲法第19条に違反するのではないかと思うのですけれども、改めてここでお答えください。

○増田教育委員会指導室長
 道徳の教科化の問題についてでございます。今、愛国心といったことで御指摘がございましたところですが、子供たちの道徳の教育を考えたときに、まず自分を好きになるというところは基本になるところかなと。他との人間関係といったことで、道徳の学習の一側面があるわけでございますが、まず自分を好きになる。その中で、また人を好きになる、受け入れるといったことは、一つ、一法ではあるかなと。そういったことの中で、自分の国、自分が住む国を好きになる、愛するといったことは、やはり基本にあることと捉えます。その上で国際教育あるいはグローバル化ということの中で、他を尊重して受け入れるという力もついていくのだろうと思っているところでございます。決して特定の価値観を押しつけるといったものではなくて、子供たちにいろいろな価値観を身につけさせていくときに、子供たちの発達段階に沿って、まず自分の足元から固め、外に広げていく。そういった考え方の中で、まず自国を愛するということも当然来るのであろうと思っております。

 御指摘の中に、いろいろ特別に乗り越えなければいけない壁がある中でといったお話もございましたけれども、今回、教科化ということの中でも、特別の教科の道徳ということで、評価等については十分配慮していくといったことで、今まで持っていた道徳教育といったものを基盤にしながら、無理のないようなところでそれを考えていくというところで、国も、重要なところ、またポイントになるところを調整しながら進めていこうと考えていると認識しております。

 以上でございます。

○志村委員
 これからどのように展開していくかわからない面もありますけれども、今出されている、特に、誰がこういう道徳の教科化を進めようとしているのか。これが、さっき言ったように、国家安全保障戦略など、またいろいろ言われている、タカ派的な考え方を持つ安倍首相が、道徳の教科化ということを、特別教科化とかといういろいろなやり方で、どうしてでもまずこの道を開こうと。そこから先はまたそのとき考えようと。消費税のようなものです。一度導入してしまえばと、そのようにも見えますので、ぜひそこら辺は本当に厳しく注視していきたいと思います。

 それから、この愛国心は、本当に愛国心と思うなら、TPPなどはとんでもない話なのですけれども、国際教育についての一般質問に対して、教育長は、人権尊重や国際協調の精神を育むことなどについて検討すると、答弁もしています。であるならば、今、安倍首相がいろいろ物議を醸している問題、世界の常識となっている、日本が起こした侵略戦争への見方、さらにはその中で近隣諸国民に行った歴史の真実、こういうものも、国際教育、世界の常識と日本の常識を一致させるという意味でも、子供たちは学ぶべきではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。

○増田教育委員会指導室長
 今、歴史観のことについても御指摘がございました。今回、教科書の検定について、一部その検定基準の改正が行われているわけですけれども、その中でも、通説的な見解とか、特定の事柄や見解を特別に強調している場合など、そういったものをよりバランスのとれたものにする。要は、いろいろな見解を子供たちが学ぶ中で、その中から真実とか、あるいは自分の考え方を導き出していくといったことで、そういった検定基準の改定も図られているところでございます。

 一方では、政府の統一的な見解や確定した判例がある場合の対応に関する条項といったものもございますけれども、そういったものをバランスよく踏まえながらやっていく必要がある。子供が自分の力で考えて、これから先を見出していく。そういった考え方あるいは教育が必要であると考えてございます。

 以上でございます。

○志村委員
 安倍首相が、戦後の教育を変えられなかったのは、マインドコントロールされてきたからだ、このマインドコントロールから抜け出さなくてはいけないといった発言も国会でいたしました。ですから、今は、国際教育ということで、しっかり歴史の真実を本当にいろいろな形で学ばなければいけないのですけれども、安倍首相が、戦後の教育を否定して、それは自分たち自民党が単独で政権をとっていたときもできなかったと。これはマインドコントロールにかかっていたからだという意味もあるようですけれども、この戦後の教育のマインドコントロールから抜け出すということは、戦前の教育に戻ることになると私は思うんです。その戦前の教育の特徴というのはどういうものだったのか、その認識をお聞かせください。

○増田教育委員会指導室長
 戦前の教育ということでございますけれども、現在、子供たちは、公民の学習のところで、人間の尊重と日本国憲法の基本的原則ということで学んでいるところでございますが、その中では、日本国憲法は、基本的人権の尊重、国民主権及び平和主義ということで、これは大変重要な基本的な三大原則として学んでいるところでございます。今、委員指摘の戦前の教育ということでございますけれども、これは学習指導要領の解説の中にも、平和主義ということでございますけれども、日本国民は、第二次世界大戦その他過去の戦争に対する反省と第二次世界大戦の末期に受けた原爆の被害などの痛ましい経験からということで、再び戦争の惨禍が起こることのないように望み、平和を愛する諸国民のということで、そういった平和主義を学んでいくのだという記述があるところでございます。今、委員御指摘の戦前のというところでございますけれども、そういった部分が戦前のところにはある。今はそうではなくて、平和主義ということで、子供たちにそれを学ばせていくといった状況にあると認識してございます。

 以上でございます。

○志村委員
 今、指導室長が言ったのは、憲法の前文なんです。もちろんそれを学ぶのは大事なんですけれど、戦前の教育というのはどういうものだったのかということを学ばなくてはいけない。戦前の教育というのは、端的に言えば、天皇絶対の専制政治に支配されて、子供たちに、日本は神の国、お国のために命を捨てよと教え込んで、国民を侵略戦争に駆り立てていく、そういう役割を果たしたんです。ですから、その反省の上にということで、先ほども指導室長がお話ししたように、子供たちは学んでいるんです。私は、国際教育、国際的なセンスを身につけるためには、日本が諸外国で、とりわけアジアで何をしたのかというのをしっかり学ばなくてはいけない。それは学び方もあると思うんですけれども、そのように思います。

 日本橋の茅場町で鯛焼き屋を営んでいた****さんという方がいらっしゃいました。その人の手記があります。**さんは、1920年生まれで、20歳で赤紙召集されました。手記は、戦争ですから、大変残虐な内容ですけれども、読みたいと思います。

 1942年の夏、私たちの部隊が山東省のホクヨウホウを攻略したときのことですが、町中を行くと、道の真ん中で兵隊が輪をつくって騒いでいるんです。通りがかってのぞいてみると、中国人のおばあさんを裸にしているんです。全裸にして、片手を木の根っこに縛りつけ、3人の兵隊が棒切れでめったやたらにたたいているんです。泣き叫ぶおばあさんを前に、周りに腰をおろした兵隊たちは、たばこを吸いながら、やれやれとはやし立て、おもしろがっているんです。私はひどく嫌な気がしました。その姿を見た瞬間、ふと母親の顔が脳裏をかすめたんです。耐えられなくなって、すっとその場を通り抜けました。そして、あれっ、おれは今おふくろのことを考えた。ここは戦場じゃないか。戦場でおふくろのことを考えるなんて、もってのほかだ。これで立派な軍人になれるのかというふうに自分の気持ちを抑えつけてしまいました。何かのときにふっと人間的な感覚が出たとしても、みずからそういうものを否定してしまう。悪いなんていう意識は一つもなくなってしまいます。このような戦前の教育を受けた軍国青年の手記があります。

 ですから、今、指導室長がおっしゃったようなことが、本当に大事だと思うんです。今、マインドコントロールという話もしましたけれども、結局、私から見れば、子供たちをマインドコントロールしていく、戦争する国づくりに向けて、教育を支配していくのではないかと、そのように見えてしまいます。

 **さんの手記の別のところでは、こういう悲惨な状況も語られています。これは途中なんですけれども、当番兵は、赤ん坊を抱えた母親を目指して、バーン、狙いをつけて撃った1発は、背中から母親と赤ん坊を打ち抜きました。ばったり倒れた親子から出た血潮の色といいますか、その姿は今も私の脳裏から離れません。そのようなことが至るところで行われていました。略しまして、こんな切ない話は、おもしろ半分には話せません。胸がかきむしられる思いがします。私が話すのは、過去の自分と、私をそうさせた侵略戦争を憎むがゆえです。もう二度とあのような戦争を許してはいけないし、絶対あってはならない、このようにあります。

 やはり、戦前の教育の反省に立って、戦後の教育は、国家権力による不当な支配を排除し、憲法の掲げる平和と民主主義の理念を実現する人間を育てる、そのことを掲げて出発しています。子供たちに将来銃を持たせてはならない。日本を戦争をする国にしてはならない、子供たちに悲惨な戦争の惨禍を経験させてはならない。これは私たち大人の責任だと思います。ということで、次の質問に移りたいと思います。

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